テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル


捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜 − 旧・小説投稿所A
RSS | 感想 | TOP
捕食旅館へようこそ 〜 ご主人様は肉の味 〜
− 魅惑の対価は −
|<< < 19 / 33 >>|

「………んっ……」

青年から受け取った未知なるカプセルを、レムリアは喉を鳴
らして飲み込んだ。一瞬の静寂が訪れたかと思いきや、青年
は自分の口に手を当てていた。懸命に笑いを堪えようとして
いるらしい。

「プッ……ククッ……ハハっ……」

「あら、そんなに変な飲み方だった?」

「いいや……やっぱり見かけ通り、無垢でお馬鹿なお姉さん
だなぁ……と思ってさ」

「……馬鹿?」

レムリアは首を傾げた。誰かのように悪口のひとつやふたつ
で堪忍袋の緒が切れるような事はないが、さすがにムッとし
たようだ。彼女はベンチに深く腰掛けたまま、その理由を聞
き質した。


「フフ……じゃあ言うけど、今更怒らないでね? もうカプセル
は飲んじゃった訳だし」

「……え? ええ……」

「……あの薬、劇薬なんだよ。身体中から色素が抜けてしまう
猛毒が入ってる。どれだけ真っ黒な竜や狼でも、3分で肌から色
が抜け落ちちゃうんだ」

当然、レムリアはえっと言って目を見開いた。
しかし2秒としない間に、それは彼女の「クスッ」という微笑に
掻き消される。


「ふふ……でも貴方の言うことが本当だとして、それって大きな
意味は無いんじゃないかしら。だって私……もともとこんな色よ?」

レムリアは若干面白そうに、妖美なクリーム色の右翼を拡げてみ
せた。確かに毒が彼女の色素を殺したとしても、体色がクリーム
色からホワイトになるだけだ。そんな些細な変化を、レムリアが
特に恐れる道理はない。
ところが彼女の余裕を踏みにじるかのような爆笑とともに、青年
は再び口を開いた。レムリアと対面した際に放っていた、あの神
秘的なオーラは消し飛んでいる。


「ハハッ……!! 誰が「白色になる」なんて言ったのさ。言ったろ?
完全に色が抜け落ちるって」

「完全に……落ちる……?」

「そうさ、完全に。……ほぉら、もう効果が出たみたいだ」

青年がまたしても腹筋を押さえるのと、レムリアが異変に気付い
て立ち上がるのと、同時だった。まるで絵の具が溶け出すように、
彼女の肌からクリーム色が消えていく。色素が去った後に見える
のは、カイオーガの海龍を想像させる半透明な肌。この段階に入
って、レムリアはようやく気付いた。

ーーーカプセルの毒が、自分から全ての「色」を奪っていることに。


「あっ……あ……」

レムリアは脱色が腹部から上下に拡がるのを止めようとしている
ようだったが、傍から見れば顔や胸を押さえているだけの滑稽な
ダンスにしか見えない。見る見るうちに侵食は進み、1分後には
クリーム色の部分は見る影もなくなっていた。

「ほら、これで終了。クリアドラゴンの完成だね」

「な……何……これ……」

見事に半透明と化した手の平を、急いで蛍光灯にかざしてみるレ
ムリア。残念なことに、それはもう光を遮られるような状態では
無かった。蛍光灯の光は彼女の手をあっさり貫き、床にぼんやり
とした影を映し出していた。


「フフ……そんな当惑した顔をしないでよ。大丈夫、ガラスや水
になった訳じゃない。透けていること以外は、元の肉体と何も変
わらないからね」

「………………だからって……こ、こんな……」

特筆すべきは、心臓や肺までもが忽然と姿を消していることだ。
いや、実際には消えているのではなく、単に見えないだけ。肌だ
けでなく、血や体内までもが余すところなく脱色されてしまった
ためだ。例えるなら、煙の中に別の煙を混ぜても、全く区別が出
来ないのと同じように。


「で、でもどうしてこんな事を……貴方にこれといった得がある
とは思えないけれど……」

「得が無いのにわざわざ話し掛けるはずないだろ」

青年はレムリアとの身長差の恐れを抱くことなく、すっと彼女の
目下へ歩み寄った。薄っすらと透き通った腹部の向こうには、本
来なら彼女の背中に隠れているはずの赤いベンチが見えている。


