Gポイントポイ活
Amazon
Yahoo
楽天
無料ホームページ
楽天モバイル
[UNLIMITが今なら1円]
海外格安航空券
海外旅行保険が無料!
草の根かきわけて - 旧・小説投稿所A
RSS
|
感想
|
TOP
草の根かきわけて
- 悩みの月夜 -
|<<
<
5 / 8
>
>>|
鬱蒼とした森の中を歩いていた2匹の狼は、少しばかり開けた場所へ出た。といっても、森の端まできた訳ではなく、落雷か何かでぽっかりと穴が空いた印象だ。
「ついたわよ」
そう言うと、俺の前を歩いていたオオカミは立ち止った。
「ここは?」
「縄張りの外れ。ここなら誰も文句は言わないわ。つきあってやっただけ感謝しなさい」
それ、さっきも聞いたっての。
しかし、結局それだけか。元凶のこいつなら何か知ってると思ったんだけど、そういう訳じゃねえようだな。ダメ元で聞いてみるか。
「それじゃあ・・・」
「ちょ、ちょい待ち」
踵を返そうとしたので、俺はあわてて呼び止めた。
「何よ?」
そんな不機嫌そうな顔向けられても困るっての。
「この森・・・さ、何か変な噂とか聞いた事ないか?」
「はあ!? 何よそれ?」
やっぱりこうにしかならねえよな。
「例えば突然姿が変わっちまうとか・・・さ」
すると、オオカミが急に優しい顔つきに変わった。
「かわいそうに・・・・・」
「そ、そんな憐れむような目をすんじゃねえよ!」
ダメだ。完全に馬鹿にされた。
「さようなら」
「あ、ちょ」
今度こそ本当に行ってしまった。俺はただ一匹、森の切れ目に取り残されちまった。
「はぁ・・・・・」
ため息しかでねぇ。いや、実はなんとなくこうなる事は予想はしていた。けど、ほんの少し残ってる可能性を信じるきゃなかったんだ。
それも、閉ざされた。
「俺、これからどうやって生きていこうか?」
今の俺はオオカミ。動物みんなから恐れられるオオカミ。そう、もう俺に帰る場所なんてねえ。
「畜生! 何でこんな目に合わなきゃいけねえんだ!」
やり場のない怒りに吠えると、その辺りの木にいた鳥達が一斉に飛び立っていった。
ほんのりと寒い風にあてられて、俺は目を覚ました。
「ん? もう夜か」
いつの間にか眠ってしまったみたいだな。満月が綺麗だ。少し目頭がまだ熱い。
「・・・・・・腹減ったな」
きょろきょろと周りを見渡すと、丁度俺の大好きな草が生えていた。
ラッキー。こういう時に空腹じゃますます気が滅入っちまうからな。
早速、その草を口に含んだ。
「ぐえっ!」
間もなく、俺は草を吐き出して地面にぶちまける事となった。一体なんだってんだ? 毒でもついてたか? いいや、違う。そんなはずはない。という事は・・・・・
おいおい、勘弁してくれよ。
いいや、状況的に考えて多分そうなんだろうな。
今の俺はオオカミ、オオカミが草なんか喰うはずがねぇ。
「一体どうすりゃいいんだよー!」
俺の叫びは、虚しく月夜へと消えていった。
<2013/01/24 17:24 ぶちマーブル模様>
修正
削除
全削除
|<<
<
5 / 8
>
>>|
TOP
|
感想
|
RSS
まろやか投稿小説すまーと Ver1.00b