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【保】神々の戯れ〜神様、街へ行く〜 − 旧・小説投稿所A

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【保】神々の戯れ〜神様、街へ行く〜

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「へ〜、セルモスは違う世界にいたんだね」

「うん。まあどんな世界だったかはあんまり覚えてないんだけどね。それにしても省吾から『この世界には竜はいない』って聞いてたから、水神みたいな竜がいるって驚いたよ」

セルモスと水神が仲良くおしゃべりしているのを横目に見つつ、省吾は持っていたオレンジジュースを飲んだ。
ここは街から少し離れた場所にある大きな公園。
月夜兎は『ここで待っているように』と言って、どこかに行ってしまっている。

「月夜兎さん、どこまで行ったんでしょうね?」

省吾は水神に話し掛けてみた。

「さあ?でももう少しで帰ってくると思うよ〜」

水神はひょいと省吾のことを持ち上げる。

「あっ、言ったそばから帰ってきたよ。ほら」

省吾が水神が指差したほうを見ると、ドラム缶を載せた台車を押しながらこちらにやってくる月夜兎がいた。

「何を始めるんです?」

やってきた月夜兎に省吾が聞く。

「このドラム缶をこれで満たすんだよ。水神、引っ繰り返してくれ」

月夜兎はそう言うと、水神にドラム缶を引っ繰り返させた。
中から出てきたのは、異様なほど大量の紙パック入りの生クリーム。

「はあ」

不思議なことをするもんだな、と省吾は思った。
しかし相手は神様。
思考回路が違うのだろう、多分。
省吾は黙って月夜兎と一緒に紙パック入りの生クリームをドラム缶に注ぎ始めた。
徐々に真っ白な生クリームによって満たされていくドラム缶。
そしてドラム缶の七割を満たしたところで、月夜兎が止めた。


「あーあ、これ二度目だけどやっぱり嫌だなぁ」

月夜兎はぶつぶつ不満を言いながら服を脱ぎ始める。
それを見た省吾はびっくりして慌ててそれを止めようとした。

「何してるんですか?猥褻罪で捕まっちゃいますよ」

「おいおい、兎が素っ裸で何が悪い?」

こちらを振り向いた月夜兎を見て再び省吾は驚いた。
そこには先ほどまでの人間姿の月夜兎はおらず、自分の身の丈ほどはあろうかという巨大な兎がいたからだ。

「さて、入りますかね」

月夜兎はピョンと跳躍して、ドラム缶へと飛び込んだ。

「フフ、やっぱり美味しそうだな、月夜兎は」

「うわぁ、これは確かに食欲をそそられる……」

二頭の竜は舌なめずりする。
その口から少しヨダレが垂れているところを見ると、二頭からすればよほど美味しそうに見えているらしい。
ここで省吾はようやく月夜兎の考えを理解した。
あの場を切り抜けるために月夜兎さんは自分の身を犠牲にすることを選んだんだ。
省吾は月夜兎の心意気に感銘を受けた。
しかしそれは次の瞬間には崩れ去ることになる。

「おい、何をぼさっとしてるんだ」

月夜兎が省吾の胸ぐらを掴み、そのままドラム缶に引きずり込んだのだ。
突然のことだったうえに、月夜兎の力が予想外に強かったので省吾は為す術もなく生クリーム漬けになってしまった。

「何をするんですか!」

省吾は抗議の声を上げる。

「だってケーキバイキングのお店で、君は止めるのを手伝ってくれることに同意してくれたじゃない」

月夜兎は真っ赤な目を妖しく輝かせながら、ニヤリと笑う。

「あっ……!で、でも――」

「神様との約束を破るのはいかんなぁ。無駄な抵抗は止すことだね。あの時言霊使ったから、君の運命は私の手中にあるも同然だよ。まあ、これからはこのお二人さんに委ねられるけどね」

言われてみると確かに先ほどから脱出を試みているのに体が上手く動いていてくれないことを省吾は自覚した。



<2011/12/05 23:04 とんこつ>消しゴム
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