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しゃわでー ないと ふぃーばー ヒャッッホォォォオオォオイ!! − 旧・小説投稿所A

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しゃわでー ないと ふぃーばー ヒャッッホォォォオオォオイ!!
− 馬鹿 −
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※  ※  ※


「おいら、こう見えても実は
 群れの中でも 落ちこぼれの方なんスよ。
 それで いつもリーダーに怒られるんス。
 だから自由気ままに生きてるシズクが羨ましいッス。」

ハルが、半ば笑いながら言う。
よく考えてみれば、こんな相談につき合ってくれるひとなんて、
少なくともハルの群れの中にはいないと思う。
それに、表情が笑顔とはいえ、心の中では悲しいに決まってる。
みんなについていけなくて、それをわかってくれるひともいないだなんて。
僕だったらきっと耐えられない。

そういえば、ハルには……――。

「ハル、家族はいないの?」

下から覗きこみながら控え目に尋ねてみた。

「家族……ッスか。
 かーちゃんは おいらがまだ小さい頃、事故で死んじゃって覚えてないんス。
 それからしばらく おいらの世話をしてくれた ばーちゃんも、ついこないだ……。」

「あっ、ご、ごめんなさい。」

ハッとして咄嗟に謝った。
悪いことを聞いてしまった。
まさに捕食する者と獲物の関係だってことを忘れて 僕ったらつい……。
もしもこれでハルが僕に牙を剥いたりなんかしたら……――。

「いやいや、いいんスよ。
 それに ばーちゃんも言ってたっス。
 “悪いことがあれば、必ずその分いいことがある”って。
 おいら、今日シズクに会えてとっても嬉しかったッス。それが“いいこと”ッス。」

「ぼ、僕も、ハルに会えてすごく嬉しいです。」

僕はお詫びに この上ない笑顔を作ってハルに見せた。



きっと、シズクには素敵な家族がいるんスね。
シズクにはホント、羨ましいことだらけッス。
で、でも、おいらにだって……――。

「おいら、友達はたくさんいるほうなんスよ。」

「へぇ〜、羨ましいなぁ。」

「へへっ。
 おいらがミニリュウだったころは 結構いじめられたんスけどね。
 あの頃はまだ こんな翼も牙も、足すらなかったッスから。」

そう、あの頃は本当にドラゴンらしいものが何もなかったッス。
タツベイのジーメには 頑丈で石のように硬い頭があったし、
フカマルのコリグーには、小さいながらも鋭い牙がたくさん並んでた。
もちろん、ふたりも もうとっくにボーマンダとガブリアスになってるんスけど。

そういえば最近は、獲物も少なくなって 狩りが忙しくなったせいか、
そのふたりとも めっきり戯れることがなくなってるッスね……。

獲物……。
おいらの横に……。
って、またおいらったら変なことを!



「あ、ほらっ! 見えてきたッスよ!」

「え?」

僕の視線がハルの声に反応して彼の方を向いた。
彼は 前を指さして、今にも走り出しそうな勢いで僕を見ていた。
とたんに手を掴まれて引っ張られる。
当然 僕が足を合わせられるような速さじゃない。
ハルは構わずに丘を登っていく。
そのまま僕の体は滑空しながら 彼の走るままに飛んだ。

「もう、乱暴だなぁ。」

体についた土埃を払いのけながら呟いた。
今までハルには、僕のように小さな友達がいなかったんだから、
力の加減ができないのは当然なんだ。
そう自分に言い聞かせても、やっぱりなんだかちょっと悔しい気がする。

「あっ、ごめんごめん。
 少しでも早く、シズクにこの景色を見てもらいたかったんス。」

その言葉に顔を上げてみると、
切り立った崖の下に見える エメラルドグリーンの森。
木の葉に付いた雨つゆが月明かりに照らされて光り、
まるで宝石のようにキラキラと輝いている。
もちろん あの森にいるだけでは、こんな素晴らしい光景を見ることはできない。

「すごい……、綺麗……。」

「よかった、来たことなかったんスね。
 おいらのとっておきの場所なんスよ。」

僕が座って その景色に見とれていると、ハルは僕の横に寄り添って座った。
ハルの体は意外にも柔らかくて、とても温かく感じた。

「ありがとう、ハル。」

僕は深く頭を下げて もう一度ハルにお礼を言った。



“乱暴”だなんて……。
おいら、そんなに力を入れたつもりはなかったッス。
シズクに喜んでもらいたくて ただ……。

こんなに体格が違うと感じ方も変わってくるんスね。
やっぱりいっそのこと、シズクは獲物として食べちゃっても……。

「ねぇシズク、あのっ……そのぉ……。」

「あっ、ハル、今日はもう遅いしさ、また今度ゆっくり話そう!」

おいらがもごもごと口籠っていると、シズクがとびきりの笑顔で振り向いて言う。
その満面の笑みに一瞬シズクを食ようとした気が失せてアタフタドギマギ……。

「えっ、えっ!?
 ま、またおいらに会ってくれるんスか。
 こんなドラゴンで でっかくて おっかないおいらに?」

「あたりまえじゃないですか。 僕たちトモダチでしょ。」



「あっ……そ、そうっすよね!
 ハハッ……ハハハッ!」



おいらったら……なんて馬鹿なんだろう。




もうちょっと更新ペースを上げたい更新ペースを上げたい更新ペースを(大事なことなので2回半言いました
<2012/12/19 16:46 ギン鶴>
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