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『運命』の記憶 − 旧・小説投稿所A
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『運命』の記憶
− 血 −
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「何で邪魔したんだ!? お前はカイオーガを…自分の兄を捨てたんだぞ!?」

半泣きになりながら、ラティオスの肩を掴んで訴えるロンギヌス。
流石に「自分の兄を捨てた」にはカチンときたのか、ラティオス
は逆にロンギヌスを床に押さえ込んだ。さらに喚き散らすのを止
めようと、自分の手を猿ぐつわとして噛ませる。

「ぅが…がぁあっ…」

「捨てたですって…? あの時兄さんを助けに行ってたら、ここにいる全員爆死してたんですよ!? それに兄さん自身が、マスターを追い返したじゃないですか!!」

「へぇ!! だから見捨てたんだ?」

お互いに堪忍袋の尾が切れ、とうとう揉み合いの喧嘩にまで発展した。
さっきまで一緒に冗談飛ばしていた仲間を、たった今失ったという
のに、殺意が牙や拳となって現れる。


「やめなさい!!!!!!!」

「…!!」
「・・・」

レムリアの口から叱責が飛び、二人を一瞬にして黙らせた。ロンギ
ヌスに喰らいかかる姿勢で固まっているラティオスに、レムリアは
一転して落ち着いた口調で話す。

「全部わたしが根源だもの…殴るなら私でしょう?」

「…っ…」
「そんな事…」

目に涙を浮かべたまま、膝をついて悔やみきれない思いを噛み締める
レムリア。彼女の海のように青い瞳は、図らずもカイオーガを連想さ
せた。ラティオスもロンギヌスも、それに耐えきれずに涙を流す。



「…いたぞ!! そこだ!!!」

「しまった…」

新たにやって来た戦闘員が、遠くの方に姿を現した。後悔に泣く暇すら
ないことに、ロンギヌスはようやく気付いた。カイオーガが死のうが燃
えようが、奴らにはもちろん無関係…むしろ喜ばしい事態なのだろう。


「とにかく今は逃げろ…闘うしかない!!」

階段を三段とばしで駆け下り、閉まった扉は無理やり蹴破った。
ロンギヌスは自分がどこに行くべきなのか思考が働かず、無我
夢中でリーグ中を走り回っていた。プールも売店もロビーも…
あっという間に銃の跡だらけになった。


そして・・ラティオスと一緒に朝を過ごした、あの休憩室で、悲劇は起こった。





ーーーーーーーーーーーーーー



ヒュッ…ザシュゥッ…!!

「コカコーラ」と書かれた自販機に、鮮やかな血が飛び散った。
ラティオスは背後から忍び寄っていた戦闘員に首を斬られ、致命的
な傷を負っていた。力なく壁に寄りかかり、ズルズルと床に崩れる。

「ラティオス…!! う、嘘だろ…」

「…さっき言ったじゃないですか…早く逃げて下さい…!!」

津波のように押し寄せてくる戦闘員の群れを見て、ロンギヌスは
激しい葛藤に駆られた。レムリアはラティオスを斬った戦闘員を倒
すと、ロンギヌスの手を引いて走り出す。

「マスター、ラティオスの言う通りよ…あの傷じゃもう…助からない…」

「何だよ…何で今日なんだよ…!!!」

抗えない運命に悪態をつきながら、ロンギヌスはついに二人目の
仲間を見放す。自分から遠ざかっていく主人とレムリアを、ラティ
オスは祈るような視線で見送った。



「兄さん…僕はこれで…良かったんですよね…?」

留まるところを知らずに流れ出る血。それをもう諦めたのか気に
留めず、離れていくロンギヌスに語る。いつしかそんな彼を取り
囲むようにして、五人の戦闘員が銃を向けて立っていた。


「まだ息があるな…始末しておこう…」
「ああ…死体は研究所に直送しろ。実験に使えるかもしれない。」

「…フフ…まったく面白い人生でしたよ♪」


ズギュゥゥゥウウン!!!!!




最後に顔を撃ち抜かれるまで、ラティオスは満足そうに微笑んでいた。
しなやかな水色の翼が、とうとう血の気を失って堕ちた。






ーーーーーーーーーーーーーーーー


「自分のポケモンすら守れないで…何がチャンピオンだ…」

もう何回流したか分からない涙を滴らせて、ロンギヌスは爆破された
中央司令室にやって来た。まだ煙の立ち込める空間の床に、煤だらけ
のエターナルメモリが転がっていた。ロンギヌスはそれを膝をついて
拾い、遺品として布で優しく包む。




「なぁレムリア…頼みがあるんだ…」

「え…?」

「殿堂入りの部屋…そこに赤い槍が飾ってある。
バビロンを打ち破れる力は多分…それしかないと思うんだ。だから…」

メモリケースを肩に担ぎ、決意を固めたのか深く深呼吸するロンギヌス。
レムリアの青い瞳を疑いのない視線で見つめながら、チャンピオンとして…
望みを託す。


「俺に何かあったら…お前が最後の砦だ。奴らもお前を殺そうとは
しないと思う。だからバビロンを…その槍で刺してくれ。」

「ちょっと待って…何かってまさか…!!」

キチッ…『ZONE(地帯)!!』

ロンギヌスはメモリを使い、その場から逃げる様に去った。
唖然としたまま消えた場所を見つめ、孤独を感じるレムリアを残して…



ロンギヌスが何処へ向かったのか、彼女は分かるような気がした。




<2011/06/16 00:10 ロンギヌス>消しゴム
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