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大胆合コン【リク】 − 旧・小説投稿所A

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大胆合コン【リク】

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合コンと言えばファミレス。
真っ昼間の炎天下でもあったために暑さしのぎにも彼らはいそいそとファミレスに入っていった。
四人席と二人席をくっつけ六人席の大所帯な状態に。
残りの一席に荷物を置くことにした。
普通は男女向き合う…のだが異例の事態。
ハブネークはリオルに巻き付き抱き寄せ、擦りつくばかりで全く離す様子がなかった。
「あ〜このプニプニ感…病みつきになるぅ〜♪」
滑らかな鱗の体に擦りつかれながら、リオルは苦笑いをし内心困っていた。
彼女は凍りつき始めている空間に全くって言っていいほどに気づいていないのだ。
いつ声かけようかかけまいか。
と、凍りつく空間を砕く声が温めた。
「おーい、ハブちゃん。リオルの奴困ってるぜ?そろそろ離してやれよ」
へらへらと笑いながらハブネークに声をかけたのはバンギラスだった。
その純粋な飄々とした態度は誰をも、ぐうを言わせる。
彼女は我に帰るといけないいけない、とリオルを離し、元の席に座ってもらう。
バンギラス君に助かったと合図を送ると、いいってことよ、と頷いた気がした。
しかし僕はバンギラス君ではない、何かを感じていた。


合コンは滑ることなく楽しく続く。
バンギラス君がムードメーカーを仕切り、ますます盛りあがっていた。
しかし僕は気づいていた。
サザンドラ君があまり笑っていなかったことに。



昼食もとり、お腹を満たす六文目あたりで女性陣が僕らの注文を止めた。
喫茶店に行って美味しいお茶とお菓子を頂こうと言うものだった。
あまり喫茶店にいかない僕らは楽しみで仕方なく気分は上々。
とりあえずファミレスを出る前に用を足すことに。
「ちょっと僕、トイレ行ってくるよ」
席を立ち、リオルはトイレへと向かった。
しばらくして。
「…俺も、ちょっと行ってくる」
サザンドラも立ち上がり、トイレへと向かった。
ミロカロスは少し疑問に首を傾げるが、すぐに話題に戻った。
彼はついさっきトイレに行って戻ってきたばかりだったから。



「ふースッキリした」
個室から水が流れる音が響き、リオルが扉を開け、出る。
その目の前にはサザンドラがいた。
彼はいつも通りに済ました顔だがどこか冷たく感じていた。
「ど、どうしたのサザンドラ君。個室は他にもあるけど…」
間抜けた質問が彼にぶつけられ、クスリと苦笑する。
しかしその表情は酷く冷ややかで。
「…お前が羨ましいよリオル、俺は醜い考えしかできない」
ゆっくりとリオルに近寄り壁に手を当てるように、やや彼を押し付ける。
リオルはあわあわと焦っているようで、状況がまるでわかっていなかった。
蒼に濁った顔を小さな顔に近づけ、鼻を鳴らす。
鼻息に目を瞑りまた開く。
その顔はどこか半信半疑に変わっていった。
「どうしたんですか、サザンドラ君…」
橙の澄んだ目を見つめているうちに、壁におかれたおぞましい手は下ろされていく。
そしてサザンドラは右拳をタイル床に叩きつけた。
バン、と乾いた音がタイルに伝わり響き、リオルの肩がビクリと揺れる。
彼ははっと少し怯えたリオルを見ると、ため息をつき、リオルの目線に頭を下ろした。



「彼女は…俺の大学の一番最初の友達であり一番の親友だ」
「え?」
唐突に話しだす彼に気持ちを整えながら聞いた。
「俺はこういう奴だ、なかなかダチが出来なくてな。最初に研修時に声をかけてきてくれたのが彼女だった、人気者の彼女が正反対の俺といつも笑って一緒に帰ってくれる。…つまり俺はお前に嫉妬していたんだ」
顔を背け、再びため息をつく。
サザンドラ君がそう思ってたなんて。
全然気づかなかった。
「サ、サザンドラ君!君の気持ちをわかってあげられなくてごめん、僕、君が気が済むなら何でもするから!」
リオルの言葉に動揺しながらも、思い出したように肩をすくめる。
そういえば昔から責任感は人一倍強かったか。
別にいじめる気は……。
………。

「リオル」
サザンドラがようやく口を開く。
しかしその舌は、出しっぱなしだ。
「何か気が済みそうなことあった?」
彼は橙の澄んだ瞳に目を背けながら、
「ああ」
と呟いた。


<2012/09/26 23:12 ねじゅみ>消しゴム
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