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孤高の雷帝 − 旧・小説投稿所A
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孤高の雷帝

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もう嫌だ。生きているのが怖い。
僕は唐突に紫電の前で膝を折った。
「紫電・・僕を・・殺してください・・」
あの晩の翌晩も人間を殺した。
その翌晩も。
紫電の思惑は分からない。何を教えているのかも分からない。
分かったのは、自分が生きていてはいけない存在だったこと。
そして・・自分の心が砕け散った事。
「そうか・・」
敵意を剥き出しにした口調が消えていた。
永い時を生きた賢者の如き言葉。
その巨躯を起こし、翼を雄々しく広げる。
「呪人よ。貴殿に問おう。“命”とは何だ? “死”とは何だ?」
「それは・・・」
“命”
それは生物が全うすべきものであり、最も尊きもの。
そして、天秤には掛けられないもの。
“死”
生物が最も畏れるもの。
そして、すべてから解放される手段。
そう、僕は紫電に告げた。
「呪人として人間に触れ、“死”と“生”を知る。それが貴殿の必要性だ。」
正常状態であったならば恐らく、耳を疑っていたであろう。
しかし、今の状態では無理があった。
ただ、“死”を望んでいたから。
「本当に死にたいのか?」
無言で首を縦に振る。
今すぐ殺してくれ。そう表情でも示す。
「私の下に来る気はないか?」
「お願い・・殺して・・」
“そうか・・”と非常に残念そうに顔を歪ませ、顔が僕の目前に寄せられた。
「その言葉に後悔は無いな?」
ねっとりと唾液が糸を引く巨口が開かれた。
幾人もの命を我が物に呑み下したその巨口が。
「後悔は・・ないよ・・」
涙を静かに一筋流して、ただ、呟いた。
次の瞬間、暗闇の肉洞に閉じこめられた。



<2011/05/13 23:25 セイル>消しゴム
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