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ぼくのなつやすみ − 旧・小説投稿所A

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ぼくのなつやすみ
− 孤立空間 −
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「ひぁぅ…くせえっ!!」

「ああ…よく言われるよ」


生肉の腐ったような悪臭が鼻を突き刺す。急いで手で覆う
が、頭から咥えこまれた瞬間、臭いはさらに強烈になった。
もはや鼻を押さえているのが、バカバカしくなる程に。


「お前っ….何の為にク○アクリーン買ってる
と思ってるんだ!! 歯磨きしやがれ!!」

「人間の歯ブラシは小さすぎる。そもそも歯磨き
なんて習慣、竜にはないぞ」

「人工竜のクセに、そんな常識も知らんのかああッ!!!」


まあ本人は屁理屈をこねているつもりだろう。
そんな事には気にも留めず、バビロンは舌で脇
の下をくすぐってきた。俺は厚い巨肉のカーペ
ットの上で、生でエンタの神○を観たとき以上に笑い転げる。


「あひっ…ひゃひゃひゃ!! ぅう!! 離せ…!!」

「これから毎晩、私とチェス対決してくれるなら許してやる」

「かっ…勝てる訳ないだろうが!!!!」


舌の上で謎のダンスを繰り広げる様は、誰が見ても滑稽な
のだろう。舌先にコチョコチョといじくり回され、ロンギ
ヌスは満面の笑顔だった(強制)。


「臭いんなら四時間ぐらい息止めてろ。じゃあな」

「魚じゃないし無理に決まっt…アギャッ!」

ゴックン・・・うにゅ・・


抵抗以前に文句の一つも言えないまま、ロンギヌスはパイ
プのような肉管を滑り落ちていく。胃袋との距離が縮まっ
ていくにつれて、嗅覚が壊れるような腐臭が強さを増して
いく。生まれて始めて、鼻が詰まってればいいのにな、と考えた。


ニュブゥ….ぶちょッ…!


レムリアに呑まれた時のような、「とぷん」という優しい音
は聞こえなかった。ゴミ捨て場に放り投げられるような感覚
で、バビロンの胃袋に到着するロンギヌス。鳥肌が立つよう
な臭いを吸ってしまい、夢中で胃壁を蹴る・殴る・抱きつく
・頭突きする。


「ち、畜生め….殺す気かよっ…!!」

「もしも学校でイジメに遭ったら、まっすぐ私
の元に来い。腹の中で自殺させてやる」

「ふっざけんなッ!! そんな状況下ならレムリア
に頼むっての!!」


こんな胃内ガスの充満した空気で死ぬぐらいなら、レム
リアの腹に押しつぶされて死ぬ方が百倍良い。そもそも学
校でイジメられる気すら無い。


「マスターの思考回路は全て分析ずみだ。あんた
の脳にハッキングを仕掛ければ…」




「風呂で溺れさせることも、屋上から飛び降りさせることもできるんだぞ?」

「そ、それがどうした…?」

「フフフ….どうしたと思う?」


その直後、ロンギヌスを激しい頭痛を襲った。この脳
を割るような痛みは、キンキンに冷えたアイスクリームを
食べた時に匹敵する。
そして次の瞬間、ロンギヌスは自分の意思とは関係なしに、
ぶにゅぶにゅに柔らかい胃壁に突入していた。


「んぶっ…!んぶっ…!ぶむぅんんんんっ!!!」

「分かってるぞマスター。同級生じゃなく、私
に虐められたいんだろう?」

「な、何を言って…ぶぅっぅぅうっ!!」


丸く張った胃壁の一部分が、口に栓をするように侵入して
きた。自分の舌を少し前に押し出してみれば、ムニッとし
た肉壁に触れるのが分かる。生まれて初めて、バビロンの
胃壁を舐められた。


「…とまあ、喰われ好きな誰かさんの望みを叶え
てやれる訳だ。私を仲間に入れてよかったな?」

「あぅ…この野郎ぉ…」

「クスッ.…素直になれよ、このひねくれ者が」


脳内コントロールが解除された後も、しばらく頭痛は続い
た。そして鼻もこの腐臭に慣れてきたため、もう悶絶する
必要はなくなった。


ングチュニュ….ドクン…ドクン…

「(今度ここに来たら….絶対ファ○リーズしてやる)」


ロンギヌスはそう決心すると、肩の力を抜いて胃壁に持た
れかかった。あちらこちら血管の浮き出た肉壁の向こうで
は、ヒトの手で造られた心臓がドクドクと脈打っている。




「さぁて…そろそろ寝るとするか」

「あっ…バ、バビロン…一つだけ、お願いが…」

「あ? いったいなんだ」


尻すぼみな声で、ロンギヌスは喉の奥から声を絞りだす。
急に蚊の鳴くような口調に変わったのを不審に思ったの
か、バビロンは疑うような聞き方で返した。


「寝るのは別にいいんだけど….その、うつ伏せに寝てくれないか…?」

「ほう…? なぜだ、言ってみろ」

「なぜってそりゃ…ほ、ほら、お前がうつ伏せに寝たら、腹と床が密着するだろ? だから胃袋に圧力が加わって…そ、その….」


ここまで言ったら理解してくれるはず。それを期待して
ロンギヌスは言葉を切ったが、バビロンは行動どころか
返事すらしない。ここから先は、口にするのに勇気が必
要だった。


