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『運命』の記憶 − 旧・小説投稿所A
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『運命』の記憶
− 舞い戻る兄弟 −
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「牢屋ぐらし? 調子に乗るなよ。」

「なっ…」

失意に溺れそうなレムリア。しかし次の瞬間、彼女の耳に飛び込んできたのは、聞き慣れたロンギヌスの声だった。バビロンが警戒心をあらわにすると同時に、リビングは赤と金の燃え盛る炎に包まれた。二匹の竜の巨体を、メラメラと幻想的な火が舐める。どういう訳か、二匹は熱さも痛みも感じなかった。






ゴォォォオオオ…!!!

「マ、マスター…生きて…たの…?」

妖艶な炎の渦から、意気揚々とした顔でロンギヌスが飛びだした。バビロンに跡形もなく消化され、この世から消えたはずの肉体が、しっかりと床に足を着けて立っている。バビロンは計算外の事態に、ただ目を細めるだけだった。



「ま、まさかお前…T4メモリを…!!」

「ご名答だな♪ バイオリック社がこれを欲しがる理由…やっと分かったよ!!」

キチッ…『PHOENIX(不死鳥)!』


ロンギヌスの手にしっかりと握られた、黄金色に輝く禁断のガイアメモリ。『不死鳥』という死を超える力を秘めたそれは、ロンギヌスに最強の護りを与えてくれた。もちろん、バイオリック社が喉から手が出るほど欲しがるのも無理はない。


「だ、だからどうした…今さらお前一人が蘇ったところで、何も変わりはしない!」

「さすがだな人工竜。フェニックスメモリは死者を呼び覚ますことは出来ない。だからカイオーガもラティオスも…生き返らせられない…」

なぜか、ロンギヌスは笑いを堪えているような表情で話す。まるで自分は、勝機に満ちているのを知っているかのようだ。そして一滴の胃液も付いていないポケットから、もう一本、鋼のように銀のメモリを出して掲げた。


「『ロンギヌスの槍』は私が持っている…お前に勝ち目などない!」

「…死者を蘇らせるなんて無理だ…でも…過去なら変えてやる…!!」

カチッ…『DESTINY(運命)』




またさっきと似たような現象が起こった。
時空に穴が開き、二つの大きな裂け目がつくられたのだ。屋内なのにも関わらず稲妻が光り、髪を逆撫でするような旋風が巻きおこる。


「こ、これは…」

「簡単なことだよ。過去に干渉して、『カイオーガもラティオスも生き延びる』ように運命を変えたんだ。つまり…」

バリバリと空気を割くような雷。それが床を直撃したかと思うと、目の前にある時空の裂け目から、カイオーガとラティオスが這い出してきた。全身に、青白い電気をまとっている。








「ただいま♪ マスター。」

「今回も僕との約束、守ってくれましたね…」

世界に誕生したばかりのように、二人とも顔を輝かせている。その希望に満ちた表情は、どんよりと曇ったレムリアの心に、また笑顔を復活させた。


「あなた達…帰ってきてくれたの…」

「マスターに強制送還されただけですよ。まったく天国でのんびり暮らしてたのに…」

「へー…じゃあお前は帰りたくなかったのかよ。」

「とんでもない。また二人の顔が見れて…嬉しいばかりですよ♪」

一方カイオーガも、死ぬ前より活発に笑顔を見せていた。特徴的な赤いラインと、シャチ独特の白い模様が、なぜか前より似合っている気がする。

「さーって全員集合したトコで…早く終わらせちゃお?」

「…そうだな。これでまた振り出しに…いや、もっと優勢になった訳だ。」

活気を取り戻した彼らは、孤立無援となったバビロンの方を向いた。「槍」を持っているためか、依然としてバビロンから恐怖心は感じられない。

「たかが元に戻っただけ…私の戦闘力は見せただろう? どう抗うつもりだ?」

「…総力戦に決まってるだろ。仲間っていう最強の盾を…お前は持ってないんだからな。」

初めて自分が挑発されたことに、ムッと怒りを表すバビロン。彼が槍を構えるのと同じくして、カイオーガの手に清らかな水が、球となって集まる。

「喰らえ…!!」

「どうかな♪ サファイアディメンション!!」

音速で水球を撃ち出し、バビロンを衝撃波で吹き飛ばすカイオーガ。バビロンは思いきり、壁に強く叩きつけられた。槍を投げ損なったためか、バビロンは聞くにたえない悪態をつく。


「フン…無駄なことを。くたばれ!!!」

シュン…!!

今度はバビロンの方が先に動いた。寸分違わぬ計算で、狙いをカイオーガに定める。そして怪力を腕に集中させ、渾身で「槍」を投げた。
張りつめた空気を貫いて、槍は照準どおりカイオーガの目の前に・・





ザシュッ…!!!!

「くっ…い、痛てえ…」

「マ、マスター!?」

ロンギヌスが腕を広げ、飛んで来る槍とカイオーガの間に立ちはだかる。鮮血を撒き散らしながら、槍はロンギヌスの心臓を貫きとおした。

だが、『不死鳥』の力がロンギヌスを守った。突き刺された部分は、すぐに聖なる炎に包み込まれ、そして気がつけば傷は癒えていたのだ。

「マスター…だ、大丈夫なの?」

「見ての通りだよ。全身がバラバラに吹き飛ばない限り…俺は死なない。」

当然ながらこっそりとカイオーガの耳に囁いた。爆死すれば死んでしまうという弱点だけは、絶対に聞かれてはならない。
ロンギヌスは壁に深く突き刺さっている自分の槍を、全力で引き抜いた。


「ありがたいねバビロン…槍を返してくれるなんて…」

「き、貴様らぁ…!!」

カイオーガもラティオスもレムリアも…
T4メモリも槍も、全てこちらが有している…
ロンギヌスは、今度こそ勝利を確信した。


<2011/06/22 21:52 ロンギヌス>消しゴム
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