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銃と君と仲間と − 旧・小説投稿所A

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銃と君と仲間と
− 導きのジンオウガ −
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「仲いいわねぇ・・あの二人」

2mのレムリアが、テーブルに肘を置いて呟く。その視線の
先にはいつも通り楽しそうなカイオーガと、それによって明る
さを取り戻したツタージャの姿があった。

無邪気に遊び回る二人に興味を示したのか、レムリアはガタ
ンと席を立つ。しかしそれと同時に、まるで図ったようにロン
ギヌスが部屋へと入ってきた。

「・・・ただいま」

「おかえりなさ・・どうしたの? 暗い顔して」

「ねーねーマスター、それなあに?」

レムリアの脇からカイオーガがスッと現れ、彼の手に握られ
た黒い小さなケースと銃のようなものを指す。

「帰りに拾ったんだけど・・どうも怪しいというか・・」

「・・どうして?」

ツタージャがカイオーガの頭に飛び乗り、変なものを見るよ
うな目で問いかける。ロンギヌスは黒ケースから妙なカード2
枚、取り出して見せた。

「これ・・ジンオウガよね? どこかで見た事あるけど・・」

「こっちはケロロ軍曹・・だよね? マスターってトレカ集めてるの?」

「違うっ!!『帰りに拾った』って言っただろ!!」

3人はキャラクターの描かれたカードに釘付けだったが、ツ
タージャは銃の方に関心を寄せていた。重そうに両手で持ち上
げ、ひっくり返りそうになりながら観察している。



「・・ねえカイオーガ・・カード貸してくれない?」

「ほえっ?」

カードの中のケロロ軍曹とにらめっこしていた彼は、慌ててそれをツタージャへと手渡す。ツタージャは不安と好奇心を
顔に浮かべながら、ガチャガチャと銃をいじくり始めた。

「ちょっ・・ツタージャ何やって・・」

『ライド___ケ・ロ・ロ!!』

不気味な声が銃から聞こえたかと思うと、銃口から閃光が迸った。光は見る見るうちに見覚えのある形へと変わってい
き、ついには立体化した軍曹の姿が、そこに立っていた。

「ゲロ?」

「なっ・・なななななな・・」

「ツ、ツタージャ・・何したの?」

「銃に隙間があったから・・カードぴったり入るなと思って・・」

ツタージャ自身とんでもないことをしてしまったと思っているらしく、ガチャンと銃を取り落とした。それをレムリアが
素早く手に取り、舐めるように眺め回した。


「ゲロ・・我が輩・・どこにいるでありますか?」

一方困り果てた様子なのは、急に出現させられたケロロのほう
だ。キョロキョロと辺りを見回し、ガーンと頬に手を押し込む。

「Oh Nooooooo!!!!! 迷子になっちゃったでありますかー!?」

「あ、あの〜・・ケロロ・・軍曹?」

部屋中を走り回るのを何とか押さえ、面と向かって話をさせ
る。しかし詳しい理由は双方知りもしないので、気まずい沈黙
が長々と続いた。

そのとき、再びさっきと同じ声が銃から響く。


『ライド___ジ・ン・オウガ!! 』

「きゃっ・・」

さっきよりも巨大な光が飛び出し、部屋中を閃光が包む。どうやら今度はレムリアがいじってしまったようだ。

光が収まると、ゲームで見るより鮮やかで煌めく鱗を持ったジ
ンオウガが、天井スレスレの高さで立ち尽くしていた。狼のよ
うに鋭い目つきで、ジロとロンギヌスを睨む。

「それを・・よこせ・・」

「えっ・・」

金色の鉤爪を光らせながら、蛇に睨まれたカエルのように大
人しいケロロを指す。ケロロの腕がギュッと自分の袖を握りし
めたのを、ロンギヌスは確かに感じた。

「・・どうした? 早く渡せ・・」

「な、何するつもりだ・・?」

もう既にねっとりした涎がこぼれているので、答えを聞くま
でもなかった。ジンオウガは巨体を彼らの目の前へと持ってい
き、ケロロの頭にその唾液を滴らせた。

「なっ・・何するでありますか!!」

「分からぬか・・? 夕食となれと言っているのだ」

鉄板さえ砕きそうな爪が、見事にロンギヌスとケロロを引き離
す。立派な牙の間から流れ出る涎に、ケロロはギャーギャーと
叫んでいた。

「我が輩まだ××歳であります・・こんなとこで死ぬ訳にはああ!!」

「フン・・言うがいい。 我が胃の中でな。」

ジンオウガは食欲ゆえのスピードで、あっという間にケロ
ロを一口で咥え込む。ゴポッと肉厚な音が部屋に広がり、喉が小さく膨らんだ。

「ふっ・・冬樹どのぉぉぉ・・!!MGもまだ造ってな・・」

・・ゴクン。




豪快な嚥下に、その場にいた全員が固まってしまった。ジンオウガはやや満足そうに笑みを浮かべ、ロンギヌスの方へ向き直った。

「げふぅ・・この際だから教えてやろう。 それはディエンドライバー、望む者を自由に造り出せる銃だ。」

腹部がぐもぐも揺れているが気に留めず、淡々と銃の解説をし始めるジンオウガ。




そして10分後・・



「精々上手く使うんだな・・運命がお前に与えたものだ。」

そう言い残すと身体が七色に輝き始め、ジンオウガは雲散霧消してしまった。どうやら造り出された者が願うと消えてしま
うようだ。

ロンギヌスは驚きを隠せないレムリアからライバーを受け取ると、カチッと引き金を引いてみた。


ドドキュゥゥ…ン!!

「うわぁっ!!」
「あっ・・」

銃口から放たれた光弾はカイオーガの頬をかすめ、向こうの
窓ガラスを粉々に破壊した。ただの武器としても使えるらしい。

しかし凄い威力に驚愕している間もなく、カイオーガが彼の肩を掴んだ。

「マ〜ス〜ター・・?」

「ごっ・・ごめん・・!!」

頬から軽く血を流しながら、カイオーガは笑顔で口を開ける。
内心は許してくれているのだろうが、そう易々と餌を逃がしはしない・・

アグッ・・ガプ・・ごくりっ・・






しかし後々考えて見ると、今日の出来事は小さなものだったかもしれない。

明日から繰り広げられる、大事件に比べれば・・



<2011/05/14 22:19 ロンギヌス>消しゴム
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