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“みらい” 〜運命は我々に何を求めるのか〜 − 旧・小説投稿所A
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“みらい” 〜運命は我々に何を求めるのか〜
− − 捕虜収容所 − −
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「見えてきたぞ、あそこだ」

一面見渡す限りの海のなか、その島はポツンと存在していた。まるで忘れられたかのように…




自分を掴んでいる青い竜は気さくで話好きのようだ。
ただ黙って運ばれるよりは、と喋りかけたのがきっかけだった。




その竜によるとその島は周囲約15q程の小さめの島で竜が好んで巣を作るらしい。おかげで今の竜口(じんこう)は5〜6万匹くらいだと言う。




「さあ、着いた」

「着いたってここは…」

下ろされた場所は洞窟。しかし周りには先に連れてこられたであろう捕虜の姿がない。

「どういうつもりだ?」

「ここがお前の収容所だ。それ以外の何物でもない。ま、俺にとっては愛の巣、つまり家だけどな。」

「ますますワケわからん…」

「だからだなぁ……」




竜には捕虜を一ヶ所に集める習慣が無い。だから捕らえた捕虜は自分の家に連れていくのが暗黙のルールだと言う。




「と言うわけで帰すまでここで暮らしてもらうぞ。ああ、心配はいらない。むやみに捕虜は殺さないし、寝床も食いもんも保証してやる。」

「はぁ……」

とりあえず世話はしてくれるらしい。良かった…

「ああ、自己紹介がまだだったな。俺はアトラだ。よろしくな。」

「俺はミハイルだ。よろしく頼む」

ここでの生活ウンヌンを立ち話していると洞窟の奥から…

「パパ〜♪おかえり〜♪」

「おかえり〜♪パパ大好き〜♪」

「あなた、おかえりなさい♪」

元気な声と、艶のある心地よい響きの声がしたかと思えば、そこには紅の竜と小柄な二頭の蒼と赤の竜がいた。

アトラ「ああ、ただいま。留守の間良い子にしてたか?エルド、ローラ?」

エルド「うん、当然!」

ローラ「ママ怒らせたら怖いもん。おとなしくしてたよ♪」

アトラ「実際はどうだ?」

ルーナ「元気すぎて手を焼きました。まぁ怒るほどでは無かったけれど♪」

アトラ「元気なのは良いことだ♪」

すっかり家族の会話になってしまっていて、ミハイルの事など忘れている。

ルーナ「あら、そちらは?」

紅の竜がこちらに気づいた。

アトラ「捕虜のミハイルだ。当面の間、家で暮らす。」

ルーナ「そう、よろしくね♪」

ミハイル「こちらこそ」

子竜たちもこちらに気づく。

エルド「にゅ〜?獲物〜?」

ローラ「食べて良い〜?パパ〜?」

ミハイル「えっ…」

普段なら絶対に言われない言葉を耳にし、絶句する。

アトラ「今はダメだ。ここの生活に慣れてからな」

エルド「む〜」

ローラ「つまんない〜」

アトラ「すまんな、ミハイル。育ち盛りだから食欲旺盛なんだ。」

ミハイル「た、た、食べるって………」

アトラ「お〜いしっかりしろ〜」

ミハイルの目の前で大きな手を上下させるが焦点は定まってないようだ。

アトラ「まぁ、この反応が普通なんだがな…」

アトラは苦笑しながらミハイルを洞窟内へと持っていき、彼の家族もそれに続いた。







むぅ〜

捕食いけんかったな…




アトラ
・気さくで話好き。家族を溺愛している。不要な殺生はできるだけ避けようとしている。

ルーナ
・アトラの妻。怒りが頂点を越すと超鬼畜になる。夫に絶大な信頼を寄せ、我が子を溺愛している。

エルド
・長男。いたずら好き。育ち盛りで食欲旺盛。過去に一度だけ母を超鬼畜モードまで怒らせて痛いめにあった。

ローラ
・長女。育ち盛りで食欲旺盛。獲物を弄ぶのが好き。兄を慕い、常に手本にしている。パパっ娘。

ミハイル
・アトラに捕虜として自宅に連れてこられた。下級兵なので戦闘能力は低い。手先が器用。




<2011/09/10 22:34 トルーク>
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