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神々の戯れ〜水神の苦手なもの〜 − 旧・小説投稿所A

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神々の戯れ〜水神の苦手なもの〜

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「うん。あれって単に細いワイヤーで吊るしてただけだよね」

「わ、ワイヤー?水神様、もしそうだとしたらいくら我々人間でも気付くかと……」

水神の言葉に村長は疑問を投げかける。

「明順応と暗順応という言葉を知っていますか?」

水神の代わりに月夜兎が口を開いた。

「えーっと、確か明順応というのは暗いところから明るいところに急に出ると最初はまぶしくてよく見えないけど、時間が経つにつれだんだん通常通りに見えるようになるというやつですよね。暗順応は明順応の明るいところから暗いところバージョン、という感じだったかと」

「その通りです。そして連中はそれを巧妙に使って地主さんを騙したんですよ。やり方はこうです。他の場所に比べ暗い部屋に地主さんを案内し、地主さんの目を暗順応させる。その後地主さんが部屋の外へ出るよう仕向け、外の明るさによって地主さんの目を明順応させる。でもって完全に明順応が終わる前に地主さんを後ろを振り返させる。そして中途半端な状態でガクッと視力が落ちた状態でワイヤーで吊るした所長の姿を見せたのです。それでうまくいって油断したのでしょう。私たちのときはそんな手の込んだまねをせずに見せてきました。おかげで我々は難なく看破できましたよ。まあ仮に地主さんを騙したときのように手に込んだまねをしたとしても、我々の目は人間のそれとは異なるから誤魔化せなかったでしょうがね」

「なるほど」

一度は納得した村長だったが、あることに気付いて頭を上げた。

「待ってください。では消防団の人たちはどうやって騙したというんです?彼らも宙に浮いているのを見たと」

「どれぐらいの高さに浮いていたんですか?」

「さ、さあ?今から電話で聞いてみましょうか?」

「はい、お願いします」

村長は電話をするために席を立った。
しばらくして村長が戻ってきた。

「消防団の団長さんの話だと、あの建物の一階の窓と二階の窓のちょうどあいだぐらいに浮いてたとのことです」

「どうやら私の推測が当たったみたいだね、月夜兎」

村長の報告を聞いた水神が口元に笑みを浮かべた。

「と言いますと?」

「消防団の人たちが見たのは所長の格好をした人形だったんです。おそらく人形の後ろには棒があって、画鋲みたく壁に突き刺して浮いてるように見せかけたんでしょう。その証拠に建物に入るとき一階と二階のあいだあたりに不自然な穴があるのを私が見つけました」

水神はカバンからデジカメを取り出し、画面を村長に見せる。

「ほら、ここに不自然な穴が」

「た、確かに」

画面は建物を撮ったものなのだが、確かに一階と二階のあいだに不自然な穴が空いている箇所があった。

「こんな簡単なトリックに騙されていただなんて」

村長はため息を吐く。

「まあ気にしないでください。おそらく幽霊騒動も−−」

キャアアァアアーーッ!!

外から突然聞こえてきた悲鳴に月夜兎の言葉はかき消されたが、そんなこと気にするものはいなかった。

「外からだ!」

「急げ!」

月夜兎と水神、そして村長は慌てて外へと飛び出した。


<2011/09/15 13:06 とんこつ>消しゴム
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