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吹雪の島 − 旧・小説投稿所A

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吹雪の島
− chapter6 −
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最初からそこにいたのが分かっていたかのように彼は後ろを振り向いた

薄れていく霧の中に何かがいる
ラプラスだった…

最初から自分がベイリーフのことを気にかけていればこんな事にはならなかった、となんだか矛盾しているようだったが-ベイリーフをやったのはこいつだし…-そう彼は心の中で呟いた

何より今は自分が彼女にした事への悔しさをぶつける相手がほしかった

憎い、このラプラスが憎い・・・八つ裂きにしてやりたいくらいだった

握る拳に力を込めて彼はラプラスに向かって走り出す、地面を踏みしめる度にさらついた粉雪が舞い上がりマニューラを着飾るように周りを包んでいく

ラプラスが口元に冷気のようなものを溜めたのを彼は見逃さなかった

「…!」

それが発射されると同時にマニューラは左に飛び込むように跳んだ 後ろの方にに光と冷気を感じながら直ぐに立ち上がりラプラスに目掛けて走り出す が、交わしたはずの青い光線が途切れることなくこちらに近付いてきているのに目がついた

ラプラスは「れいとうビーム」を放ったまま顔を彼に向けてゆっくり動かし、逃げる黒猫を捕らえんとしていた

だが彼はそのままラプラスに一直線に走りつづける 僅かにマニューラの速さよりビームが近づいてくる早さの方が早く段々と距離が縮んでいく 最初に襲ってきたのと同じ強い冷気がチリチリと肌を焦がすような感覚に顔をゆがめながらも彼は走る足を決して緩めようとはしない

青白い光線がマニューラに触れそうになったその瞬間 彼は体を反らすように回転させながらラプラスに向かって跳んだ ビームの周りをクルリと回るように交わすとすぐ近くに驚いた様子のラプラスの顔が迫る

次の瞬間 雪原に鮮血が飛び散った マニューラは回転した勢いで爪を思いっきり繰り出しラプラスの首から腹にかけて強引に引き裂く 生暖かい血液が地面の雪を溶かし、床にこぼした絵の具のように滲む

すぐに彼は後退し距離を遠ざけ相手の様子を確認する

ラプラスは目を瞑ったまま痛みとショックで動けない様子だった

今だ…と彼が目を瞑って右手の拳を握り集中し始める

すると彼の右の拳が白く輝き始め周囲に光を放つ

マニューラの誤算はこの時にラプラスから目を離していたことだった

そして暫くするとその輝きが光を大きく放ち彼の右拳を包み込む

そして再び走り出すマニューラ

手負いしたラプラスから2m程度離れたところで走り幅跳びの要領で跳んだ そして拳を後ろに構え前に繰り出す

「ハッ!」

しかし彼は見逃さなかった……きあいパンチを放つその一瞬ラプラスがにぃっと笑ったのを…
次の瞬間マニューラの拳は宙を切りその勢いのまま広がる空間に投げ出される

「!?」

そして次に目にした光景はまだ凍り付いていない冬の湖だった そして振り向くとすれ違い際にそれへと彼を押し出す青い鰭…



「(うそ――)」





……!

湖に沈んだ瞬間にマニューラの体は縮み上がりそうになった 急速な体温変化に体が付いていけず、もがけばもがくほど息も苦しくなり痙攣したように体のあちこちがビクついて思うように動かす事が出来ない

-ダメだ…!落ち着け…落ち着け!-彼は自分を必死で言い聞かせようとした

心で強くそう思いながらも体は思うように動かず、暗い水中へあっと言う間に沈んでいく

呼吸を落ち着け彼は冷静に上の明るみに向けて泳ごうとした しかしどうしたのか体に力が入らず手足が言うことを聞かない

-どうしたんだ……力がでない…-

その時上の方からざぶ……と低い水音がした

「がぼ………?…」

口の端から小さな空気の泡を吐き出し 淡く開いた瞳でその影を朧気に見つめる 彼が気付いた瞬間にその影は彼に向かって伸び、数秒後には鈍い音を水中で響かせる




「………!」

まるで宇宙空間の様にスローモーションに彼が吹き飛ばされる 息も出来ないこの状況で巨大なラプラスの強力な体当たりを受けて体の酸素がさらに奪われ、同時に最初のような腹がえぐれたような鈍い痛みを覚え彼を更に苦しめる

