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ゴクッと日常 − 旧・小説投稿所A

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ゴクッと日常

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-TOMART ZONE-

「トマート…ゾーン?」

ギラティナは静かに目を開け、辺りを見回した。果てしなく白い空間が延々と続いており、まるで真っ白な箱の中へ閉じ込められたようだった。

「ん…? 元の姿に戻っている…?」

ふと高い目線から自分の体を見下ろすと、そこには「ギラティヌス」ではなく、れっきとした「ギラティナ」としての自分の肉体があった。

そんな彼の前に、血のように赤い文字が浮かび上がる。食い入るようにそれを見つめるあまり、ぼそぼそと呟きながら読み始めた。


「…ここは境界線…生死の分け目……望む者には安楽の死が与えられ、逆の者には冷たい現世へ戻ることが許されよう…」


一通り読み終わると、文字は溶けるように消えて無くなってしまった。ギラティナは今の内容をもう一度頭の中で復唱すると、なんとかその意味を理解した。


「生きるか死ぬか…私が選べるのか…」


…ここは彼が使い、無駄だと思い込んでいたメモリ…「トマEX」の力によって現れた空間。カイオーガというポケモンに殺された彼は、その力によってここに連れられ、生死の選択をすることができるのだ。



-Dead or Arive?-

どうすればいいのか混乱していたギラティナに語りかける、あの赤い文字。ギラティナは理由もなく一瞬迷ったが、間違いはないと確信し、深く息を吸って言い放つ。




「…Arive.」


見かけによらず小さなその声にも、トマートゾーンはしかと反応した。空間がグラグラと揺れ、ギラティナに猛烈な睡魔が襲いかかる…

妖怪のような瞳はまぶたに覆われ、その巨体はゆっくりと倒れた。



<2011/05/15 16:19 ロンギヌス>消しゴム
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