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ゴクッと日常 − 旧・小説投稿所A

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ゴクッと日常

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「うーん…? ここも売り場だよな…」

「わぶっ…!!」

スタッフ口を出ようとしたロンギヌスの前
に、暗い店内がよく似合うポケモンが立ちはだかった。ロンギヌスは謝る間もなく、そのお腹辺りと激突した。


「うおっ…とっ…だ、誰だ!?」

「あ…ご、ごめんなさいわざとじゃ…」

尻もちをついた姿勢のまま、凄い速さでカイオ
ーガの所まで移動するロンギヌス。とりあえず彼
の所にいれば、何とか守ってくれると考えたからだ。



「んぅ〜…え? ギラティナ…?」

「全く気を付け…ってお前…まさかカイオーガ…」

懐かしのご対面にカイオーガはロンギ
ヌスをはねのけ、その煌きが美しい体へと抱き
ついた。ギラティナはあたふたと対応に困って
いたが、すぐに翼で不器用に撫でる。


「ひ、久しぶりだな…なぜこんなとこへ…?」

「マスターのご命令♪ ボク逆らえないんだぁ〜…」

「何だと…?」

「ちょっ、誤解を招くような事いうな!! お前が命令通りに動いた事なんてほとんど無いだろ!?」

ギラティナは冷たい視線だけでロンギヌスを
震え上がらせ、無言で「友を傷つけている
なら死刑だ」と言っていた。


「ひっひっ、さてお前さん方…もっと楽しませて貰おうかねぇ…」

老婆はロンギヌスがさりげなく、メモリ被験者
になるのを避けていのに気づいた。すかさ
ずオレンジ色のメモリを取り、職歴60年の「技」で投げつける。


「なんかキタアアアアアアアッ!!」

ゴチン…!!「SACRIFICE(憑依)!!」

メモリは百発百中の腕により、見事ロンギヌ
スの胸に入っていった。
顎を殴られたようなクラクラが走り、彼の視界はボヤッとする。


「ちょっ…だ、誰か助けt…」

ふらりふらりと意味不明なダンスを繰り広
げ、ロンギヌスはカイオーガに倒れ込む。
その瞬間、カイオーガは半透明になり、もや
もやとした煙になってロンギヌスへと吸い込まれた。日本人であるロンギヌスの目が、海のようなブルーに変わる。




「カ、カイオーガ…どこだ!?」

ギラティナの慌てた声に、カイオーガは返事をしようと声を出す。しかしそのいつもの明るい声が飛び出したのは、ロンギヌスの口だった。


カイオーガはロンギヌスに取り憑き、彼の
体を支配したのだ。髪の毛も鮮やかな青になり、
声もまるっきりカイオーガそのものだ。


「ヒッヒっ…一番面白いメモリさ…カイオーガの方が離れようとすれば元に戻るよ。」

「マスターの体かぁ…ちょっと動きにくいね」

「(悪かったな…!!俺にヒレとかある訳ないだろ!?)」

残念なことにロンギヌスの声はカイオー
ガにしか聞こえないらしい。むっとしたの
かカイオーガは分離を決め、元の姿となって帰ってきた。


日本人の黒髪、黒目に戻ったロンギヌス
は、精神と肉体を乗っ取られた疲労に膝を
つき、深く深呼吸した。
そしてまるでタイミングを合わせたかのように、ぐぅぅと誰かの腹の虫が鳴る。


「…誰だよ。朝ご飯まともに食ってないやつは」

「ボクだよぉー…マスターが寝坊したんだから責任取ってっ♪」

ぬらっとした口内を見せつけられ、ロンギヌ
スは慌てて隠れ場所を探し回る。しかし絶好の
ポイントらしき所は見つからず、ギラティナ
を押しのけて今度こそ部屋から逃げ出そうとした。


ヴゥン…「SACRIFICE(憑依)!!」

「「あ…」」


<2011/05/15 16:05 ロンギヌス>消しゴム
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