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消えた理性 Forth − 旧・小説投稿所A
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消えた理性 Forth

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「た、たたたたたすけてくれ!喰われちまう!」

ロイスはカイオーガに駆け寄り、助けを求める。

「えへへぇ、毎日僕のエサになってくれる?」
「...助け..」

カプリ..

「ひぎゃあああああ!!」
足首にハブネークがかぶりついていた。

「助けてええええ!!!」
「はぁ〜〜。ハブネーク、ありがと。もういいよぉ。」

「ちっ..本当に喰っちまいたかったんだがなぁ。」

ハブネークは残念そうに言うと、口を離した。

「ああああぁぁぁ.....え?」

驚いたのはロイスである。

「えっと...これはいったい...」
おそるおそる尋ねてみる。

「ハブネークは僕のともだち。君が逃げないよう
ずっと見張っててもらったんだぁ〜。」
「んな...バカな...」

思いっきりハメられた。
兎にも角にも、自分は食べられる運命...

・・ガクリ

ロイスは膝をつき、温かい火に当たる。
最初から承諾しておけばよかった...
今まさに痛感する。

「んじゃ俺は帰るぜ。」
「ありがとね〜♪」

カイオーガは笑顔で見送る。
そしてロイスの方を向き...

「もちろんOKだよねぇ〜?」

「わ、分かったよ...」

とりあえず今日は食べられないようだ。
ほっと一息つき、焼き魚を手に取る。

「これ、もらっていいか?」
「もちろん。」

ロイスは魚にかぶりつく。
焼き加減のちょうどいい身が空っぽの胃に
染み渡り、とても美味しかった。

そして気がつく。





喰うもの喰われるもの、
両方がいないと、世界は崩壊するだろう。
ロイス達人間だって、小さな魚にとったら強大な捕食者だ。

そしてその人間が喰われない理由なんてどこにもない。

生きるために喰われて、文句を言う資格なんて誰にもない。


弱肉強食の、世界だから...


<2011/05/15 13:54 ロンギヌス>消しゴム
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