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神々の戯れ〜月夜兎の苦手なもの〜 − 旧・小説投稿所A

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神々の戯れ〜月夜兎の苦手なもの〜

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青い蛇は舌をチロチロさせながら月夜兎に近寄ってきた。
うう、やっぱり怖いものは怖い。
月夜兎は必死でポーカーフェイスを維持していたが、冷や汗は止まらなかった。

「続きまして第二弾。Come on snake」

水神は再び口笛を吹いた。
すると赤い壺から炎のように真っ赤な鱗の大蛇がにゅっと姿を現した。

「待て待て待て」

に、二匹だとぉ!?
恐怖が倍増じゃねぇか。
月夜兎の顔が徐々に引きつってくる。
実を言うと月夜兎を縛っていた縄はいつの間にか解けてしまっていたのだが、目の前の大蛇二匹に気を取られて気付かなかった。

「フフフ、かかれー!!」

水神は大蛇二匹に号令をかける。
それはすなわち死刑宣告であった。
まずは青い大蛇が月夜兎のことをくわえあげる。

「寒ッ!!」

青い大蛇の口内はとても寒かった。
なんだこの寒さは!?
唾液まで冷たい!
まるで南極の海に全裸で飛び込んだ気分だ。
青い大蛇は月夜兎の上半身を丁寧に舐めまわす。
寒さには自信はあるが、これはさすがにたまったもんじゃない。
だがこれだけではすまなかった。
下半身に赤い大蛇がかぶりついたのだ。

「痛っ!しかも熱い!」

赤い大蛇の口内は燃えるような熱さだった。
なんつー熱さだ。
ずっと前に水神の手作りサウナでひどい目に遭ったことがあったが、あの時よりも暑い。
暑いじゃなくて熱い。
赤い大蛇は乱暴に月夜兎の下半身を舐めまわす。
熱湯のような唾液がまとわりつき、月夜兎は苦悶の声を上げる。
すると突然二匹の大蛇は月夜兎のことを解放した。
月夜兎は地面へと叩きつけられる。
お、終わったのか?
そう期待した月夜兎だが、それは裏切られた。
今度は赤い大蛇が上半身を、青い大蛇が下半身をくわえたのだ。
熱すぎる唾液が月夜兎の顔面を襲い、月夜兎は目を閉じて必死で堪える。
うわ、赤い大蛇の野郎は乱暴だからちょっとでも油断したら熱湯並みの唾液を飲みかねない。
そう思って力を入れようとした月夜兎だったが。

「ちょ、やめて」

青い大蛇が月夜兎の(自主規制)を中心に優しく愛撫するように舐めまわすものだから力が入らない。
しばらくしてまたもや月夜兎は地面に落とされた。

「うびゃ!」

月夜兎は変な悲鳴を上げる。
疲労困憊になっていた月夜兎だが、状況を確認しようと顔を上げる。

「……見るんじゃなかった」

そして月夜兎はそれを見てしまったことを後悔した。
二匹の大蛇が合体し、紫色の鱗を持つ禍々しい外見の大蛇(それもさっきの二匹の二倍の大きさ)が、こちらを睨んでいたのだ。
そうだ、これは悪夢なんだ。
悪夢に違いない。
月夜兎は現実逃避してしまった。
そこに紫色の大蛇が鎌首を上げ、猛然と襲いかかる。
そして舌で器用にすくい上げてしまった。
紫色の大蛇の口の中は程よい温かさだった。
これはあれか。
熱いのと冷たいのが混ざって中和したのか。
そんな風に思う月夜兎。
肉厚な舌が月夜兎を覆う。
ん?蛇の舌ってこんなんだったっけ?
なんかさっきまでと違う気がするな。
というかこの感じどっかで覚えがある気が。
これってもしかして……。


<2011/10/01 17:17 とんこつ>消しゴム
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