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異世界の漂流者 − 旧・小説投稿所A

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異世界の漂流者

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その後二人はグライフに許してもらい吐き出され、テスターとシュルツは医務室にいた

もちろんグライフにやられた傷の治療である

「まったく、噛み付く事はないだろうに・・・」

ぼそりとシュルツは呟くがさっきからテスターの視線が痛い

まぁ、あんな目に会ったんだから当然といえば当然だろう

シュウウウウウン

「ん?」

自動ドアが開きテトが入ってきた

あれ?あいつ怪我はしてなかったはずだけど・・・

「やっぱりここに居たか」

「どうした?」

「シュルツお前にお客さんだ」







「あ!シュルツさん!」

会議室に入ってきたシュルツとテスターにソラがぺこりと頭を下げた

他にも4人の獣人が椅子に座っており二人を見ている

獣人達はソラを除いて皆歳を取っており落ち着いた雰囲気を出していて多分重要な役職に就いているような人達だろう

シュルツはソラが座っている向かい側の席に座った

テスターはその隣へと座る

「助けていただいて本当にありがとうございます!」

ソラはもう一度ぺこりと頭を下げ感謝を伝える

「その・・・・食料の件なんですが・・・・・」

とたんにソラの顔が曇る

何か不都合な事でもあったのだろうか

シュルツに助けてもらったとは言え、280名分の食料を提供するなど普通はしない

多分副町長などの人達に反対されたのかもしれない

「食料を提供する代わりに条件があります」

獣人たちの視線が厳しくなる

シュルツは視線を無視し聞き返した

「条件?」

ソラはこくりと頷く

「・・・・私達の町を守って欲しいんです」

ソラの両目から涙がこぼれる

涙を拭き取りながらソラは続けた

「私達の町は何時も竜や狼、蛇や狐といった者たちに狙われているんです。私がさっき帰ったときも町民が5人犠牲になりました」

がくりと肩を落とし下を向く

ソラと入れ替わるようにして隣の獣人が口を開いた

「私の名はベルザ・ハスチェルと申します。副町長を務めておりますが、ここの所、毎日犠牲者が出ているんです。町を城壁で囲ったりしましたが思ったより効果が上がらずもうどうしようもないのです」

いったん咳払いをするとベルザは真っ直ぐシュルツを見た

「あなた方はこの鉄の城を作る技術を持っている。その技術を生かせばあの忌々しい化け物たちを倒す事が出来るのではありませんか!?」

ベルザは拳を強く握り締め声を荒げた

何としてでも守ってもらいたいのだろう

「鉄の城ではなく空飛ぶ船です。」

シュルツは質問に答えず間違いだけを訂正した

眉間にしわを寄せ腕組をする

「そ、空飛ぶ船だと!?」

獣人たちは動揺しざわつく

静かになったところでシュルツは口を開いた

「確かに我々の技術をもってすれば竜などを倒す事ができるでしょうね。あなた方の条件を呑んでもよろしいのですが・・・・我々にも条件があります」

「なんですか?」

シュルツは横を見てテスターと目を合わせると正面を向いた

「我々は異世界から来た漂流者です。いつかは元の世界へ帰るときが来るかもしれません。町を守るのはその時までとなりますがよろしいですか?」

「勿論です!」

ベルザはすっと右手を出してきた

シュルツも右手を出し握手をする

こうして食料を貰う代わりに町を守るという条約をシュルツ達は結んだ










日も傾きだした頃、森の中で巨大な狼2匹が話し合っていた

「人間?」

「ああ。いきなり鉄の城と共に現れたらしいぞ」

「中々興味深いわね」

雌の狼がこの話に興味を持ったようだ

しばらく考えた後・・・

「私人間の所に行ってみるわ」

そういい残すと一匹で歩きだした



<2011/06/29 19:02 雪風>消しゴム
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