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雪の足音。 − 旧・小説投稿所A
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雪の足音。

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あれから数刻の時間の経過……グラエナは近場の洞窟へと身を隠していた。

「…………」

―――あー、なんてバカだ。

グラエナが不機嫌そうに尻尾を地面に叩きつけている様子を見ても苛立ちが分かる。
その苛立ちが自分に向いているからこそ、口に出しても無駄なことだと判っているため口を閉じて歯を食い縛る。

こんなに苛立つ原因は数刻前に戻る。

「……このままロコンを消化しちまっていいのかな………」

グラエナはロコン達が気を失った頃、突然ぼそりと口に出す。
獲物として二匹を喰ったのは分かる。綿密な計算のもと、雪山には珍しいロコンとキュウコンという獲物が喰えたのは満足だ。後悔など微塵も感じていない。
問題は『その先』なのだ。空腹は勿論感じているのだが、あの表情がコロコロと変わる無垢なロコンの表情。巨大な自分に対しても決して怯えることもなく、礼儀正しい礼を述べてきたキュウコン。
グラエナの感度の良い耳に届いた二匹の声は腹に入ったてからでも疑問を抱いた声のトーンはあったが、憎しみの籠った声のトーンには一度も聞こえてくることがなかった。

「ちっ……!」

消化が始まるまでに残された時間はもう残り僅か。胃液が溜まり始めていてもおかしくない。

グラエナは突然力強く地面を蹴り上げ、川へと向かい、水を大量に飲み始める。
これでお腹に溜まる胃液も薄まり、時間は稼げる。

「炎タイプのお前達だがそれくらいは我慢しろよ?……ったく、一度喰ったものを吐き出すなんてしたことないぞ……?」

グラエナは二匹を吐き出そうとお腹に前肢を当て、力を込める!
少しお腹が揺れ、何かが込み上げる感触がする。

「くっ……なかなか苦しいもんだな」

少し力を抜いただけでも上がってきたものが逆戻りして落ちてしまう。身体が一度食べたものが吐き出せないように出来ていることに初めて後悔した瞬間でもあった。

「かはっ……げほっ!げほっ!」

何度試しただろうか……噎せて水が気道に入り噎せてしまうがなんとか二匹を吐き出せた。呼吸はしているが何分水の中に浸かっていた……体温が明らかに低く危険な状態だ。


やっと閲覧数2000ですか……w感謝なんですが、遅すぎですね……もっと精進しなければっ!
<2012/09/25 02:09 蒼空>
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