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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜 − 旧・小説投稿所A

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捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
− 論外 −
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「……何が大自然の恵み100%だ。果汁ゼロのくせによく言え
るな」

竜用の自販機ゾーンからベンチへと帰る途中。
ジュース缶の裏に記載されている成分表に目を落とし、バビ
ロンはフンと鼻を鳴らした。基本的に炭酸飲料は口にしない
ため、オレンジジュースとリンゴジュースを購入したのだが、
オレンジの方はこれでもかと言わんばかりに化学調味料が詰
め込まれていた。「化学」ジュースと名を変えた方がいいか
もしれない。

「ま、私はどちらでもいいが…………あ?」

ギャンブラー達の間を縫って、何とか人混みを抜け出したバ
ビロンだったが、レムリアが待っているはずのベンチには予
想外の光景が広がっていた。竜専用の巨大なベンチには、見
たこともないカップルが熱烈に唇を交えていた。バビロンは
馬鹿でかいジュースを握りしめたまま、ヒュウッと口笛を鳴
かせた。同時に眉も吊り上げる。


「……んだよ。話掛けんじゃねぇよ鬱陶しい。失せな」

「フフ……そこのお似合いなお二人方。ひとつ訊きたいんだ
がいいか?」

「あ……ああ……」

"お似合い"と言われたのが満更でもなかったようで、雄の蛇
龍は嫌にあっさりと承諾した。元々、それがバビロンの狙い
だったのだ。でなければいったい誰が、こんな不格好なカッ
プルに「お似合い」などと声掛けるだろう。

雄の方はまだいいとして、雌の方はお世辞にも美しいとは言
えない。目の下に濃いクマを作っているその姿に、バビロン
はデスノートのLを連想せざるを得なかった。レムリアに会
いたいという気持ちが、それを機に一層強くなった。

「白だかクリームだかは忘れたが……そういう色の西洋竜が、
あんたらが来る前に居なかったか。待ち合わせをしていたんだが」

厳密に言うとそうではないが、バビロンは多少の嘘は踏みつ
ぶした。雄の龍は彼女と一瞬だけ目を合わせたが、すぐに首
を横に振った。

「……いや、俺たちは知らねえ。ここに来たのは数分前だが
よ……誰もいなかった」

「え、なぁに? あんたフられたワケ?」

背もたれに貼りついたまま、雌の龍はゲラゲラと笑った。そ
れを見て、バビロンはレムリアの口に手を当てて笑う癖が、
途轍もなく貴重なものに感じられた。雌龍の顔を爪でを引き
裂きたい衝動を堪え、代わりに自嘲の笑いをこぼす。彼女は
自分の発言が笑いを取ったと勘違いしたようだった。


「……まあ、知らないなら結構だ。これ、時間を取った詫び
にやるよ」

「ん? お……サンクス」

バビロンはすっかりぬるくなった缶ジュースを、両方とも雄
龍の手を目掛けて放った。丁度キスに疲れたのか喉が渇いて
いたのか、雄龍はすぐにリンゴジュースのプルタブを引き上
げようとした。

「あ、そうそう……君がオレンジジュースを飲んだ方がいい。
リンゴの方はそっちの可愛らしいお嬢さんにやれ」

「は……? 何故だ」

「健康のために」

物心が付いて以来、"可愛らしい""お嬢さん"という台詞を吐いた
のは初めてだった。バビロンは彼らに背中を向け、何かを嘔吐
しそうな顔つきで舌を出した。そしてすぐさま真顔に戻り、ニ
ヤッと口の端を吊り上げる。


「フフ……さぁて、白馬の王子様になるとするかねぇ……」



======================


レムリアは青年に指示されるがまま、三匹目の獲物となるフロ
ーゼルを壁際に追い詰めていた。既に彼女に呑み込まれた二匹
のポケモン達は、半透明な彼女の腹をもそもそと揺らしている。
そこに映る、ぼやけながらも特徴的な赤と緑の組み合わせは、
明らかにリザードとフシギソウだった。


「ど、どこの出身だお前……!! 種族名は!!?」

「ふふ……さぁ、何だったかしら」

フローゼルは分厚い辞書を抱え、いかにも明晰な頭脳を持ち
合わせていそうだったが、表情は恐怖に埋めつくされていた。
何しろ今目の前に立ちはだかるレムリアとは、7倍以上の身長
差があるのだ。そんな彼女に舌舐めずりをさながらじりじり
と壁際に追い詰められては、頭脳もへったくれもない。

レムリアはフローゼルの肩を両サイドから押さえ、身動きを
封じた後に持ち上げた。「やめろ……」という彼の台詞を終
始無視し、ピンク色の舌が覗く口内を見せ付けた。彼の直下
に見える深淵な肉洞の奥には、豊満な喉肉が関所のようにぶ
よぶよと蠢いている。



