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しゃわでー ないと ふぃーばー ヒャッッホォォォオオォオイ!! − 旧・小説投稿所A

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しゃわでー ないと ふぃーばー ヒャッッホォォォオオォオイ!!
− 親切なひと −
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土曜日の夜。明日の夜。ハルに会える。土曜の夜。明日……。
僕の頭の中には、ただそれだけが繰り返し 渦巻き続ける。
目に見えてわかるほど、食料調達に集中できてない。
そのせいで、もう夕方が近づいているというのに
木の実のカゴは今以って軽いまま。魚篭に至っては見事に空っぽ。
それでもなお、僕の頭の中はハルのことでいっぱいだ。

辺りがだんだん暗くなってきて、ようやくハッと我に返った。
背負っているカゴの軽さに、
冷や汗を垂らしながら 恐る恐る振り返って中を見てみる。

「わっ……!」

これじゃあ流石にマズい。
このままでは、お母さんに叱られるどころか
食事すら危ういのは明白だ。
なんとかしようにも 今からじゃどうにも……。

「木の実が欲しいのですか?」

「えっ……?」

不意に、前方から聞き覚えのない声が聞こえる。
僕は思わず 聞き返すような声で返しながら、
背中のカゴに向けていた視線を 前に持っていった。

そこにいたのは、
綺麗な緑色をした蛇……?
透き通った声からして女性だろう。
彼女の背中にも木の実を入れるカゴが見える。
でも僕とは対象に、そのカゴの中には
溢れんばかりの木の実が積み込まれている。
まぁ、当然といえば当然。

「フフ、心配は無用です。
 私はただの しがない旅人ですから。
 それより、木の実が欲しいのでしょう?
 困った時はお互い様です。
 私のを分けて差し上げましょう。」

「えっ、ホントですか!」

よかった、どうやら悪いひとじゃないみたい。
そればかりか、見ず知らずだというのに
こんな親切にしてくれるなんて。

それにしても、
この森に旅人がやってくるなんて珍しい。
なぜなら、近くには 街や村がない。
それに、ここからもよく見える岩の山は
竜の山岳と呼ばれていて、
恐ろしいドラゴンが住んでいるという話だ。
だから 見知らない人と会うことなんて滅多にない。

「申しおくれましたね、
 私はジャローダのタエです。
 さぁ、カゴを貸してごらんなさい。」

僕は控えめにうなずいて、背負っていたカゴを降ろした。
タエさんは それを尻尾で近くに寄せて、
僕のカゴに木の実を移し替えてくれた。

タエさんのカゴの方が大きかったこともあって、
僕のカゴはすぐに、美味しそうな木の実でいっぱいになった。
甘い香りが鼻に漂ってくる。

「そ、そんなにっ! いいんですか!?」

「えぇ、可愛らしいシャワーズさんのためですからね。」

そういえば僕の方からは まだ名乗ってなかった。
お母さんからは、
「知らないひとに名前を訊かれた時は用心しなさい。」
って言われてるんだけど……。
ハルはもちろん別として、
このひとはとっても親切そうだし、いいよね。

「あっ、僕、シズクっていいます。」

「シズクさん。とてもいい名前ですねぇ……。」

ふと、タエさんの腕の蔓が ゆっくりと僕に伸びてくる。
とくにそれを云々する理由もなく、ただそれを目で追った。
間もなく、その蔓が僕の脇に忍び込んで、
こちょこちょと せわしなく這ってなぞり始めた。

「あはははっ!
 よしてくださいよ、
 僕、擽りには めっぽう弱いんですぅ!」

まるでじゃれ合うように 小さく転がり、
少しだけ手向かいながら言う。
すると、もともとひょろ長い目を更に細めて、
タエさんが 小さく口を開く。

「……フフ、どうやら
 ちゃんと脂も乗っているようですね。
 とりあえず美味しそうで安心しましたよ。」

「えっ……?」

小声だったために よくは聞き取れなかったけど、
確かに“美味しそう”って……。いや、まさかそんな……。

「あ、あのぉ……。
 ……あ、あれっ……!?」

擽りが止んで ようやく気付いた。
四足が タエさんの蔓で縛られている。
それも、じゃれ合いなんてレベルじゃないくらいにきつい。
少し足に食い込んでいる。痛みまで感じ始めた。

