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ナナイロキセキ − 旧・小説投稿所A
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ナナイロキセキ
− fanfare −
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エシアは大きく息を吸い、歌い出した。
それと同時に、

バサッ!

背中から翼が生えた。
汚れ無き純白の翼は、エシアの心を写しているように見えた。

滑らかで、清んだ歌声が響く中、私はこれまでの事を思い出していた。

子供の頃の荒んだ生活。

ハンター達との戦いの日々。

この時、もうすでに心は悲鳴を上げていた。
いっそ、死のうかと思っていた。

しかし、そこで出会ったのが、今目の前にいるエシアだった。

エシアは、それまで私が見たことの無かった、喜びを見せてくれた。
安らぎを見せてくれた。

もし、今の為に昔が犠牲になっていたのなら、運命にお礼を言いたい。

誰かが、この血で汚れた手を取ってくれる。
能力が異常な私を必要としてくれる。

それだけで充分だった。

「♪新しい結末(こたえ)込め<最高速の喜びの歌>(うた)紡ごう♪」

そこからは、速射の様に速かったが、一度も噛まなかった。

「♪伝説(レキシ)が識(し)らない心と心の共鳴織り成す現在(いま)だけの歌をこの声失う最期の時まで奇跡を描いて響かせ続ける!♪」

(パニシュ、ありがとう)

そして、渓流に静けさが戻った。

「はぁっ……はぁっ……」

エシアは、息が上がっていた。


【エシア、ありがとう。綺麗な歌声だった】

エシアの息が落ち着くまで待って、そう言った。

「お礼を言うのはこっちだよ!ずっと聴いて欲しかったもの」

そう言い、笑顔を見せるエシアに、私も笑った。
すると、エシアの顔が輝き、大声で言う。

「やったぁ!パニシュが初めて笑ってくれたー!」

そうだったか?
まあ、多分そうなのだろう。
そう考えていると、エシアが私に近付いてきて…

ちゅっ…

私の口とエシアの口がぶつかり、小さく音が鳴る。
そして、抱き付かれる。
色々と混ざって気が動転している私に、エシアが話を切り出す。

「あのね、パニシュ、私ね、いろんな物を見てみたいんだ。
…だから、ここを出て、旅に出たいんだけど、一緒に来てくれる?」

顔が赤いエシア。
向こうも気が動転しているらしい。
真面目な話に少し気が落ち着く。

【お前の居る場所が、私の居る場所だ。心配しなくても、一緒だぞ】

それを聞いたエシアは、笑って、

「じゃあ、何処へ行こう?」

そう聞いてきた。

少し迷ったが、北に移動することにした。

そして、私達は、色々あって、孤島に辿り着く。
そこで、旅を終わりにし、ずっと幸せに暮らした。


次回、エピローグになります。

cosMo@暴走Pさん、勝手に歌詞を使って、すみませんでした。
<2012/12/12 20:54 ラムネ>
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