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ぼくのなつやすみ − 旧・小説投稿所A

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ぼくのなつやすみ
− 雨上がりの記憶 −
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お勧めBGM:『集結の園へ』

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バビロンより授かったレインボーメモリ。それに秘められた力を
最大限に発揮できるよう、ロンギヌスは人間離れした風体になっ
ていた。左腕はオーロラ色に煌めき、牙や爪など、強いて言えば
ゾロアークに似ている。



ーーーーーメモリに応じて姿は変わる。精々上手く使うんだな。


「ありがとよ….バビロン…!!」


財竜に接近すればコインにされる。ならば遠距離攻撃で攻めて
いくしかない。ロンギヌスが念じると、全身に飛び道具がガチ
ャガチャと取りつけられた。数えきれない虹色の光線が、エル
フが放つ矢のように発射される。


「喰らえッ…!!」


シュガガガガガガガガ…!!!!

「…うっ……」


いかなる肉体をも貫通するビームに、財竜はよろよろとよろめい
た。この特殊な光線による攻撃は、血を流さずに、必ずスタミナ
を奪えるという優れものだ。ビームを乱射する様子は、どう見て
もバーソロミュー・く○。


ドギュンドギュンドギュン….!!!!


「僕に遠距離戦ができないだなんて思うなよ….手段はいくらでもある!!」


財竜とは文字どおり、「財宝」を司る竜種。
彼は自分の周りに、ダイヤモンドで造られたヤリを錬成した。
宝石店で売れば三兆円はするであろうその武器を、惜しげも
なくロンギヌスに向けて撃ち放つ。


プスッ…プスッ…プスッ…!!!

「マ、マスター!?」


ヤリは軌道を逸れることなく、その全部がロンギヌスの体を
突き抜けていった。しかしロンギヌスは倒れるどころか…血
すら一滴も落としていない。


「ど、どういう事だ……確かに命中したのに…!」

「….ダイヤが….虹に触れるはず無いだろうがっ…!!!!!」


ロンギヌスは身軽にジャンプすると、初めて財竜の腹に蹴り
を入れた。いつもの彼なら足の骨が折れているだろうが、今
は違う。虹の能力を手に入れた肉体は、今や光と同じ….…
とある世界の海軍大将、ピカピカの実の能力者と同等だった。


財竜は四メートル近く吹き飛び、グラウンドに植えてあった
木に背中から激突した。


「虹か…グフッ…なるほど、触れたことないや…」


木の幹に手を着きながら立ち上がり、ゲホッと血の混じった唾を
吐く財竜。触れた者をコインと化す彼の能力も、触れる事ができ
ない相手には意味がない。
しかし・・・・



「フハハッ…それで僕に勝ったつもりかい…」

「うん、勝ったつもり」

「へぇ….その自信もいつまで持つかな…」


初めて傷を負ったその表情には、まだ言い知れぬ「余裕」が
残っていた。



====================

〜 屋内 七階 〜




「ひひ…うひひ…..♪」

「あ…ぐぅぁ…あッ…!!」


バビロンは通りすがりに捕えた警官の口を、ガシッと右腕で
掴んで痛めつけていた。彼もカイオーガと同じ毒液を操れる
ため、腕から大量の毒を送り込む。だらりと垂れた警官の中
指から、毒液がポタポタと滴る。


「あ〜…w 面白いヤツばかりだな、ここ」

「あなた…五割は遊んでるでしょ?」

「五割? フフ…..いや、八割だ」


失神した警官を放り投げ、『電気制御室』と書かれたドアを
開けるバビロン。レムリアは神経質に周りを気にしながら、
ドアを無音でそーっと閉めた。


「…ね、ねぇ…ここに何しに来たの?」

「…分からないのか? 現代人にとって電気とは、空気のように重要
な存在。それは一般人でも政治家でも警察でも同じだ。つまり….」




ガチャン!!!
ブウウゥゥゥゥゥン………


「ブレーカー落とせば、奴らは何も出来ないのさ」

「なるほど…そう言われればそうね」


暗闇に完全に紛れてしまい、バビロンの漆黒の体は見えない。
にも関わらず全身が純白に近いレムリアは、闇の中でも丸見え
だった。


「…ククッ…不便な奴w」

「か、体の色に文句言わないで。私だってもっと…
か、可愛い色に生まれたかったわよ….」

「…それでいいよお前は…」

「えっ、何か言った?」

「シッ、黙れ。誰か来た…」


コツーン、コツーンと人の歩く音が聴こえる。電気の消えた廊下
を不自由なく歩いているのが妙だったが、彼らがいる部屋に立ち
入ることもなく、足音は徐々に小さくなっていった。


「…行ったようだな」

「ね、ねぇ貴方さっきなんて…」

「残念ながら忘れた。そろそろ行くぞ、時間もない」


闇の中で青く光る翼をバサッと翻し、バビロンは先に出ていった。
レムリアも置いていかれては大変と、慌てて彼の跡を追う。





<2011/09/03 22:16 ロンギヌス>消しゴム
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