「フフフ……これでお姉さんの「色」は消えた。もう元に戻るこ
とは無いだろうね」

「えっ……」

これはレムリアにとって強烈な一言だったようだ。劇薬とはいえ
あくまで「薬」なのだから、効果は一時的なものだと思い込んで
いたらしい。彼女からそれについて訊かれると、青年は再び口に
笑いを含んだ。

「ククッ、何を言い出すかと思えば……薬で削ぎ落とした色素が、
自然に元に戻るとでも考えてたのかい? あり得ないね」

「そ、そんな……!!」

「フフッ……ま、例外はあるけど」

青年はジャージのポケットに手を突っ込むと、小さな茶色の瓶を
取り出した。表面には「解毒用」という手書きのラベルシールが
貼ってある。

「お姉さんのDNAには、ちゃんと自分の本来の体色がインプット
されてる。これはそれを頼りに、再び全身を着色する成分が入っ
てるんだ。飲めばたちまち、元の身体に戻るさ」








「……よ、要求は?」

「おや、察しが良くて嬉しいよ。なになに、お姉さんが失うもの
は何もない。ただちょっとばかり、僕を悦ばせてくれればいいだ
けさ」

「……?」

「フフ……」

次の瞬間、レムリアは青年の取った行動に愕然とした。彼はなん
と恥じらいの欠片も無く、自ら彼女のお腹に擦り寄ってきたのだ。
白い手でむっちりとした肌を撫で回しながら、甘える猫のように
横顔をスリスリと押し付ける。


「いいねぇ、最高……こんな絶品の温かさの中で、今までにいっ
たいどれだけの命が尽きていったんだろうねぇ……。胃液にトロ
ッとまみれてさ、断末魔さえも聞き入れて貰えずに……胃壁に呑
み込まれて……さぞかし苦しかっただろうにねぇ……」

「え、あ……ちょっと貴方……」

青年は喘ぐように息を荒げながら、レムリアの腹部に手や顔を擦
り付け続ける。微かな弾力に押し返されるのがまた気に入ったよ
うで、青年の動きはさらにエスカレートするばかりだった。

もちろん、他人を惑わす経験を何度も積んできたレムリアにして
みれば、この程度は嫌悪に値しない。しかし欲望を抑えることな
く、こうまで堂々と抱き着いてこられたのは初めてだった。今ま
でリーグの任務上、兵士などに抱き着いて堕とすことは何度もあ
ったのだが。

「貴方を悦ばせるって……もしかしてそういう事かしら。優しく
して欲しいの?」

「フフ……いいや、僕にそんな趣味は無いよ。もちろん、お姉さ
んみたいな美竜に興味が無い訳じゃない。優しくされたらそりゃ
嬉しいに決まってる。でもねぇ……」

相手が竜では腕の長さが足りないため、腹にへばりつくような形
ではあるが、青年は一方的な抱擁を止めようとはしない。あまり
に情熱的な青年の顔色や声に、レムリアの背筋に嫌な予感が走っ
た。



「……さぁ、嫌とは言わせないよ。僕の願いを聞き入れてもらお
うか。大型ポケモンなら2匹、小ポケモンなら10匹を食べてくれ」

「た……食べる……?」

「そうそう、お腹がたっぷんと揺れる程にね。手加減はしなくて
いいよ。適当な奴らを背後から襲って、そのまま丸呑みにしちゃ
えばいい。お姉さんなら頑張ればバンギラスだって喰えると思うよ」

「……ど、どうしてそんなことを…」

「フフ……この耳で聴きたいんだよ。君の胃袋の中で、彼らがどん
な命乞いをするのか。粘液と粘液が混ざり合って、どんな音を生む
のか。それと……」




「……この目でみたいんだよ。ぼやけ気味に透けた腹の奥で、食わ
れた連中がどんな悶え様をするのか、とかねぇ……フフ……」

サディスティックな青年の笑みが、ゼリーのようなレムリアの肌に
映り込む。彼の手に握られた秘薬を手にするため、彼女は素直に頷
くことしかできなかった。




最近、更新遅れて申し訳ないです。・°°・(>_<)・°°・。
<2012/04/15 09:38 ロンギヌス>
消しゴム
|<< < 19 / 33 >>|

TOP | 感想 | RSS
まろやか投稿小説すまーと Ver1.00b