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不思議な日常 − 旧・小説投稿所A

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不思議な日常
− 歯車 −
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「・・・すー・・・」

『起きないな・・・それなら』

ベロッ・・・

「・・・ぅうん・・・ん!?」

『おっ、起きたか・・・だが、腹が減っているんでな・・・このまま、喰うぞ』

俺はソファで寝ていた。
数ヶ月前までは、ゆっくりとしていられたのだが・・・再び、学校に行くようになってから、全てが不思議なものとなっていった。

そして、何か生暖かく、ヌメヌメしたスライムみたいな液体が首筋につく。
それは、不思議な日常の一部に過ぎないが、とても大きいものだ。
俺はそれによって起こされたのが、目を開ければ部屋の天井・・・ではなく、紅く妙な音を醸し出し、柔らかく狭い空間だ。
予想はつく。
毎日一回はこの空間に入れられているのだから・・・。

ニチャッニチャッ・・・

「うぐっ・・・ボー・・・ボーマン」

『今日は休みなんだし、いいじゃねぇか・・・な、ヘリオス』

俺の名前はヘリオス・マツガ。
そして、俺を食べているのは俺の相棒となったボーマンダ。
普通の個体よりも大きく、大人一人ぐらいは簡単に丸呑みにできるだろう。
それにしても、憎らしい。
何で、こんなにも気持ちよく感じるのだ?
そのせいで、俺の体は言うことを聞かずに、ボーマンダの口の中に入れられている。

『さてと、呑みこむぞ』

「ぅぐぅ・・・」

『・・・返事できないんだっけか・・・まぁ、いい』

ゴクリッ・・・

俺はボーマンダに丸呑みにされる。
舌で器用に全身を舐め回され、唾液で体は摩擦力を失っている。
それに加え、体内はヌルヌルした液体で、摩擦力なんて期待できないが・・・。
ボーマンダの喉には、大きな膨らみができている。
勿論、それは俺なのだが・・・その膨らみは、重力に従い・・・ボーマンダの力に従い、下へ・・・胃袋へ、進んでいく。

ドチャッ・・・グニュゥ・・・

「・・・くっ・・・全く・・・」

『次起きたときに出してやるから・・・そこで、寝てな』

「・・・そう、させて・・・もらうよ」

ボーマンダはすぐに吐き出すことは絶対にない。
必ず、俺を呑みこんでから眠り・・・起きたときに吐き出すのだ。
そのせいで、俺の体にはボーマンダの体内の異様な匂いが染み付き、落とすのが大変なのだ。
ボーマンダは、腹を床に押し付け眠るものだから、必然的に俺は胃肉のプレスをくらう。
弾力が結構あるので、死にはしないし・・・逆に、気持ちいいかも。
そんなことを思っていると、瞼が重くなってきた。
どうせ、自力では出るのは無理なのだし、ボーマンダが起きるのを待つしかない。
そして、俺も眠ることにした。

こんな不思議な日常になったのは、高校三年の二学期からだ。




















「ヘリオス、いい加減学校行こうよ!」
「誰が行くかよ!・・・あんなとこに行って、何か価値があるのかよ!」

高校三年の二学期始業式の日・・・友達三人が、俺の家にやってきた。
理由は俺を学校に連れて行くためだ。
しかし、誰があんなとこに行くかよ。
あの場所は牢獄以外のなにものでもない。

「ヘリオス・・・皆、心配しているのよ」
「そうだぜ、ヘリオス。・・・それに、今学期かr」
「学校の先生が、総入れ替えなんだぞ」
「・・・知るか、そんなもの・・・さっさと、行かないと・・・遅刻するぞ」

時刻は午前七時半。
ここは高校から近くもないし遠くもない。
しかし、早くしないと遅刻してしまう。
俺のせいで誰かに迷惑をかけるのは御免だ。

「・・・分かったわ・・・ヘリオス、貴方が戻ってくるのを・・・待っているからね」

そういって、彼女ら三人は学校に向かっていった。
これで良いんだ。
俺が関わったら・・・駄目なんだ。
全て・・・おかしくなるんだから。







その日の夕方。
俺はいつもどおりソファに横になっていた。
寝ようとも、眠れずに・・・ずっと、寝返りを繰り返していた。
その時だ。

ピンポーン・・・

誰かが来た。
居留守を決め込むか・・・。

「ヘリオス・マツガ君の家はここかな?」

聞きなれない声が、玄関から聞こえてくる。
誰だ?
俺の名前を知っているなんて、おかいしだろう。
まさか・・・否、それはないか。
だとしたら、考えられるのは一つ。

新たな俺のクラスの担任だ。

ピンポーン・・・

「ヘリオス・マツガ・・・十秒以内に出てこなければ、勝手に入るぞ」

これは出たほうが良いのか?
否、危険な感じしかしないし・・・出ないほうが、安全だろう。

「10・・・9・・・8・・・7・・・6」

カウントしている。
これは、隠れたほうがいいな。
俺は急いで二階に足音を立てずに逃げる。

「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・0・・・よし」

ドゴンッ・・・

嘘だろ!?
アイツ・・・ドア、破壊しやがったぞ。

「ヘリオス・マツガ・・・何処だ?」

家の中に入ってきやがった。
しかし、二階に居ることは分かっていないようだ。
これなら、ベランダから飛び降りて・・・逃げ出すのが一番。

「そこから降りたら危ないぞ、ヘリオス・マツガ」


<2013/02/06 20:50 ヘリオス>消しゴム
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