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僕らはシンジツを知る − 旧・小説投稿所A

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僕らはシンジツを知る
− 僕らはツヨシ −
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俺は逃げ惑う断末魔の中を白い怪物と共に阿佐ヶ谷駅南口の入口に立っていた。
あれから俺は避難の声を客にぶつけ、察した店員が放送で指示を出してくれた。
避難は順調に行き、誰も死ぬことなく町へと解放された。
しかし白い怪物は狭い入口を無理矢理壊しながら地上へと出る。
俺らがカラオケをしているときは空は美しい紅に輝いていたが、今は闇の世界がネオンと街灯に照らされる。
今日刻は新月であった。
白い怪物が砕いて降り注いだ小さな石を払うと、のたのたと這いずり出る。
人が叫び、駅員が110番を呼ぶ。
しかし奴は俺しか見ていなかった。
「ジ、ジジジジ…ジィムロオオォオオ!!」
だんだんとはっきりしていくその叫びのような言葉。
何故アイツは俺を知っているのだろう。
俺は漫画の主人公でもヒーローでもない。
ただのそこらへんに普通にいる高校生さ。
わからない、アイツの真理が。
「来いよ、さっきのようにはいかないぜ?」
「ヴアアアァアアアア!!」
くいくいっと人差し指で挑発すると、白い怪物は吠えながら突っ込んでいく。
しかし俺は片手で十分だった。

パシッ

怪物が撥ね飛ばそうとした瞬間、進行方向がカクンと曲がる。
突進する怪物の体に右手を置き、撫でるように受け流したのだ。
怪物は暫く走り続け、ハッとしてアスファルトを破壊しながら振り向く。
「ご、ごごご????」
「なに驚いてんだよ、さっさと来な」
さらに挑発されて大降りにジムロに突っ込む。
しかし結果は変わらず受け流されるばかり。
まるで闘牛と闘牛師の図であった。
喧嘩しにくるやつは元々気持ちが高ぶって興奮している。
さらに相手が化け物じゃあ突進一発食らったら骨何本いくか、内臓やられるか。
受け流しはダメージこそ与えられない、与える必要はない。
しかし喧嘩する時の気持ちは皆一緒。
煮えたぎる鍋にどんどん強火で煮ちまったらまともな考えも出来なくなって逆上せちまう。
喧嘩は力がすべてじゃない。
力を利用させられて、ボルテージが上がった奴に―――。

ドッ

腹に一発蹴りをかますだけさ。
「ガ………ご……」
唇の無い口から疲労の唾液が滴り痙攣する。
意外とこいつの身体は柔らかくってストレス解消にはちょうどよい凹み。
凹みが戻らぬうちに残った左足で回し蹴りを顔面に食らわせる。
小さく一回跳ねて崩れ落ちる。
弾力を利用したのもそうだが一番は違う。
回し蹴りは膝まづく。
ただ、俺は「強い」っていって生意気な奴を見下したいだけだ。
断末魔も静まり逃げ惑う人々はポカン、と大口を開けて見つめていた。
小刻みに震えて動かぬ柔らかい身体をブニリと踏みつける。
「……………」
「おいどうした、こんなんでへばるわけねえだろ……」
ふと違和感。
怪物の震えが大きくなっていく。
震えるというより揺れているに等しくなると。
未知が俺を見下した。
怪物の背中がパンッと風船のように割れる。
ザワリとざわついた。
たるんだ長い白の肉塊が空にぶちまけられる……はずだった。
一時停止したように止まると、長細く伸びた肉塊が触手のように俺に伸びて襲いかかった。
「なっうあっ、くそ!」
迅速に触手が俺の足に銅に腕に絡み付き、白い怪物に引き寄せられる。
触手がまるで縛り付けるように本体に俺を押し込む。
外から見たら白い怪物から人の頭に両腕両足がはみ出た感じだろう。
包まれている感触だったがこのまま取り込まれてしまうのではないかという不安が込み上げる。
そうはさせんと足を振り上げ蹴りを食らわそうとしたが。
目の前にずい、と何かが差し出される。
触手がなにかに絡み付き捕らえていた。
俺はその捕らえているものがなんなのか、認識するまで一秒ともかからなかった。
嗚咽混じりにぐずるそれは、子供だった。
女の子で、幼稚園児保育園児といったところだろう。
俺よりずっと柔らかな頬をひやりと冷たい触手で撫でながら差し出していた。
その子の首元には怪物の白い牙が光らせている。
抵抗したら…と言うわけか。
周りの大人たちもそれを察したか手を出せないでいた。
「ぐ…くっそおおおおおお!!」
結局なにも出来ぬ自分の無知さを思い知るように吠える。
しかし。
恐怖の音が鳴り響いた。

ゴググ…

唸り声に似たそれは怪物に満面の笑みを作ると。
少女を持ち上げ、ガバリと無数の牙を剥き出した。
俺はこの時からこの世界のナニカをを感じたのかもしれない。


かきたいものほど、


需要がないのは、


よくあることさ人生。゜(^ー^)
<2012/10/09 22:22 ねじゅみ>
消しゴム
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