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指輪 − 旧・小説投稿所A
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指輪
− めざめの時 −
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「・・・すー・・・」

『・・・この男は・・・俺が、護る。・・・命に、代えても』

「デュアル・・・」

『クロノ・・・否、ワールハデュ・アヴァシャス・・・お前は、俺の家族だ・・・』

クロノ・・・これは、時を示していた気がするが・・・。
しかし、この男に時はいらない。
俺が、この男のための世界を作ればいいのだ。
この男を傷つけた者達に、復讐せねば・・・。
そして、大陸を・・・我が物に・・・。

俺は気づかなかった。
このときにはもう・・・俺は、俺ではなかったということに・・・。
強欲・・・大海だけでなく、大陸をも求める・・・そう、俺は強欲という大罪に囚われた・・・咎人なのだ。
この男の全ても・・・欲しい。




















「デュアル・・・どうしたんだ?」

『?・・・何がだ?』

「どこか、違うような気がするが・・・気のせい?」

『気のせいだろう・・・』

デュアルは・・・何か違う気がした。
今までと・・・否、少し前から最初の出会いの時と、違う気がしていた。
しかし、何だか・・・それも特に気にすることでも無い気がする。
デュアル・・・俺は、金が欲しい。
金さえあれば、全てを手に入れられる。
食べ物も・・・権力も・・・愛も・・・何もかもが、手に入れることができる。

「デュアル・・・これを、お前に・・・」

『・・・指輪か?しかし、何故だ?』

「・・・デュアルと、俺は家族・・・俺の大事なものを託す」

『・・・クロノ・・・否、お前には・・・新たな名をやる』

俺は左手に填めていた、不思議な指輪をデュアルの左前足に填めた。
蒼く輝く指輪・・・今までは、輝きなんて無かったけど・・・。

そして、デュアルは俺に新たな名をくれると言ってきた。
正直、嬉しい。
俺は父親の顔も、母親の顔も覚えていない。
この名前でさえ、誰がつけたのか知らない。

「ありがとう・・・」

『お前の名前は・・・ワールハデュ・アヴァシャス・・・アヴァシャスだ』

「・・・いい名前だ。デュアル・・・お願いがあるんだ」

『何だ?・・・言ってみろ』

「・・・俺を傷つけた奴らに・・・報復してくれ」

俺は決心した。

俺は決心した。

俺は嬉しかった。

俺は嬉しかった。

デュアルは、俺に名前をくれた。

アヴァシャスは、俺と同じことを考えていた。

俺は泣いた。

俺は泣いた。

デュアルは俺を抱く。

アヴァシャスは俺に抱きつく。

ともに泣いた。

ともに眠った。

デュアルと・・・

アヴァシャスと・・・

人間達に報復するために・・・。

大陸を我が物にするために・・・。




















「・・・悪魔は、人間以外にも宿るのか・・・」

男は風を浴びながら、呟く。
遠く・・・蒼い光を放つ何かを、一心に見つめながら。

「・・・デュアル・・・お役目、ご苦労さん」

そういって、男は・・・海に飛び込んだ。
蒼い海に・・・灰色の光が・・・大きな、灰色の光をともす。


これって、6話目だよね?

終わりまで短い気がするww
<2013/02/28 23:27 ヘリオス>
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