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新たな土地、新たなる出逢い − 旧・小説投稿所A

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新たな土地、新たなる出逢い
− 王者の食事 −
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 サアアァァァ・・・・

 雨の降る音


 バキッ・・・グチャ・・・ピチャ・・メキキ・・・

 骨の折れる音

 ブチ・・・・ビイィィ・・・プツ・・・

 筋や腱が引きちぎられる音

 ペチャペチャ・・・

 流れ出る血を舐める音

 目の前が赤い。流れ出る血は雨に流されるものの、それがかえって周囲を赤く染めていた。鉄が錆びた様な鼻を衝く臭い。頭がぼうっとする。足からはジンとした痛みが伝わってくる。

「人間、どうした?お前は『ハンター』なのだろう?これしきのことに耐えれぬ様な柔な精神の持ち主ではあるまいに」

 ジンオウガが言う。
しかし、耳から入る音、目に飛び込む赤、足に伝わる痛み。それらによって鈍った思考はしっかりと言葉を認識できなかった。

「え?」

「しっかりせんか。全く、たかが丸鳥一羽を喰らう様を見せ付けられただけで思考を停止しおってからに・・・お前、本当に『ハンター』か?」

 口元を血まみれにしたジンオウガが呆れた様に言う。ついでに軽く尻尾で小突かれた。その衝撃に我に返る。

「え・・あぁ。大丈夫だよ。ちょっとぼうっとしてただけ。」

「ふん。隙が有り過ぎだ」

 そのまま興味を失った様で食事に戻ってしまった。
自分はと言えば、肉焼きセットも無く携帯食料も落としてしまったため、何も出来ることが無い。せいぜい、痛む足の様子を見るほどか。
先ほど、ジンオウガに顎で抑えられた際に少し捻ったようだ。幸い、それほど酷くやったわけではなく腫れ物に効く薬草を湿布にすれば治るのにも時間はかからないだろう。

 ガブ・・・ハグッ・・・ハグ・・・ング・・・

 先ほどまで聞こえていた解体音が聞こえなくなり、咥えなおすような音が聞こえ始めたので寝床にでも帰るのかと思い見上げると大分小さくなったガーグァの体が呑み込まれて行くのが見えた。

 ング・・・ゴリ・・・ンググ・・・ゴクリ・・・

 閊(つか)えた骨を器用に折り取ると、一気に呑み込んでしまった。最初はマズルの根元から喉へ、そして首を経由して腹に膨らみが移動していく。硬いとばかり思っていた胸殻が意外と獲物の動きに追随して膨らみ、戻っていく様は思ったよりも魅力的だった。
正に、命の消える瞬間。そして、他者の糧となる瞬間。だが、その様子は美しかった。王者としての猛々しさ、命の儚さ、小雨に映える稲妻。そのどれをとっても・・・・

「うむ。美味だ。」

 口の周りに付いた血を舐めとりながら満足げに呟くジンオウガ。心なしか雰囲気が柔らかくなった様な気がする。が、同時に冷や汗も噴き出してきた。理由は分からない。けれども嫌な予感がする。
その理由はすぐに分かった。ジンオウガがこちらをチラチラと見ているのだ。それも、「早く帰るぞ」などと言ったものでは無く、値踏みをするような、ともすれば襲い掛かって来そうな視線が向けられているのだ。

「ふむ。今宵のメインディッシュはなかなかに上等なものが食えたな・・・・・。だが、メインディッシュだけでは食事は成り立たん。上等なデザートがあってこそだと思うのだ。そうは思わんか?人間よ」

 ニヤニヤと背筋が凍るような笑みを浮かべ、一歩、また一歩と歩み寄ってくるジンオウガ。その巨体。血に染まった口。鋭い、獲物を見るかの様な眼差し。未だに体に纏われた稲妻。すべてが美しく、獰猛で、危険な香りを醸し出していた。
身の危険を感じ、じりじりと下がる。だが、悲しきかな。人と竜の一歩はまるで移動する距離が違う。下がり続ける自分をあざ笑うかのように縮まる距離。そして、運命は目の前の王者から逃れることを許してくれなかったらしい。背中に硬い感触がし、下がる足が止まった。あわてて振り返ると巨木が進路をふさいでいる。

「なあ、人間。お前に遭ったときから思っていたのだが・・・」

 ついに手を伸ばせばその鼻先に触れれるまでに近づかれてしまった。最早逃れる術は無い。それを知ってかジンオウガが余裕綽々といった風に語りかけてくる。次の一言は、自分に絶望を与えるのに十分過ぎた。

 お 前 、 美 味 そ う だ な




お久しぶりです!お楽しみいただけましたか?
就職試験があったので全く更新できず、ご迷惑をおかけしました!
その代わり、といってはアレですが。本気をだして書いてみました!
就職もきまったので余計に力が入っております!
感想のほどを書いていただければジンオウガさまがお邪魔するかもしれませぬ。
では、また!
<2011/10/17 23:05 リオレイア>
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