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君と見た空 − 旧・小説投稿所A
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君と見た空

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「そんな変なとこ行かないよ……僕はずっと
ギラティナといたいんだ!!」

夕日が彼らを優しく輝かせる中、空気を割
るような大声でカイオーガが叫ぶ。
アルセウスもこれは予想済みだったらしく、
冷静な口調で再び問い直した。

「ほう…では我の提案に乗る気はない…そ
ういう事でいいのだな?」

「もちろん♪」

あっさりと無表情で返されても、アルセウ
スは顔を曇らせなかった。それどころか
クスクスと笑いを漏らし、カイオーガを尊敬
の眼差しで見つめる。

「いやはや面白いことだ…参るよ。我の意見
に反対する者など、過去一人としていなかった…」

「話は終わったか…? ならすぐに去れ!」

とうとう痺れを切らしたギラティナが、
赤爪を光らせて空間ごとアルセウスを切り裂く。
しかしそれは全くの幻影で、本物はもう空
へ戻ろうとしていた。天界への帰り際に、
アルセウスは冷たく言い残す。

「だが覚えておくがよい……いかなる理由
を持ってしても、我の意向が変わることは
ない。そしてもう一つ、逆らう者に与えら
れるのは、苦しみの天罰だけということだ…」


仕留めそこね悔しそうに睨んでくるギラティナを嘲りながら、アルセウスは光と
なって天界へと戻っていった…









〜真夜中〜


「カイオーガ……もう…寝たか?」

「ううん…眠くない…」

二匹は隣り合わせに海辺に寝そべり、
夏のきらびやかな夜空を眺めていた。
無数の星が精一杯の光を踊らせ、彼らの顔を照らしている。

お互いに黙り込んでいたが、ようやくギラ
ティナが会話を切り出した。


「きょ、今日言ってた事……本当なのか?」

「…ほんとだよ。ギラティナとはぜーったい別れたくないんだ♪」

「そ、そう…か…」

お湯のように温かい言葉が、彼の心を優し
く貫く。ギラティナは不器用に翼を伸ば
し、カイオーガの頬をそっと撫でた。

「ルギアもゼクロムも……そう言ってくれたんだがな…」

「ぼ、僕のは嘘じゃないよ…? 本当に…」

「ああ…分かってる…」


翼がなくても、反世界に行き来出来なくて
も、ギラティナは心から彼を必要としていた。
それこそ、一緒にいたがっているのはむしろ…


「えへへ…くすぐったいてば♪」

「あ、すまない…」

慌てて翼を引っ込め、視線を星空へと移す
ギラティナ。上手に他人を撫でることすら
できない自分に嫌気がさし、開きかけてい
た心の扉は再び塞がれてしまった。


「…悪い、私は寝かせてもらうぞ…」

「はぁい…♪ 僕もそろそろ…」

アルセウスとの対面で疲労困憊していた彼らは、
すぐに夢の世界へと吸い込まれていく。
現実に失望する朝が来るまで、誰も彼ら二人
だけの友情を侵すことはできない。
例え、神と言われしポケモンでも…


<2011/05/15 16:04 ロンギヌス>消しゴム
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