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偽りの日 − 旧・小説投稿所A
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偽りの日
− No.2 −
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…ザッ…ザッ…

…この足音は僕の足音ではない、何者かが、居る。


そして、この足音は《僕に向かって近づいてきている》のだ。

慌てて周囲を見回すが、姿は見えなかった。
まだ、かなり遠くに居るのかもしれない。
だが、山の上から聞こえているのは分かった。


麓を見据え、山を一気に下り始める。

ザザザッ!!

坂で勢いが付き、周囲の木々が流れ、風を切り裂く。

もちろん、これはかなり危険だ、一度転んだら命の保証は出来ない。

木々の隙間を縫い、ひたすらに下り続ける、それでも、麓はぼやけている。

下っているような感覚もしなかった。


ザザザザッ!!


柔らかい疾走感。

そんな言葉が良く似合う。

僕はどれだけ走り続けただろう、無意識に、ブレーキをかけて、僕は止まる。


…ザッ…ザッ…

まだ聞こえる!!
音はさっきよりも近づいている、あれだけ走ったのに、なぜ…!?


僕は振り向く、音は聞こえるが、やっぱり姿は確認出来ない。

…ザッ…ザッ…

明らかに近づいてきている、僕はまた、下へと走り出した…


…ドサッ…

走り出した僕に、突如何かがぶつかった。
白い壁のような何か。

身体が弾かれて、地面に倒される。

『…何でこんな所に迷い込むんだろうねぇ?』

《それ》は呆れたように言った、僕は慌てて起き上がり、姿を見る。

『…まあいいよ、来ちゃったものは仕方ないさ…』


<2012/04/01 01:17 ラギア>消しゴム
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