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僕らはシンジツを知る − 旧・小説投稿所A
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僕らはシンジツを知る
− 玉砕の泡 −
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「うおああっ!?」

天井から迫り来るコロッケに体を捻って横に避ける。
巨大コロッケの衣が頬を掠め、コロッケはタイル床に突っ込んだ。
頬はチリチリと痛み、火傷に似た熱さが染み渡る。
揚げたてコロッケは触るなってか。
コロッケはタイル床を破壊してゆっくりと首をもたげて頭に付いた瓦礫を体を振って落とす。
そして存在しないの目が俺をキッと睨む。
「ヌギイ・・・お前すばしっこいな、ますますオデの牛肉とシェイクしたいぜええええ!!!!」
唇のない獣の牙が嫌らしく笑うと涎を撒き散らして吠える。
「俺はコロッケは食うもんだと思うがな」
そのけたたましい姿に数歩下がって建物の奥へと駆け出す。
とりあえずこいつはやばいってこった。
「!?・・・待てニクウウウ!!!」
いきなり逃げ出したジムロにキョトンと困惑したが、再びニヤリと不敵な笑みを作り上げると黒ずんだ不自然な足を鳴らして追跡する。
大股に追いかけるそのコロッケは地味に速い。
転びそうになりながら走ってもやつとの距離が変わらない、徐々にその距離感を縮めつつあった。
「うっ・・・・ひぐっ・・・・・・」
背中にくっつく少女が嗚咽混じりに呻く。
チラリチラリと怪物を見て泣いていた。
バカヤロ、見たくないなら見るな。
しかし俺は失敗していた。
建物の角奥に責められていることに気づいていなかった。
ぶつかった時に分かった。
ただの曲がり角にみえるそれはひどく狭い世界で。
「っ・・・しまっ・・・あ」
壁をUターンしようと体を捻ると。
巨大コロッケが目の前でニヤニヤと笑っていた。
足元に俺たちがいる形で。
巨大な頭部が香ばしい匂いを漂せながら、視界に埋まる。
獣の牙がいつも以上にガパリと開くと。

「じゃ あ な ♪」

クレッセントをつけて赤黒い世界が迫ろうとしていた時。

ブシュウウウウウ!!!!

まるで煙が狭いところから放出されるような音が前から降りかかる。
異常に寒い。
コロッケに変化があった。
「グぎゃアアアアアア!!!あああ、水はやめろおおおお!!!ギギイイイイギャアアア!」
水がコロッケの後部を連射していた。
コロッケの衣が水分を吸って、中身がボロボロと崩れ落ちていく。
まるで目潰しをされたかのように床を乱暴に転げまわる。
そうか、揚げ物は水にふやけるもんな。
でも一体何が―――。

「おい!今のうちだ!逃げろ!」

若い甲高い声がコロッケの後ろから響く。
消化器の泡状煙に姿は掻き消えているが、男性が叫んだ気がした。
「スタッフ部屋に行け!ここのすぐ右だ!はやくしろ!!」
焦りの声にやっと応えコクリと頷くと、コロッケを無視して泡状煙の中に突っ込む。
少し煙が晴れている空間に出ると右手側にはエプロンをした二十代くらいの男性が消化器を握っていた。
店員の生き残りだろうか。
しかし消化器の勢いは弱まっていく。
防災訓練所で習ったっけ、たしか消化器の一度に出せるのはたったの16秒しかない。
16秒など怪物の足止めくらいだ、もし止まったらこの人は!
「に、逃げましょう店員さんも!」
思わず敬語に声を荒げると、男性は俺の体をドンと押す。
そして悲しみの形相で睨んで。
「いいから早くしろ!!その子と一緒に死にたいのか!」
怒涛を浴びせられふと背中を見た。
小刻みに震えたその小さな命。
俺は歯を食いしばって身震いすると、

「すみません!」

投げ出すように言うとスタッフ部屋へと踵を返して向かった。
その瞬間に放泡音が消えたのは俺の耳にこびりついてしまった。



乱暴に扉を開けて中に入ると扉を薄く開けて外を伺う。
少々崩れたコロッケが何かを八つ当たりのように貪っていた。
薄茶の衣が真っ赤に染まって。
タイル床も花が咲いていた。
目を静かに伏せ、扉を固く閉ざす。
そして薄暗い部屋に目を通すと。
眼鏡をかけてすすり泣くエプロン女性が情けなく座り込んでいた。
角奥に彼女は透明の池を作っていた。



眼鏡っ娘!!!!!!!!!
大好きですっ!!!!!
二十代の眼鏡さんは大好物ですよええ

<ねじゅみの右下>
人は基準が原点にする
<2012/11/18 14:28 ねじゅみ>
消しゴム
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