水の抵抗で吹き飛んだ勢いが緩み始め、ようやく彼が落ち着いた時ラプラスは彼の正面に回り込み次の攻撃を仕掛けた

ラプラスは口元にオレンジ色をした波動をため込み直にマニューラに向けてそれを放つ

爆発したように水しぶきが上がると同時にマニューラが湖から飛び出してきた
「ぅは! はぁ…はぁ……ぅう…!」

「はかいこうせん」をまともに受けたマニューラは地面に転がりうつ伏せに倒れ込む ようやく呼吸はできるようになったが冷水で濡れた体に冬の風が直に直撃しひどい寒気が襲ってくる

「…!」

すぐにラプラスも地上に這い出てきた その胸には最初に彼が繰り出した攻撃の跡がうっすらと残っている それは「じこさいせい」という技のおかげだった 彼が「きあいパンチ」を放つ準備をしていた時から発動していたのだろう

傷を負った振りをしたのは彼に単純な攻撃を誘うための物だったのだ



ラプラスは地上に体を乗り出して彼のそばにヒタヒタと近寄りその足をくわえた そしてそのまま彼の体ごと易々と持ち上げる

マニューラは体にふんわりと浮かぶような感覚を覚える、ふと目を開けると頭は空中に浮かんでいた

何故体が浮き上がったのか、そして足をくわえられた事には冷水で冷え切って感覚のない足のせいで気づいていない

「…? ぐぁ!…」

地面に叩きつけられた瞬間に彼の体に鈍い痛みが走る、

「…!……っ!……」

雪越しに張っている硬い氷に彼がぶつかる度に雪煙がまう

ラプラスは何度も彼の足をくわえたまま固い地面に叩きつけていた

運悪く頭でも打ってしまったら元も子もない 出来るだけ腕で頭や体をかばうように覆いながら叩かれるような痛みに必死で耐える

何回か地面にたたきつけられた後ラプラスはくわえていたマニューラを口から離した

「う……はぁ…はぁ……………?!っぁぁぁぁあああ………!」

氷の上に仰向けになった彼の上にラプラスがのしかかる

「ぅ・・・・・・へぁ゙ぁ・・・ぅ゙・・・・・・ぁ゙・・・」

既にボロボロになった体が更に悲鳴をあげ耐えがたい痛みが彼を襲う 足はあらぬ方向にねじ曲げられたまま押しつぶされ体もぎしぎしと軋むような痛みに襲われる

しばらくしてようやくラプラスはそっとその体をマニューラから退いた

「げほっ…!」

ぐったりと仰向けに寝転んでしばらくすると気を失ってしまいそうな程の強烈な吐き気とめまいに襲われ、それに耐えるように彼は目を食いしばる

しばらくするとまるで頭痛にでも襲われたように外の明るさが鬱陶しく感じ始め、気持ちの悪いその感覚を遮ろうと腕で顔を覆って外の眩しさから逃れようとした

不意に、塗れた暖かいものがかぶさり彼をべろんとこすりあげた

「な………?」

鬱陶しそうに目を開くマニューラ その顔は透明な液体に濡れていた

見るとラプラスが口を開いていてその中で長い舌が収まっていた そしてラプラスは口をもにもにと動かしている 味見のつもりなのだろう

味を確認するようにラプラスは長い舌を彼に何度も這わせ始めた

彼は舌で擦りあげられる度に感じるその暖かい感触に自分でも考えると気味が悪い程の安心感を覚えていた それは恐怖も入り交じった物であった

…クパァ…ドロォ…

はぁー…とラプラスは白い煙となって出てくる生暖かく生臭い吐息を地面に仰向けに倒れた彼に吐きかけて味覚の中枢を刺激された事によって大量に分泌された唾液を口の中でムグムグと溜めてマニューラの顔にたっぷり垂らす、ラプラスの口とマニューラの顔の間に太い銀色の糸が引いている