「ひぎ……っ……ぅ……」

「あら、私が嘘つきに見える? 大丈夫よ、ちゃんと後で出し
てあげるから……♪」

「だ、だからって何で俺まで……もう二匹も喰ったんなら
満足だろ!!?」

それ以降、レムリアがフローゼルの叫びに答えることは無
かった。ひょいと口の中に放り込み、半透明ながらも肉厚
な舌で彼の四肢を弄ぶ。彼女の頬は何度も内側から蹴りつ
けられているようだったが、口から漏れてくるのはくぐも
った呻きと唾液の糸のみ。一度口に入れた獲物を満足もし
ないうちに解放する気など、レムリアには毛頭無かった。


・・・ゴクン・・

「ふふっ……もう諦めちゃったの? 男の子なんだから、も
っと頑張らないと」

喉を下った直後から、フローゼルは一切の抵抗を放棄した
ようだった。逆らいようのない蠕動によって胃袋に連れて
いかれる際も、もはや食道の内壁に身を委ねている。

レムリアは白旗を上げたフローゼルと思わしき膨らみを、
ぷにぷにと無邪気に指で押し込んだ。悶える気配さえない。


…………とぷっ……ん……

フローゼルが胃に押し込まれた音を耳にし、青年は待って
ましたと言わんばかりの笑顔で飛び出てきた。レムリアが
獲物を探し喰らっている間、彼は草葉の陰から出るタイミ
ングを伺っていたのだ。しかしフローゼルが彼女の腹に沈
んだ以上、もう欲求を抑える必要もない。

青年はロンギヌス並みの馴れ馴れしさを持って、彼女のふっ
くらとしたお腹に飛びついた。端から見れば、彼が本当のマ
スターに見えるかもしれない。

「はは……そうそう、これだよこれ。喰われた様子を眺める
ならこうでないと」

レムリアに呑み込まれた者たちは皆、赤や緑はオレンジとい
った体色であるため、彼女の胃のどこに収まっているかは一
目瞭然だった。流石に各自の表情までは確認できないが、そ
れが逆に青年の興奮を掻き立てていた。息をハァハァと荒げ、
レムリアの温もりに満ちた腹部にしがみついている。

「お姉さん、こいつらを腹に入れたまま、そこの壁に押し付
けてもらえるかい? もちろん、間に僕を挟んでね」

「……わ、分かったわよ……」

こんな超ウルトラ級のクレイジーな要望に、なぜレムリアは
従順な下僕のように従っているか。理由はひとつ、半透明に
なった肉体を元に戻すための薬品をちらつかされたからだ。
その薬を青年の手から貰えなければ、レムリアは一生、この
透け透けの恥ずかしい姿で過ごさなければならない。

レムリアは青年に言われた通り、壁との間に青年を置いた上
で腹をそこに押し付ける。三匹もの犠牲者を含んでいるため
か、彼女の腹部はぶにゅっと形を変えて彼を優しく押しつぶ
した。容赦なくゴムボール級の柔らかさを誇る肌にサンドイ
ッチされ、青年は狂喜を越えて感極まっているようだった。


「っは……ひひ……ぅぶ……」

「ね……ねぇ、もういいでしょう? そろそろ薬を……」

「フフ、欲しくてたまらないのかい?」

「…………っ……」

"欲しい?"と訊かれて、すんなり"欲しい"と答えるのはそれ
なりに勇気がいる。しかしレムリアは薬を貰うのは当然の
権利であると自分に言い聞かせ、素直に「欲しい」と小声
で言った。

ところが青年の口から返ってきた返答は、彼女の淡い期待
を見事に裏切るものだった。


「……駄目だね。お姉さんはまだ僕との約束を果たしてない。
言ったよね?小さいポケモンなら10匹、大きなポケモンなら
2匹は食べてもらうって。お姉さんが食べたのは中ぐらいの
ポケモンを3匹だから……うん、大サービスして5匹で我慢
してあげる。つまりあと2匹だ」

「そ、そんな……」

「別に断ってもいいんだよ? そのときはこの薬瓶が落ちて
割れるだけだから」

「……女の子に嫌われるわよ? こういう事してると」

「全然構わないさ。人間のメスに対する興味なんて僕には
微塵もない。誰かが喰われて悶えるところさえ見れるなら、
それで満足さ」

「……はァ……」

レムリアは片手で顔を押さえ、改めて世界の広さを実感し
た。"あの"ロンギヌスでさえ、同世代の女にモテたい!! と
いう野望を持っているというのに、この青年からはそうい
った煩悩が感じられない。



ーーーー面白くない。レムリアは咄嗟にそう思った。

人としての生理を除けば、欲望の種類など千差万別だろう。
だからこそレムリアは大抵の人間を「面白い」と見て、愛
でることが出来る。彼女が何もかもが不器用なロンギヌス
のチームに身を置いているのも、鬱陶しいメンバーのいろ
んな個性に惹かれたからだ。

しかしこの青年は違う。ひとつの目的のために直進しよう
としている。レムリアにとっての「面白い」人間に分類さ
れない。人間の不器用さという美点を、彼は捨ててまで自
分の性癖に執着している。


「(つまんない子……)」

レムリアは30人以上の人間と接してきて初めて、不安も葛
藤もない、付き合い甲斐のない人間に出会った。





<2012/04/21 17:11 ロンギヌス>消しゴム
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