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『運命』の記憶 − 旧・小説投稿所A

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『運命』の記憶
− 紫の悪魔 −
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「たくさん遊んでくれたもんねー♪ お礼しなきゃ…」

「兄さん…何ですか!? その体…」

ラティオスが驚愕するのも無理はない。カイオーガの艶やかな肌
から、紫色のアメーバが血のように流れているのだ。全身…そして
両ヒレから滴り落ちる毒液を、カイオーガは狂おしい笑みでペロリと舐めとる。


「バビロンがくれた毒が…僕の中に棲んじゃったんだ♪」

「な…なに…?」

お遊びのつもりで与えた毒素を、カイオーガは自分の力として体内
に取り込んでいたのだ。彼の身体から滴るベトベトした毒液は、床
をあっさり溶かす。バビロンは悪魔のようなその姿に恐怖を覚え、
一歩ずつ後退していた。


「エヘヘ…溶かしちゃうぞ〜?」

「来るな!! この…化け物が…!!」

おばけ屋敷の幽霊を思わせる格好で、じりじりと壁際にバビロンを
追い詰める。「やめろ」「近づくな」というセリフは、悪魔に対し
て何の意味もなさない。自分より小さな相手に怯えながら、バビロ
ンは背中に壁が当たるのを感じた。

そして・・





ガァシッ!!
むぎゅぅぅう…!!

「あっ…があっ…んげぇ…!!」

羽交い締めにされ、苦痛の叫びを上げるバビロン。抱きつかれた拍子
に、毒液が彼の鱗にふれ、焼けるような痛みを生んだのだ。カイオー
ガは暴れもがくその黒竜を、毒まみれのヒレでさらにキツく抱きしめる。



ギュッ…むギュッ…♪
ジュゥジュゥ…プクッ…

「…ねぇーそんな顔やめてよ。可哀想になっちゃうじゃないか♪」

自慢だったアメーバ兵器が、まさか自分に使われるとは予想外だっ
た。バビロンはヒーヒーと肉が溶ける痛みに悶えながら、必死にカ
イオーガを引き離そうとしている。しかし口にエネルギーを溜め込
んでも、カイオーガは彼の背後にスルリと移動し、攻撃を一切させなかった。


「さってと…今日の僕は怒ってるからね? 覚悟はしてもらおうかなw」

「ハハ…海の王に殺されるとは…光栄だな。」

一瞬だけ嬉しそうな笑顔を見せるも、カイオーガは容赦なく、毒液が
ボタボタと垂れるヒレを、バビロンの口に突っ込んだ。毒液の味と臭
いは絶品で、泣き叫んでのたうち回りたい程だた。バビロンは耐えが
たい拷問に、なんと不意に半泣きになっていた。





「ぐっ…がはあっ…」

ところどころ鱗が溶けた、無残な体でバビロンはようやく床に倒れる
のを許された。カイオーガは身にまとった毒液を体内に戻すと、いつ
もの姿でロンギヌスの隣へと帰っていった。ロンギヌスは息も絶え絶え
に喘いでいるバビロンを、冷めた目つきで見下ろす。


「マスターどうします…? 亜空間に封印しましょうか?」

手にポッと、亜空間への入り口を出現させるラティオス。ロンギヌスは
それを制すると、風のような足音でバビロンの元へと歩いていった。
荒い息を吐いて倒れている巨竜に、しゃがみ込んで囁くように話しかける。


<2011/06/24 00:09 ロンギヌス>消しゴム
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