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『運命』の記憶 − 旧・小説投稿所A

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『運命』の記憶
− 失った三人目 −
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「バ、バビロン…あなたマスターを…」

壊れて動かない自動ドアを、槍でつき壊して入ってくるレムリア。彼女の目はすぐにバビロンの腹へ移動し、そして激怒の色を浮かべた。

「…これが最後の警告よ。マスターを吐き出して、ここから出て行きなさい!」

「フフ…いい台詞じゃないか。嫌だと言ったらどうする?」

「…決まってるじゃない…」

レムリアは槍の先端を、やり投げ選手のようにバビロンに向けた。いつでも投げられるように間合いを取りながら、外したら最期だということを認識する。

「それが噂に聞く『ロンギヌスの槍』か?&#160;
まさにこのリーグは宝庫だな…それも貰って帰るとしようか。」

「そう…死体にしてバイオリック社に送り返してあげる。」

決心し、今まさに投げようとしたレムリアを、バビロンは両手を上げて制する。


「まあ落ち着け。ものは相談だ…また交換しようじゃないか?」

「…一回あなたを騙した私達に…また条件を持ち出すの?」

「前回はロンギヌスによって裏切られたが…今度はそのロンギヌスが交換品だ。お前がその槍を渡すのならば、私は喜んでこいつを…」

体力尽きたのか、大人しくなった腹の膨らみを、ニヤッと微笑みながら指すバビロン。

「…吐き出してやるさ。」







「…約束は守るわよね?」

「フフ…君達のような嘘つきとは違うからな。」

真剣な眼差しで向かいあう、雪白と漆黒の巨竜。お互い相手の目に嘘はないか、確かめようとしているようにも見える。
そして二匹とも同時に、息の合った姉弟のように進みでた。主人を助けたい一心で、レムリアの槍をにぎる手はわなわなと震えている。











ドクン・・ドクン・・ドクン・・



「さあ…渡せ…」

あまりの緊張感ゆえに、お互いの鼓動まで聞こえそうだ。
バビロンの闇に塗られた指先が、早く寄こせとでも言うように槍へと伸びる。レムリアはバビロンの胃袋がむぎゅっと縮み、ロンギヌスであろう膨らみが、喉のあたりに戻ったのを確認した。そして…









…ガシッ!!

「なっ…!?」

「悪いなぁムゲン竜…」

バビロンを少しでも信用した事を、レムリアは激しく後悔した。彼と結んだ約束など、叶うはずが無かったのだ。

バビロンは槍を素早く奪いとり、翼を広げてレムリアから離れた。吐き出しかけたロンギヌスも、当然のように再び呑み込む。


「あなたって…最低ね&#8252;」

「それだけじゃないぞ? ずる賢くて負けず嫌い…おまけに極道ときたもんだ。」

レムリアの罵倒をあっさり叩き落とし、バビロンは余裕の笑みを復活させた。怒りに燃え上がり、レムリアは悔しさに血がにじむほど歯を食いしばる。


「どうして何も感じないの…人工竜って…」

「フン…不服か? 気休め程度にそいつら喰ら
っていいぞ。もう必要もないからな。」

そう言ってバビロンが指したのは、部屋の隅に固まっている、10人の彼の部下だった。全員が両手を縛られ、強制的に眠らされている。

「どうせ…バイオリック社に連れ帰るまでに処分する奴らだ。さて…」









「そろそろお前の主人の命、もらうとしようか?」

「…!! や…やめて…もうこれ以上は…」

無慈悲。一言で言うならばそうだった。
バビロンはすぐにロンギヌスの消化を開始し、レムリアの最後の仲間を消そうとした。不格好に膨らんだ彼のお腹が…刻一刻と小さくなっていく…



「ほらほらいいのか…? お前の大事な大事なご主人様……溶かしちまうぜ?」

「もう…やめて!!!!!!」

レムリアは両手からエネルギー弾を連発するが、バビロンはそれを見切り、かする事なく全て避けていく。まるでリビングの中で、竜同士の鬼ごっこをしているようだ。



そして・・五分後。




「ん? 腹が妙に軽いと思ったら…もういないじゃないか。」

「え…!?」

レムリアはその言葉で、死の宣告を受けたかの様な表情を見せた。あまりの恐怖に硬直する彼女を、バビロンは皮肉った顔で笑った。

「フフ…残念だったな。これでお前も牢屋ぐらし…」








<2011/06/22 00:02 ロンギヌス>消しゴム
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