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VD − 旧・小説投稿所A

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VD
− 3 - 恐怖 −
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『・・・それはね・・・貴方を食べる為よ♪』




















・・・無限とも思えるほど長い沈黙。その言葉の意味を頭で否定しながら、僕はやっと、口を開いた。

「・・・それはつまり・・・僕を食べるって事です・・・か?」

『今そう言ったじゃないのw ついつい会話を続けてたけど、元々貴方が美味しそうだから来たのよ?』

「・・・つまり食べて消化するって事ですよね・・・?」

『そうよ当たり前でしょw』

「・・・やだよ・・・まだ死ぬのは嫌です!!」

そう叫ぶと、僕は家へ向かって走り出した。こんなところで人生を終わらせてたまるもんか!
僕は、ただ助かりたい、死にたくない、
という気持ちだけを抱き、家へ向かって必死に逃げた。

『こら、待ちなさい!』

「待てと言われて待つ奴は居ない!!」

後ろを振り向かずに走っているので、あの竜がどこまで近づいているかは分からない。
だが、そんな事はどうでもいい。僕はそのまま走り続けて家の玄関をくぐり、安全な家の中へと入った。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・ふざけるなよ・・・誰が自分から死ぬかってんだ・・・」

しばらく玄関に座り、休んでいた。そしてだんだん落ち着いてくると・・・妙な事に気がついた。
あの竜と僕とでは体格差がありすぎる。もし逃げようとしても、
重いカバンを持った僕なぞすぐに捕まっていたはずだ。
にも関わらず、僕は逃げ切り、家の中に入れた。何で捕まらなかったのか・・・

僕の逃げ足が速かった?いやいやそれは都合が良すぎる・・・やっぱり、
故意に僕を捕まえなかったんじゃ無いだろうか。それが気にかかる・・・

とは言え、逃げ切れた事に変わりはない。今日の出来事は・・・忘れよう。
そう自分に言い聞かせ、制服を脱いで風呂に入ったあと、
僕は自分の机がある二階へと上がっていった・・・




















「・・・よし」

二階の寝室で明日の準備を済ませ、僕は布団に潜った。
最近寒くなってきたので、この暖かい布団に入ると・・・なんと言うか、幸せな気持ちになる。
もっともそのせいで、ナリの途中で寝落ちしてしまうのだが・・・

「はぁ・・・暖かい・・・w」

そんな布団に包まれ、僕はいつものように眠りについた。





・・・はずだった。

『フフ・・・可愛い顔で寝てるわねぇw』

布団に潜り、眠ろうとした僕の耳に入った声。その聞き覚えのある声に驚き、僕は目を開けた。
・・・開けた僕の目に飛び込んできた光景は、予想通りであり、有り得るはずのない光景。
あの竜が・・・フェリアが、僕の布団の上に乗り、目の前でしたなめずりをしながら僕を見ていたのだ。

「あ、ああ・・・」

だが、それは有り得ない。外でフェリアに会ったときには、暗くて良く見えなかったものの・・・
少なくとも、隣に立っていた電柱並みの体長だった。
そんなにも大きな竜が、この狭い家の寝室に入るなんて・・・無理だ。
この部屋にあるベランダの窓を全開にしても出来るはずはない。

『あらあら・・・びっくりした顔も可愛いわね♪そしてとっても・・・美味しそうw』

だが現実に、この竜は・・・フェリアは入ってきている。そして僕を・・・食おうとしているのだ。
・・・理屈や矛盾を考えても生き残れる訳ではない。とにかく今は、逃げないと・・・

「・・・そ、そうだ。逃げないと!・・・あ、あれ?」

布団から抜け出し、部屋のドアへと走っていった・・・つもりだったが、布団から出ることさえ出来ない。
まるで金縛りの様に、体が重い・・・いや、上から何かがのしかかっている。

『駄目でしょ逃げちゃ。そこで大人しくしてなさい・・・♪』

のしかかっていたのは、目の前に居るフェリアの腕だった。
僕が逃げられないように、布団の上から僕の体を押さえつけている。

「っ!・・・止めて下さい・・・お願いですから・・・」

『だーめ♪私だってお腹が空いてるのよ?
 しかもいきなり逃げるんだから・・・追いかけたせいで、ますますお腹空いちゃったわよ。』

「当たり前じゃないですか!死ねと言われて逃げない人間は普通居ませんよ!!」

『あら、私は"死ね"とは言ってないわ。"貴方を食べる"と言ってるのよw』

「似たようなもんでしょう!頼むから・・・僕を食べないで下さい・・・まだ死にたくない・・・」

涙を流しながら、必死の思いでそう言った。
どうせ「助けて」と言ったところで、多分逃がしてはくれないだろう・・・僕の理性はそう言っている。
でも今の僕にはそんなことはどうでも良かった。
"死にたくない。"その思いが、僕の口から「助けて」と言う言葉を発させ、僅かな可能性に賭ける。
・・・だが現実は、理性の言った通りの結末を迎えた・・・僕にとって最悪の結末を。

『何度言っても駄目よ。このまま話を続けるとますますお腹が空くから・・・食べちゃうわね♪』

そうフェリアは言い、僕の布団をはぎとった。いきなり布団をとられたせいで・・・寒い。
だが、僕の上にのしかかっていた手は離れ、僕を押さえるものは無い。
一か八か・・・僕は這ってその場から抜け出し、ドアへ向かおうとした。

「よし・・・わっ!」

『逃げちゃ駄目って言ったでしょう?』

だが足を掴まれ、布団の上に戻されてしまった。
走るならともかく、這うのでは・・・さすがに無理がありすぎたようだ。

「止めて!はなして!!」

『駄目よ。そう何回も言ってるでしょ・・・いい加減諦めなさい!』

フェリアがそう言った直後・・・一瞬何が起こったのか分からなかった。

「ヘックショイ!・・・ん!?」

急に寒気が・・・いや、全身が寒い。さっきも布団をはぎとられ、
寒くなったが・・・それよりも寒い・・・寒さを全身で感じる。
その理由は極めて単純だった。今の僕は・・・裸になっていたのだ。

「な・・・なんで・・・へぶしっ!」

『服があったら食べにくいでしょ?だから服を消したのよ♪』

「え・・・それって・・・」

僕がそれ以上言おうとした瞬間、顔に生暖かい何かが触ってきた。
"それ"はヌルヌルしていて、何かで濡れている柔らかいモノ・・・
"それ"が僕の目や鼻、口を塞ぎ、息が出来ない。

「ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙!?」

"それ"は僕の顔に張り付きながら動き回った後、離れていった・・・
そして僕の目の前で、"それ"はフェリアの口の中に戻った。そして僕の前に居る竜は一言。

『うん、美味しいw やっぱり子供は美味しいわぁ・・・それじゃ、いただきます♪』


<2012/11/18 22:04 想西>消しゴム
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