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海神 〈6〉 〜え…犬……〜 − 旧・小説投稿所A

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海神 〈6〉 〜え…犬……〜

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「オイ、なんか…
 妙に静かじゃないか…?」

「…た、確かに……」

こちらは 食堂にて盗み食いに夢中となっていたサンダースとマニューラ…
当然、見つけてもらえるはずもなく、置いてきぼりとなったわけだ

「ハピナスが買い出しに行ってるから
 食堂には誰もいないが…」

「ちょっと見てくる…」

サンダースが 食堂を出て辺りを見渡す…
が、誰もいない
静まり返っていて 不気味なくらいだ…

「なんで…?」


“がうぅるる…”


小さく発した声に反応するかのように
どこからともなく 奇妙な唸り声が 廊下に響いた…
その威圧に 尻もちをつきながらも、
ぎこちない足取りで 食堂へと舞い戻った


「…マニューラ、なんかいた……」

「ん?誰かいたのか?」

「そうじゃなくて…
 ……お、お化け……」

真面目な顔で サンダースが真剣に放った一言に
マニューラは 絶妙な間をあけて 思わず吹き出した

「お、オマエなに言ってんの…?
 例のアレか?
 人気投票に備えて 可愛くふるまおうってか?
 それにしても 『お化け…』はねぇだろ…
 このご時世に ショタはねぇだろ…
 いや別に 嫉妬とかじゃなくてさ、
 確かに 今の上目使い ちょっと可愛かったけどもさ、
 どうせ可愛さじゃ ルーブには勝てねぇだろ
 悪いこた言わねぇから やめといたほうがいいって…」

「ち、ちがう…
 ホントに…! なんかいたんだってば!」

必死になって話すサンダースを見て、ようやくマニューラは立ち上がった
とは言っても、やれやれと呆れかえった表情で 廊下に向かっていく
さっきのサンダースの足取りとは打って変わった 堂々たる足取りだ

「もし なんにもいなかったら、
 食料庫にある お前の食料、五分の一貰うぞ」

「えっ…」

反論をする前に マニューラは食堂を出ていってしまった
サンダースは サンの実やスターの実などの
珍しい木の実を見つけることを得意としている
それを知っていてマニューラは あのようなことを…
…もし本当になにもいなかったら、
今 集めているそれらの二割も取られてしまうことになる

「…どうしよう…
 今 思えば、オレの空耳だったのかも…
 それに、皆もきっと どこかへ出かけt…」

「うああああああぁぁぁぁぁあああぁぁぁ!!!」


不意に 耳を劈くようなマニューラの悲鳴が 食堂の中にまで響いてきた…
やはり なにかが潜んでいたようだ…
…まずい
もし食堂に そいつが入ってきたら… 逃げ道は…… ない…











これを暴走と言うかどうかはあなた次第
<2012/03/03 12:39 ギン鶴>
消しゴム
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