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『運命』の記憶 − 旧・小説投稿所A

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『運命』の記憶
− 窒息注意 −
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MUSIC:『闇への旋律』







崩れたテーブルに腰かけ、暇そうにあくびを漏らすバビロン。彼の
艶のある黒い腹は、アンバランスに少し突き出ていた。さっきから
抵抗ばかりしてくるその膨らみに、いい加減嫌気が差してくる。

「しつこいぞ…とっとと蕩けろ。」

鮮血のような眼から睨みつけるが、ロンギヌスの抵抗力は衰える
気配がない。これはバビロンにとっても驚きだった。今まで食ら
った輩は、10分と持たずに諦めていったのだが…



「バ…バビロン様!? さっきの爆破はいったい…」

「あ? ああ…賞金首の始末より、お前らの処分の方が先だな…」

やれやれと面倒そうに立ち上がり、バビロンは戦闘員を壁に追い詰め
る。ここまでされたら戦闘員も、敬語を使っている余裕はない。

「ふざけるな…俺たちを意味もなく殺して…何が人工竜だ!?&#160;
高知脳が聞いてあきれる…」

「ハハ…お前はゴミを捨てないのか? 私はただ…不要な部下を駆除しただけだ。」

「て…テメェェェ!!!!!」

怒り狂った戦闘員が銃を取りだす前に、バビロンはその手を壁に押さ
えつけた。両方の手首を磔にされ、戦闘員は一転、どうする事もできなくなる…


「あっ…く、くっ…」

「フフ…本音を言わせてやった代償は、その体で払ってもらおうか…?」

バビロンはうんうんと呻く戦闘員を鷲掴みにし、黒光りのお腹に
鼻が埋もれるように抱き締めた。意外なその柔らかさに驚く間もな
く、戦闘員は呼吸を封じられていく…

「ぶふぅ…!! はぅ…離せ…っ…!!」

辛口な抱擁に抵抗するも、鍛えられた彼の腕力から逃げる事などでき
ない。鼻と口がしっかりとお腹に密着させられ、そして息が持たな
くなる。バビロンは不敵な笑みを見せつつ、哀れな戦闘員の悲鳴を聞き流した。

「もっと鳴くがいいさ…好きなだけ暴れてみろ。」

「ぅ…ぅぅぅうううぅ……ぅ…」

情けない声をバビロンのお腹との隙間から漏らし、
必死に死の抱擁から逃れようとする戦闘員。
しかしその顔は、少しずつ蒼白になっていった…










「……きゅぅ…」

「おうおう可愛い最期じゃないか…お役目ご苦労だったな。
お前もデザートにしてやるよ」

窒息させた「元」部下を、非情にも踏みつけるバビロン。青白い顔を
足でツンツンと突つき、玩具で遊ぶ子供のように楽しそうだった。



=============



「『工場』の…メモリか…」

トロッとした液体が垂れてくる、乾いた部分などないバビロンの胃袋。
少し手を動かせば、粘液が糸を引いてついてくる…そんな液体地獄の中
で、ロンギヌスは頭を抱えていた。
彼のヌメヌメした手には、ファクトリーメモリと設計図が握られている。


「造りたくないけど…仕方ないよな。」

規定を超えた力を持っているT4メモリ。それを造り出すのは、ロン
ギヌスとて本意ではない。
ただそれを利用しなければ…生きられないのだ。


キチッ…『FACTORY(工場)』

腹をくくり、設計図にメモリを突き立てる。『工場』 という機械を
造りだす力は、最強のメモリをすぐに出現させた。カラフルな三本の
メモリが、ばらばらとロンギヌスの膝の上に転がる。


「これが…T4ガイアメモリ…」

バビロンの体液に浸っているが、暗い胃の中でも輝きを失わない。
ロンギヌスは運命を握るそれらを掴むと、不安定な足場の上で立ち上がった。



<2011/06/19 15:55 ロンギヌス>消しゴム
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