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しゃわでー ないと ふぃーばー ヒャッッホォォォオオォオイ!! − 旧・小説投稿所A

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しゃわでー ないと ふぃーばー ヒャッッホォォォオオォオイ!!
− 出会い −
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「う……ん……。」

もう朝か。
目に見えて疲れが取れていない。
昨日の夜 寝入ってから、さほど時間が経っていないように感じる。
身体を起こそうにも、ずっしりとした感覚が体を襲った。
まるで、重い何かが体にぶら下がっているようだ。

「……うっ。」

不意に襲った鼻を突く血生臭い匂いに、思わず顔を背けた。
昨日のことを忘れていたわけではない。
それでも予想以上の悪臭だ。
やっぱり、昨日のうちに洗っておくべきだった。


※  ※  ※


辺りはすっかり日が暮れて闇に染まった。
土曜日の夜。
そう、そろそろ彼との約束の時間だ。

さて、悪いことばかり考えるからダメなんだ。
そうさ、今夜はあのハルに会えるとってもいい日なのだから。
昨日助けてくれたドラゴンさんには、今度会ったときにお礼を言えばいい。
よしよし、こんな感じ。調子よく気持ちを切り替えていこう。

あ、もちろんお風呂には入ったともさ。
調子に乗ってちょっぴり香水も付けたりして。
オリエンタルなコロンってどうよ。
このしなやかなボディラインを活かして
セクシーな香りで魅惑の……あ、気持ち悪い? ごめんなさい。

そうだ、花を摘んでいこう。
あんなに僕と気だ合うんだから、
きっと僕と同じお花が好きに違いない。

綺麗な山吹色をした3輪ほど摘んで銜えた。
ん〜、いい香り。


※  ※  ※


いよいよあの大きな木が見えてきた。
近づくほど、また胸が高鳴り始める。
ああ、どうしよう。なんて声をかければいいんだろう。
思えば、そんなことも まだ決めてすらなかった。
だ、大丈夫、会っちゃえばなんとかなるさ。

木のそばに人影が見えた。
間違いなくハルは来ている。
お、落ち着け自分。スーハー、スーハー。

なるべく音を立てないようにして、木のそばに駆け寄った。
なぜか自分は俯いている。顔をあげることができない。
いま僕の視界に映っているのは、芝生の地面と巨木の根っこ。
でも、彼のゆっくりとした息遣いは小さく聞こえてきた。

じれったい! 自分でもそう思う。
そうだ、勇気を振り絞るんだ。

「こっ、こんばんは……。」

聞こえただろうか。
緊張しているせいか、恐ろしく小声で早口になってしまった。
も、もう一度……――

「は、はいっ!」

――言おうとした瞬間、
透き通ったきれいな声で返事が返ってきた。
でもこの声がハルという保証はまだない。
次は……。

「あなたの……お名前は……。」

さっきよりは自信を持って言えた。……つもり。
お願い、予想通りの返事であって……!

「ハ、ハル……ッス。」

よ、よかった。もうこれだけでも涙が出そう。
ただ文通相手と会うだけなのに、こんなにも感動するなんて。
ハルの声は未だに緊張している。
まあ、ハルらしいといえばハルらしいけどね。

「ふふ、よかった。
 シズクです。
 あ、そうだ、『せーの』で一緒に、
 木の陰から 月の明かりに出ましょうよ。」

「わ、わかったッス。」

いよいよだ。ハルと向き合って会える。
ハルがどんな種族であっても驚かない覚悟はできている。
それだけは、随分前に決心しているんだ。
あ、でもタエさんだけは勘弁ね。マジで。





「「せーのっ……!」」










「……え…………。」


「…………あ……。」


開いた口が塞がらないとは、まさにこのことを言うんだ。

いま僕の目の前にいるのは……。


「あの時の……。」

――そう言い放ったのは彼。
僕も覚えている。
そりゃあ つい昨日のことなのだから。

あの時……。
そう、タエさんから僕を助けてくれた あのオレンジ色のドラゴンさん。
いやまさか……。
……でも。


※  ※  ※


気付くと、僕はハルと一緒に歩いていた。
あれ。一体どこへ向かっているのだろう。

「改めまして……こんばんは。
 おいら、カイリューのハルッス。」

「えっと……。
 シャワーズの……シズクです。」

まさかハルがあのドラゴンさんだったなんて。
なんだか今でも頭の整理がつかない。
あ、そうだ。とりあえず、あのとき言えなかったお礼を言わなきゃ。

「あ、あのときは……、
 危ないところを助けていただいて……。
 本当にありがとうございました。」

「えっ、い、いや! いいんスよ!
 おいらも無意識だったってか……つい体が。」

深々と頭を下げる僕を見て、
ハルは両手をひらひらさせながら言った。
顔は少し赤みがかっていて、目も泳いでいる。
彼も動揺しているみたいだ。

翌々じっくりと彼を見てみると、
やっぱり見上げるほど大きくて、手や足も太い。
そして肩にはあの刺青。
も、もしや、
このまま僕を竜の山岳へ連れて行って仲間と一緒に食べる気じゃあ……。

「ど、どうしたんスか!?
 顔が真っ青ッスよ!」

「えっ! あ、いや、なんでもないです。 って、元からです。」

いや、待て待て。
もしも僕がこんなことを考えているなんて悟られたら、
彼にとって 僕が餌以外の何物でもなくなってしまうに違いない。
ここはあくまでも、今まで通り仲良く話をするべきだ。



びっくりしたッス。
まさかシズクが、こんなにうまそうなシャワーズだったなんて。
……はっ! おいらったらなんてことを!
大切な友達をうまそうだなんて。

シズクが歩くたびに、まるでおいらを誘惑するように肉が揺れてる。
あの柔らかそうな太股にかぶりついたら
口の中が幸せに……って、バ、バカなことを考えてちゃだめッス!
シズクは大切な友達なんスから!

ああ、でもやっぱり……――。

そ、そうだ、こんなときは気持ちを切り替えるッス。
おいらシズクのために、綺麗な水色の花を摘んできたんスよ。

「シ、シズク、
 これさ、君が喜ぶだろうと思って摘んできたんだけど……。」

「えっ。
 ぼ、僕もあなたに渡そうと思って花を……。」


おいらの手には水色の花。



僕の手にはオレンジ色の花。



ふたつの花はまるで、
向き合うふたりそのもののようだ。

「こ、こんなにも気が合うだなんて。
 ホントに不思議ッスよね。」

「ふふっ、そうですね。」

やがてふたりの顔から硬いものが消えて、
自然と灯火のような笑顔がこぼれていた。







いちゃいちゃしてんじゃねーよおまえらー(゜Д゜)


更新遅れてごめんなさい。
テストやら学祭やらで……。
あと、調子のいい時と悪い時の差が激しいんですよねぇ。
実際、今回の文を書いてた時間は、合わせても2時間程度かと。
一ヶ月もかかってこりゃあどういうことだ。(・ω・;)

<2012/11/05 22:26 ギン鶴>
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