「がぷ…ぐっ、ゲホッ!ゲホ…っ、おぇぇ…」

口で呼吸をするマニューラの上から唾液が流れ込み水っぽいが明らかに粘性のある唾液が口に流れてマニューラはそれを飲ませられながら咳をして吐き気が込み上げる、腹に感じていた鈍い痛みも相まってマニューラは黄色く酸っぱい胃液を横に吐き出してしまった

その様子を見てマニューラの体力を奪った事を自覚したラプラスはようやくゆっくり味見が出来る…と言いたげにジュルリと舌なめずりをした

まずは唾液を垂らした顔の顎の下からベロォ…と舐め上げる、そして舌を口にスッと戻し自らの唾液と彼のかすかな味を味わうとそれを確かめるようにまた一舐め、逃げられない様にのしかかったままマニューラの顔を舐め上げていく

しかし舐めているだけでは遂に我慢できないとラプラスはマニューラの目の前で大きく口を開いて彼の頭にパクリとむしゃぶりついた

ぐっちゅ…ぐっちゅ…

口内で湧き出た大量の唾液と一緒に彼を咀嚼して口内のマニューラから感じる獣らしい香りや柔らかい肉質にラプラスは彼をくわえ込んだままにぃ…と口角を上げた

パクリとくわえられたマニューラは唯一動かせる体を動かしながら必死に抵抗するが酷く傷ついた体では自由に動けるはずもなくラプラスは彼が首を動かし抵抗するのに合わせて口を動かし咀嚼し続けた

「うぷ…あ゙ぁ…」

唾液が容赦なく口に流れ込み息をするのも苦しくなってきた、手を口にあてがい無理やりラプラスの口内をこじ開けようとするが唾液の生臭い香りを嗅ぐ度にその力は緩んでいく

彼が力尽きようとしたその時、ようやく味見を終えたラプラスが口を開き外の新鮮な空気が彼をつつむ

「んはぁ!はぁ…はぁ…」

しかし安心したのもつかの間、ラプラスは彼の弱り切った体を足からくわえ込み始めた

「はぅ!…いやだぁ!」

彼にはその行為の意味を直ぐに読み取った

しかし体は痛みで自由に動かずかえってラプラスがくわえ込むのを助けてしまっていた 既にラプラスはマニューラの腰までくわえんとしていた

「やめて……」

仰向けになったまま手を後ろに蹴り出して前進するように這いずるマニューラ しかし遂には口ごと持ち上げられ触れていた雪の感触もなくなる その地面と離れる瞬間に彼の恐怖は極致に達した

あぐっ…と口をくわえ込みマニューラを口内へと収めていくラプラス

「あぁ…あぁ…!」

足で口内を蹴る しかし柔らかい舌に衝撃を受け止められるだけだ

鋭い鉤爪を振るう しかし力なく降られたその腕は空を切るばかりだ

時間が経ちマニューラは既にラプラスの口内に閉じ込められてしまった

彼が口内に収まるとラプラスは待っていたかのように舌をうねらせた

飢えたように止めどなくあふれる唾液の海に何度も溺れそうになるが 暖かいそれが冷え切っていた体を包み込む

さらっとした水っぽい唾液が体毛に染み込んでいきマニューラを汚すがラプラスはそうしてにじみ出た彼の味を唾液と一緒に喉に流し込むと満足そうにくぅーん…と鳴いた


とりあえず完成しているのはここまでです、続きはまたしばらくしたら投稿しますね
<2013/01/26 23:33 ジイア>
消しゴム
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