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神々の戯れ〜月夜兎の苦手なもの〜 − 旧・小説投稿所A

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神々の戯れ〜月夜兎の苦手なもの〜

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ウフフ、大成功〜。
水神は自分の口の中にいる月夜兎の憔悴っぷりから自分の計画が大成功したことを確信していた。

「姐さん、ワイらもう帰ってええか?」

赤い大蛇がおずおずと口を開く。

「いいよ。強引なお願い聞いてくれてありがとね」

水神は礼を言う。

「それはそうと、“あの”月夜兎はんをこんな目に遭わせてワイら殺されんやろか?」

今度は青い大蛇が口を開く。

「大丈夫だって。月夜兎は蛇が大嫌いなんだからふたりに復讐しようなんて絶対考えもしないって。ふたりも月夜兎の怯えっぷり見たでしょ?」

「ならええけど。じゃあワイら帰りますんで」

赤い大蛇と青い大蛇は巨体を這わせながら去っていった。
今のやりとりから分かるように、あの二匹の大蛇と水神は知り合いである。
しかし、だ。
月夜兎を食べたはずの紫色の大蛇の姿はなかった。
そもそも賢明な読者の皆様方なら気付いておられるだろうが、紫色の大蛇に食われたはずの月夜兎は今水神の口の中にいる。
それは何故か?
理由は簡単。
紫色の大蛇なんてそもそもいなかったのだ。
水神は赤い大蛇が控えていた壷の中を覗き込む。
中にはマトリョーシカのように小さな壷が入っていた。
その中身は幻覚作用のある薬だ。
しかも水神のお手製の特殊な薬で、これを服用すると『薬を飲んだ者が水神の姿を見ると、水神の姿が飲んだ者にとっての最も恐ろしいモノに見えてしまう』という極めて迷惑な代物であった。
水神はこの薬を舌の先に付け、ディープキスでからかうふりをして月夜兎に飲ませたのだ。
月夜兎からしたら私の姿はどう映ったのかなぁ?
今も月夜兎は大蛇に食われたと錯覚しているはずだ。
愉快、愉快。
水神は舌の上で月夜兎のことを転がした。


<2011/10/11 00:01 とんこつ>消しゴム
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