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狼と狐のち日常 − 旧・小説投稿所A

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狼と狐のち日常

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「あ、フラウ。前、王女が気になるとか言ってなかったっけ?」
「え、あ……まぁ……」

昼食を終え、僕は読書。
フラウは食器等を洗っている。
ごく普通の日常風景。

「桜も咲いているし、今日……城下町で迎春祭があるんだけど……一緒に行く?」
「迎春祭……?」
「春を迎える祭り。文字のまんまだけどね」

毎周期毎に行っている祭であり、親しみを持つ者は多い。
祭り事だからきっと、王女も来る事だろう。
髪飾りを目の当たりにして浮べていた表情は
’逢いたい’と素直に窺わせていた。
たまにはヘルパーという仕事から羽目を外し、休んでもらわないとね。

「マスターがよろしければ……」
「じゃあ、行こうか。準備しておいで」
「ご好意に甘えさせて頂きます」

その時、ちょうど洗い物を終えたようで
エプロンを外し、手の水分をタオルで拭き取ると
フラウは笑みを零した。

 * * *
 
「くくっ、今日は両手に華かえ?」
「そ、そんなんじゃないよっ」
「……浮気すれば……喰い殺すからの?」

菫がすぐ脇に寄ると、獰猛に喉を鳴らし
目付きが殺気を放ち出す。
……冗談ではない。
一瞬で本気と反論を言わせない雰囲気を醸し出していた。
当然の事ながら、僕は言葉一つ発せなかった。

「……分かっておるなら良い♪」
「お待たせしました」

玄関が開き、そこからフラウが現れる。
綺麗な蒼の鱗を露出した服装。
邪念の無い純真無垢の心を映し出したかの
汚れの無いベージュのワンピースに、ピンクリボンの巻かれた麦わら帽ー
その黄白髪の前面には、あの髪飾り。

「あっ///// に、似合って……」
「言っておる側から! この阿呆が!!(怒」

がぶっ! がぶがぶっ!

言葉を言い切る前には菫の鋭牙が肩に穴を穿つ。
手加減も無い、本気の憤怒を乗せた顎が肩を抉る。

「ぎゃぁぁぁっ!」
「菫さんっ! ま、マスターっ!」


……ちょっとした大惨事。


 * * *
 
城下町 東門ー

「じゃあ、今回もここで待っててくれる?」
「うむ。ちゃんと……お土産は持ってくるのじゃぞ? いいな?」
「うん。菫……」

相変わらず、菫の声は高圧的。
未だ、腹の虫は収まっていないようだ。
不機嫌な様子を隠す事無く、喉を唸らせ続けている。

「ふ、フラウ……行こうか」
「はい、マスター」

先に僕が門を開き、それにフラウが続く。

(いっそ、そ奴を喰い殺すか……)

……菫の本心が聴こえたような気がしたが
幻聴だと信じ込もう。うん、そうしよう。
城下町は以前にも増して、賑わいきっていた。
迎春祭で店も忙しくなく、販売を行い
屋台等も多く出ており、竜車、獣車は姿を消し
その代わりに、人々は車道に溢れている。

「王女さん、一緒に探そうか?」
「あ、よろしければ……」

……どうしようか?

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the Choices 4

 ・一緒に探すよ
  >> 29

 ・ 裏通りに用が……
  >> 30

 ・菫……まだ怒ってるのかな……
  >> 31
 
 
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<2012/03/30 23:44 セイル>消しゴム
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