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君と見た空 − 旧・小説投稿所A

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君と見た空

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※軽いグロあり



「んぅ……もう朝かぁ〜…」

頬をパチパチと叩きながら、カイオーガは起き上がる。
しかし彼の隣で寝ていたはずのギラティナは、早くも姿を消していた。

「…朝ごはんかな?」

ザァァと波打つ海を背に、カイオーガは森の中へと
入っていった。当然ポケモンも、しっかり「朝食」を取らなければならない。





「離せっ…こ、このぉっ…!!」

「あ〜…


バクン!! レチュ……ゴクリ…!!

数十年の手慣れた手つきで、手当たり次第に口へと放り
込んでいくカイオーガ。その獲物は小さなポケモンか
ら、暴れ狂うバンギラスにまで及んだ。


プクッ…ボコッ…ボコッ…!!

「いたいなぁ〜…暴れないでよ。」

何が何でも生き延びようとする腹の中の者達を、カイ
オーガは呆れたように睨む。仕方なく地面へと押し付
け、強引に黙らせる。

ニュムッ…

「あっ…ぶぅ…!! ぐるじ…ぃ…!!」

「へぇー…そっか。」

冷たい言葉を投げながら、口封じの刑は終わらない。少しずつ抵抗が弱々しくなっていき、最後は空気が抜
けたように動かなくなった。




「(ごちそうさまでしたっ…)」

デザートにラッキーを丸呑みし、カイオーガは朝食の
終わりを告げる。しっかりと手を合わせ、犠牲となっ
た者達に祈りを捧げた。


「やれやれ満腹満腹…♪ ギラティナ本当にどこいっちゃんだろなぁー…」

キョロキョロと全方位を見渡すが、森の中で見つかるはずもない。
すぐに諦めると、昨日着陸した広場へと向かった。



〜イルミア島 中心〜


「なっ…そんな……」

陽気に広場へと飛び出したカイオーガ。しかし
それを迎えたのは、大木に磔にされたギラティナと、
昨日天界へと戻ったはずのアルセウスだった。
それどころか今度は、数匹の手下らしき者を従えている。


「やあカイオーガ…相変わらず朝から元気そうではないか…」

「な…何してるんだ…ギラティナに…」

彼の目線はアルセウスではなく、翼に杭を打たれたギ
ラティナを捉えていた。漆黒の両翼から、タラタラと鮮血が流れ出ている。


「なんて……なんて酷いことを…!!」

しかし怒り狂って飛びかかろうとするカイオーガを制した
のは、失神まじりのギラティナだった。蚊のように
「かなわない…」と呟くと、ガクッと意識を失ってしまった。

「いったはずだぞカイオーガ…逆らう者には罰がある…とな。」





「アルセウス様、この無法者への処罰、是非とも私どもにお任せ下さい…」

「うむ……だが殺すな? 必ず生け捕りにするのだ。」

「心得ました…」

一人佇むカイオーガの前に、凶悪な顔つきをした手下
が5匹…立ちはだかった。全員同じポケモンとは思えな
い程、凶悪な顔立ちをしている。



「待ておまえ達、大勢でかかるのは不公平というものだぞ? パルキア…最初に相手をするがいい。」

「ありがたきお言葉…」

比較的、律儀そうなパルキアが前に進み出る。カイ
オーガは無理やり視線をギラティナから外し、じっと相手の目を睨んだ。


「噂はしかと聞いています…神に二度と祈れない事を後悔させてあげましょう…!!」

「こんな神に……もう祈らない…!!」

怒りが爆発したのか、カイオーガは一直線に突き進ん
でいく。狙うはアルセウスただ一人…のつもりだった。


「意外と安直な攻撃ですね…? まあ念のため…」

カチッ…「CYCLONE(疾風)!!」



「え……?」

初めて見る武器に、カイオーガは急に勢いを失う。そこをついてパルキアは、風の効果を得たドラゴンクローを命中させた。

「う…ぐぅ…」

倍増どころではない威力に、体は勢いよく木に叩きつけられる。
木はバキバキと連鎖して何本も折れ、その技の破壊力を物語っていた。


「フフ…分かったかね? これが我が神隊の強さ……君が入れるのも幸運だと思いたまえ?」

「それは……いったい…」

「ん…? ガイアメモリも知らないのか? 地上で生まれし物とは聞いたが…」

「ガイア……メモ…リ…?」

流石にここまで吹き飛ばされたのは初めてなのか、
カイオーガの顔から笑いが消える。むしろ聞いた事の
ない兵器の力を見せつけられ、怯えているようだった。


「まあすぐに答えを求めている訳ではな
い……今日の夜7:00、yesかnoかを聞かせて
貰うことにする。もしnoならば…」

アルセウスの無言の指示を受け、パルキア
はギラティナの首元に爪を押し付ける。


<2011/05/15 16:04 ロンギヌス>消しゴム
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