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夜桜 ただ…待ち侘びて − 旧・小説投稿所A

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夜桜 ただ…待ち侘びて
− 一心同体 −
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すっかり冷えきった亡骸を無造作に放り捨て私は友宏を抱き上げる。
「友宏……?」
「桜華姉ちゃん……」
服が鮮血に濡れ、体もずっしりと重い。
体温も下がっており、冷たいのが触れば分かった。
「僕……今日は……来ちゃ駄目……だった……?」
「……馬鹿……」
この命はもう長くない。
それは私も同じ。
憑代である桜にダメージを負い、さらに投影で膨大なエネルギーを使った。
それでは私の命は持たない。
「何でかな……姉ちゃんが……とても綺麗に見えるよ……」
「馬鹿……馬鹿っ!!」
最初で最後の小さな命が言の葉を紡いで消えていく。
「何で……何で……どうしてこんな事になるのよっ!!」
友宏だって生きたい……生きたいのに。
私も生きたいよ……生きたいのにっ!
どうしてこんな早くに別れなきゃいけない?
これが運命? こうならなきゃいけなかったの?
「ねぇ……友宏……まだ、生きていたい?」
「ぅん……桜華姉ちゃんと一緒にいたい……」
「一緒にはいられないけど……その願い叶えてあげるよ」
私は友宏の腹部の傷にそっと口づけする。
「私が友宏になるから……私の分まで頑張って欲しい……」
私に今ある命を、エネルギーを友宏に分け与える。
私の存在はこれで完全に消え去って友宏と同じになる。
それでいい。それで友宏が生きられるなら。
私は……桜華姉ちゃんは喜んで死にます。

―友宏……き……―

……そこで意識は途切れて―

 * * * 
 
僕が目を開けたときには桜華姉ちゃんはいなくなっていた。
気付けば腹の傷も痕無くさっぱり治っていた。
―私が友宏になるから……―
桜華姉ちゃんに治してもらったんだ。
やたらに重い体を起こし、桜を見る。
そんな時期でもないのに、桜は満開だった。
血のような色鮮やかな桜の花弁が美しい。
どんな桜よりも綺麗だった。
「あっ……」
唐突に突風が吹いた。
その突風で桜の花弁は全て舞い上がり空に流れていく。
―私は友宏 友宏は私―
「うん」
僕は空に頷いた。


そして
あの日以降、あの桜は花弁をつけなくなっていた―
咲き続ける理由を失ったかのように……


はい、終わりましたっ
こんな作品でしたが
皆様ご感想ありがとうございました

今後の作品にもご感想のほう
お願いいたします。

今後について・・・・

ネージュさんとレムリアさんの合作

新作

どちら皆様はご希望ですか?

<2011/07/26 13:47 セイル>
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