「お前の胃壁に、俺….押し潰されたいんだよ…」

「あ、悪いな。今の聞き取れなかった。もう一回言ってくれ」

「おっ…お、お前の腹ん中で圧迫されたい…」

「え〜? 何だって?」

「だからお前の…い、胃袋にムギュッてされたい…んだ…」

「どうして」

「き、気持ちいいのかな〜っと思って……
あ、あくまで実験だぞ!!? 別にやましい心は微塵も…」

「フフ…そうか」


説明に二分掛かったが、それ相応の代償は得られたようだ。
バビロンは短い脚をカクンと折り、床に這いつくばるよう
に寝転んだ。もちろん約束通り….うつ伏せに。



ふにゅ…ちゅぷっ…にゅるり…

「ぁ、ぁぅ…んんぶ…!」


ビニールの浮輪に顔を押しつけたような….ちょっと不
思議な感覚。気がつけば、胃液ではないがバビロンの体
液を被っていた。自分の濡れた頬っぺたに手を触れると、
透明な粘液がぬちゃっと糸を引く。


「お気に召したか、変態」

「くそっ…変態で悪かったなぁ…! ぅうぷ…」


グニグニと『肉食』の胃壁が波打つ様子。彼に呑み込ま
れてしまった者達は、みな同じ光景を見ながら溶かされ
ていったのだろう。何しろここまでの異臭が満ちている
のだ。恐らく、悪逆無道なトロかし方で….


「世界中で検索してみたが…お前のようなド変態(被食フェチ)は一万人以上いるそうだ」

「へ、へえっ….んむぅ…!」


突然のトリビアだったが、ロンギヌスはまともな返答する
余裕などない。全身が肉壁に強制キスされ、身動きすら難
しい状況だった。


「まあ実際に竜の腹に収まることができる輩は….その
1/9のようだが。フフ…よかったな、私に出会えて」


「レムリアがいるから大丈夫」などと答えれば死刑なので、
「ありがとう…」などと恩着せがましく呟いておく。それが
嬉しかったのか、胃壁の圧迫感が30%サービスされた。柔ら
かな肉質は、鼻の中にまで入る勢いで密着してくる。


「まあ…夕方まで私は寝るからな。もし消化し
たら、ネットで葬式代ぐらいは稼いでやる」

「コ、コワイ事言うなよ!! 消化なんかされた日には…」

「…zzz…zzz…zzz…」

「…○び太君といい勝負だな」


早くもスースーと安眠する人工竜の胃の中で、ロンギヌス
は大きなため息を吐いた。決して疲労が溜まっている訳で
はなく、単にリラックスするためだ。


「zzz…zzz…」

ぶにゅ….グチゅっ…ぬたぁ…

「それじゃ….アム○、いっきまーす!」


自由気ままに揉み込んでくる胃壁に身を任せ、モニュモニュ
と愛撫される感覚を全身でエンジョイする。悪臭も気になら
なくなり、自ら進んで沈みにいく。ズブズブと肉に呑み込ま
れていくのは、何度味わおうとも逸品だった。


「あひぅ…さささ、最高…♪」


獲物をドロドロ化してしまう胃袋のさらに奥。やはりむっ
ちりと豊満な胃壁の間には、ジャストフィットしそうな肉
の谷間があった。ゴクッと(興奮の)生唾を飲み込み、ダ
イブする。


「深いな…異次元空間に繋がってたりして…」


確かバビロンの身長は5メートル程度。ちょっと高めな天井
か、車両用の信号機ぐらいだ。それなのに彼の体内にいざ入
ってみれば、やけに広く感じる。ぷにゅぷにゅ感に満ち満ち
ている肉壁空間が、まるでどこまでも続いているようだ。



「まいっか…埋もれてやるよこの野郎…!!」


カイオーガやラティオスに邪魔されないため(たまに積
極的に協力)、一人で何だって出来る。卑猥なセリフ(公
開不可)を叫びながら、暴れるかのように遊び、顔を押
しつけ、頬をスリスリと胃壁に擦りつける。感情の赴くま
まに、ロンギヌスは欲望を叶えていった。






<2011/08/18 16:29 ロンギヌス>消しゴム
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