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守る物 − 旧・小説投稿所A

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守る物

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「ど…どうして、あいつが…?」

僕はこの竜に見覚えがあった。というより、知り合い同士であった。
…知り合いたくもなかったが…

「うぅ〜。ゲフッ!7、8人喰ったか?腹いっぱいだぁ。でも、年寄りばっかだったのは残念だったぜ…。獣人の子どもなんて、極上の喰い物だからなぁ。
…ん?なんかいい匂いがするじゃなぇか。これは…」
ドラゴンは、不気味な笑みを浮かべた。
「獣人のガキの美味そうな匂いだ。」

!!!!!
「やばい…気づかれたわね。どうしよ…一旦引くしか…」
「おじさん!おばさん!」
ライムは我を忘れて、声を張り上げ呼びかけた。…しかし返事はなかった。

「よぉ。チビちゃん。誰かお探しかい?」

気がつくと目の前にドラゴンが立っていた。

「おじさんとおばさんをどこにやったの?」

「…おじさんとおばさん?あぁ、さっきの狼みたいな格好をした人たちのことか。
どこにやったかって?ふふ。そんなん決まってんだろ?俺の腹ん中だよ。いやぁ、なかなか手ごわかったぜ?最後まで抵抗するもんだからつい、噛み砕いちったけどなぁ!」

「う…ウソだ!そんな訳ない。」

「ほんとだっつってんだよ!」

ドラゴンがライムに手を伸ばし捕まえようとした。

{ま…まずい!}
僕は思わずライムのまわりに結界を張ってしまった。ドラゴンの手が弾かれる。

「くっ…!そうか。お前がいたんだっけな。ウル。」

「「ウル!?」」
二人して同時に声をあげた。

「久しぶりだな…リンド。50年ぶりか?」

「ああ。そんなもんか。お前がこの村に結界を張ってから。だが、最近弱ってたみたいだな。俺のブレスで簡単に壊れたぜ?」

{あの大きい音はその時の音だったか。それにしても僕の力がこんなに弱ってるなんて…でも!}

ウルの体が光り始めた。

「お前だけは倒す!」
「おおっと!」
ウルの光りがはじけて散った。
「お前はしばらくその姿でいろ。俺の食事の邪魔されたら困るからな。」

「なに!?」

「…さて、おチビちゃん。おじさんとおばさんとやらと同じところに行きたいだろ?」
リンドの尾がライムに巻きついた。
「すぐ会わせてやるよ…。」
尾を顔のほうへ近づけ始めた。大きな口をグァッと開ける。
「…と思ったが気が変わった。ウル!小娘!3日後、日が沈む前に俺の巣に来い。そしたら、こいつは返してやる。」

「ふ、ふざけんじゃないわよ!」

アルトがかかと落としを尾に決めた。意表をつかれたのかライムが解放された。
「むぐう…!なまいきな小娘が!お前を連れていってやる!」
そうして、尾でアルトに巻きつき飛び立った。
「きゃあぁぁぁ!」

「くっ!待て、リンド!」

僕は必死に手を伸ばす。
しかし、その手はとどかずやがて、リンドは見えなくなった。



新キャラ
アルト メス ライムの幼なじみ。兎の獣人。
兎の跳躍力を生かしたかかと落としが得意。
リンド オス 竜。深い緑色の鱗で覆われている。
少しなら魔法が使える。
ウルと因縁があるようだが…?
<2012/10/04 20:14 ピヨ助>
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