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神々の戯れ〜水神の苦手なもの〜 − 旧・小説投稿所A
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神々の戯れ〜水神の苦手なもの〜

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水神が応戦を開始してから1分30秒後。
十人近くいたはずの山岳(以下省略)の所員たちの姿はなかった。

「うっぷ。もう無理……」

何故なら水神が全員食べてしまったからである。
さすがの水神もお腹いっぱいらしく、口元を押さえていた。

「あわわ……」

唯一食われずに済んでいた日戸は逃げ出そうとする。
だが

「どこへ行こうと言うのだね?」

月夜兎が立ちはだかった。

「おかえり月夜兎。うっぷ、どうだったの?」

「大収穫だ。なんたってコイツが全部話してくれたからな」

右腕につかんでいた所長を床に放り出した。
どうやら気絶しているらしい。

「コイツらどうやらここで麻薬の栽培と密造をしてたみたいなんだ」

「麻薬!?おえっぷ」

水神は驚いたらしく、飲み込んだ所員の一人を吐き出してしまった。

「もともとコイツらはコッソリと勝手にこの土地で栽培していた。ところが自分の土地で麻薬の栽培が行われてるなんてことをこれっぽっちも知らない地主さんがこの土地を売ろうとしたんだ」

「それ初耳なんだけど」

「ああ。なんでも某飲料水メーカーが工場を作りたいと言ってきたんだとか。多分地主さんたちは私たちがそれで気分を害すると思って言わなかったんだろうな」

「そんなことで機嫌悪くなるほど私は器小さくないよ。黙ってられた方が気分を害するなぁ。まあ今はそれどころじゃないね」

「コホン。で、そんなことされたら下手したら自分たちの犯罪が明るみに出かねないと思ったコイツらは今回の騒動を起こして土地の売却話を立ち消えにしようとしたというわけだ。……これで間違いないな?」

月夜兎は日戸の胸ぐらをつかんで確認する。

「クソ、完璧な計画だったのに」

と悔しがる日戸。

「いや、無理があるでしょ」

水神は冷静にツッコミを入れた。

「さてさて、この二人の処遇だが」

月夜兎はチラッと水神を見る。

「うっぷ、もう無理だよ。食べ過ぎちゃったみたい、おえっぷ」

水神はまた一人吐いた。

「くっくっく、実は強力な助っ人呼んだんだよ。そのお方に処遇を委ねようと思う」

「強力な助っ人?」

「ま、ついて来な」

月夜兎は所長を肩に担ぎ、日戸を引きずって建物の外へと向かう。
警察でも呼んだのかな。
そう思っていた水神だったが、建物の外にいた助っ人の姿を見て驚愕する。

「お、お父さん!!」

外にいたのは水神と同じような美しい蒼い鱗を持つ東洋龍、水神の父であった。


<2011/10/21 15:59 とんこつ>消しゴム
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