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傭兵団の休暇 − 旧・小説投稿所A
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傭兵団の休暇
− 第六感 −
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へらへらと笑いながらレシラムを見上げるクロスの後ろで、俺は盛大にずっこけた。すかさず立ち上がり、クロスの肩を叩く。

「ちょおまっ…!突然喧嘩売ってんのかよ!」

「え〜?だって、レシラムから雌独特の魅力的で甘〜い雰囲気がしたからさ〜」

こいつの何時もの喋り方のはずなのに、今の顔と話の内容を合わせて誰かがこれを唐突に聞いたら、絶対に引かれる…。

ふとレシラムの方を見ると、驚きと焦りが混ざったような表情を浮かべ、軽く硬直していた。

「あれ?性別わからないの?モンスターボールのデータにはなんて書いてあったの?」

「いや、捕まえたと言っても、ボールに入れないまま一緒に行動してたから…」

「あぁ〜。なるなるそう言う事ねぇ〜」

うんうんとクロスは頷くと、レシラムを改めて見上げている。結構こいつのアドバイザーとしての評判は上々らしいけど、いっつもこんな調子なんだろうか…?

「でも僕の勘と第六感(シックスセンス)はばっちり、レシラムは雌だってでてるよ〜。しかもとびきりの別嬪さんってね〜」

「…そんな顔で言われると、お前が不健全な奴にしか見えないのは気のせいか…?」

「あっ!大丈夫大丈夫〜!僕って紳士だから!」

「本当かよ…?説得力ねぇ…」

不気味な程ににっこりと笑うクロスを見て、思わず俺はがっくりと肩を落としてため息をついた。

改めて、こんな奴に任せて良かったのだろうか…?少なくとも、精神科医としてのこいつに厄介になった時は、こんな風じゃなかった……。

とは自信を持って言い切れない…。

でも腕は確かだ。一時期、俺が軽く精神崩壊に陥っていた時に、見事に立ち直らせてくれたのはクロスだった。

その腕前は正に名医と呼ばれるに相応しい。相応しいんだけどその立ち振る舞いがね…。

「タツヤ君。診察はレシラムと君とで別個でやるから、ちょっとテントで待ってて〜」

「ん?一緒にこの場でやるんじゃ無いのか?」

「一応、話は各自別々でする事にしてるんだ。だから頼むよ〜」

「わかった。んじゃ頼んだぜ」

俺はとりあえず了承すると、テントの方に踵を返した。一瞬レシラムに目を向けると、じっと無言のままクロスを見つめている。突然襲いかかったりしないよな…?

幾つかの不安を抱えたまま、俺はテントの中に入った。




<2012/01/31 20:46 黒猫>消しゴム
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