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暗翳の空 解き放たれし竜 − 旧・小説投稿所A

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暗翳の空 解き放たれし竜

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※クオール視点


チュンチュン…

窓の外から小鳥の囀ずりが聞こえる
それを目覚ましに僕は目を覚ます
ベッドから体を起こし、眠い目を擦りながらカーテンを開けた

山の間に太陽が少し顔を覗かせている
特に面白味の無いこの国で一番美しいものかもしれない

四本の木製の足に支えられた安っぽいベッド
その隣にある笠付きのランプと机
そして部屋の殆んどを占める大量の本棚
これ等全てが、その明るい光に照らされていた

シンプルだが、何処か暗さが漂う部屋
本が多いと不思議とそう思ってしまう
けれど、思うだけで変えようとは思わない

昔から虐められていた僕にとって、読書が一番落ち着くものだった
静かな場所で一人、更に知識も身に付く

でも流石に読書だけでは生きていけない
だから僕は国に仕える兵士となった
日々の鍛練に耐えながら、何とかエリートと呼ばれる位置まで上り詰めた

「…はぁ」

重い溜め息を零す
エリートになっても、扱いは全く変わらない
毎日ゴミのような扱いを受けている
特にイストという人間には何度も殴られた

間違いなく彼は僕を憎んでいる…
憎まれ役には慣れているので特に気にしてはいない

そんなイストと僕は今日一緒に行動する事になっている
商人の護衛という仕事があるからだ

最近は山賊の被害が相次いでいる為に警戒しなければならない
同じエリートであるイストもそれを意識しているはずだ
ピリピリしている彼は人一倍厄介な存在だ

そんな事を思いながら僕は、さっさと支度を済ませて部屋を後にする
階段を降りて、リビングへと向かう

そこには父さんがいた
父さんも僕によく暴力を振るう
けど最近は大人しい

理由は簡単だ
加齢による衰退と病気
だから医者に言われた通り、ベッドで過ごす時間が増えた
心配だが殴られなくなった事に喜ぶ自分もいる

今日も薬を飲んで、すぐにベッドに戻る
はずだった

「やっと来たか…ほら、イストさんが待っておられるぞ」

リビングにイストがいた
堂々と椅子に座り、此方を見ている
経験が僕の体を硬直させる…

そんな僕に構わず、父さんが彼にコーヒーを差し出す
感謝の言葉を述べると、イストがそれを一口口に含む

そこで緊張が解れた僕は彼に頭を下げた

「おはようクオール、では仕事に行くぞ」

何時もと何処か違う
そんな事を思いながら彼の後をついて行く

父さんは僕に行ってらっしゃい、と言うと薬と水を口に含んだ


*  *  *  *

山の間を馬車と兵士が歩く

仕事中の私語は厳禁
沈黙が続き、馬の蹄の音と馬車の荷物が揺れる音だけが響き渡る

今回は珍しく山賊が出て来ない
この前の護衛でイストが派手に倒したというのが関係してるかもしれない

それでも、エストロ王国までの道のりは長い
ここを通る度に近道である北の森の事を考えてしまう

だが、竜の噂のせいで使えないのが現実
前に仲間の一人が探索しに向かったが、帰って来なかった

緊張感に包まれながら、何とか目的の場所へ着いた
到着と同時に全員がホッと胸を撫で下ろす
だがその安心感はすぐに消された

伝書鳩が飛んできたのだ
しかも僕の目の前に

「父さんが!?」

そこに書かれていた内容
それは、父さんの容体が悪化したという知らせだった
僕の体の至る所から冷や汗が噴き出してくる

「親父さんが危篤とな?」

動揺している僕の様子に気づき、イストが歩いて来る
見せる気は無いのに、覗いてくる彼に苛立ちを感じながら頷く
するとイストは踵を返して、ベーシンロー王国がある方を指差した

「北の森を通れば早く着くぞ」

「でも…」

「今は緊急事態だろ?」

イストの言う通り、これは緊急事態だ
何時父さんが死んでしまうかも分からない状況…

どんなに憎んでも肉親のことが心配になるのは、誰にでも当てはまる事である

だから僕は走って行った

危険が漂う北の森へ



自分への新たな課題、落ち着いて書くww
<2012/10/15 18:24 長引×どんぐり>
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