「あのっ、離して……。」

「バーカ、せっかく捕えた獲物を だぁれが逃がすかよ。」

さっきまでの綺麗な女性の声が一転し、
まるで アニメの悪役に出てくるような低い声が僕の耳に飛び込む。
それに驚いて、体の頭からしっぽを通してビクンと震えた。

「やっぱガキは 女の優しさってのに弱ぇんだよな。
 困ってるときに親切なねーちゃんが助けてくれた……。
 とでも思ったか、ボウズ。」

どうやら男性だったらしい。ちょっと複雑な気分……。
いや、そんなことよりも、今は恐怖の方が何倍も大きい。
“美味しそう” “獲物”この単語から推測できることといえば……。

「さ、とっとと俺の腹ん中に入ってもらうぜ、目ぇ瞑りな、ボウズ。」

どうあっても受け止めたくなかった予想が見事に的中。
お願い、夢であって…… と、目をギュッと閉じて祈る。
なんてことしても、これは紛れもない現実だ。そんなことはわかってる。

再び目を開けると、そこには鮮やかなピンク色をした 狭い空間が見えた。
色は綺麗でも、涎は糸を引いてぬらぬらとテカり、見るからに汚い。
こんなところに無理やり入れられるなんてまっぴらだ。

けれど、心願とは裏腹に、その大口はどんどん僕に近付いてくる。
厳密に言えば、蔓の力によって僕が近づかされている。

「いやっ、やめてっ!」

残る力を振り絞って ジタバタともがいて抵抗する。
しかし、さっき擽られたせいで 思うように力が出せない。
もし出せたとしても、たぶん蔓の力の方が強いだろう。

「おいおい、目ぇ閉じてろっつっただろ。
 大丈夫だって、すぐに終わるからよ。」

ついに、無情にも僕の前足は 桃色の地獄へと踏み込んでしまった。
刹那、“ぐちゅっ”という、とてつもなく耳に障る音と共に、
不快としか言えない柔らかい感触が僕の前足を容赦なく襲う。

これ以上進みたくない。
暗闇に続く喉の奥が、僕の視線を虜にしている。

「……ひゃっ!」

不意に、隙だらけの僕のお腹を 柔らかくしなやかな何かが這う。
それが舌だと理解するのに時間はいらなかった。
奇妙な動きで、ソレは僕の脇腹にまで行き届き、緩やかに撫でまわす。
舌の先端が細いだけあって、気色の悪さに加えてくすぐったい。
今にも吐いてしまいそうだ。

僕の体は 更に奥へと追いやられ、
とうとう後ろ足まで口の中に押し込まれてしまった。
おそらく今は、僕のお尻と尻尾だけが外に出ている状態だと思う……。

“パクッ……”

――にも拘わらず、口の扉は早々に閉じてしまった。
今いる空間が一気に縮む。
そのせいで僕は 強制的に伏せの状態にさせられ、
あの気持ち悪い 肉厚な床に押し付けられた。

「むぐふっ……!」

もとより恐怖で声が出なかったこともあったけど、
これじゃそれ以前の問題だ。
いつの間にか、僕を縛っていた蔓は離れてなくなっている。
でも当然、今更動くことなんてできない。

こんどはじっくりと僕を味わうかのように、
上あごと下あごが 互い違いにこすれ合う。
しかも さっきの舌よりも単調な動きだ。
更に、あのぐちゅぐちゅという嫌な音が、今回は耳元で奏でられている。
そのうえ不幸は まだ重なり、口が閉じられたことで
密閉された口の臭いを ダイレクトに嗅がされる羽目になった。
口が開いていた時は あまり気にはならなかったけど、
こうなると この悪臭も拷問並だ。
さっきまで嗅いでいた 木の実の甘い香りが恋しい。

ねちゃねちゃした液体が口の中に入ろうが、鼻の中に入ろうが、
更には 元々この口の中にあったであろう
気味の悪い色をした塊が 鼻の上に乗っかろうが、
僕はただ それに身を任せるしかなかった。
ただ何もできないまま、時間だけが過ぎていった。

ある程度 味わわれた後、
ほんの少しだけ空間が広くなったかと思うと、
僕の体が少しずつ喉の方へと送られていくのを感じた。

「もう……ダメだ……。」

なすすべはない。
また 目を固く瞑って、
僕は全てをあきらめた。


「……ごめんなさい、お母さん。
 そして……ハル。」








最近、新人さんが増えてきて
焦る一方です(゜∀゜;)

※※裏話※※

実は、始め
シズクは女の子設定でした(笑)

シズクという名前は
1分足らずで思いついて決定しました。
いわゆる適当ですね。イヤン

タエさん→(Tae)逆から読んで→Eat
シズクさん、名前で気付くべき(-_-;)

《投稿所では自己新記録の3122文字!》
ダラダラわかりにくい証拠ですね。
誠に申し訳ない。

<2012/10/03 22:56 ギン鶴>
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