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孤高の雷帝 − 旧・小説投稿所A

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孤高の雷帝

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鋭爪が肉を絶ち、鮮血が宙に舞う。
舞った鮮血が躰に返り血としてこびりつく。
そんなものは構わない。
僕はとにかく戦いたくなかった。
だけど戦なきゃ自分の命は無い。
相手だってそのつもりで襲ってきているのだから。
この争いは避けられる物じゃない。
「くそっ・・この呪人めっ!」
呪人(のろいびと)。読んで如く呪われた人間のことである。
その呪いにはいろいろ種類がある。
体に呪模様が浮かび上がるのやら、体の一部が変形するものも。
特に僕は酷く、体全身が人間異なるものに変形していた。
が、数年とかけて僕はその呪いを自発的にコントロール出来るようになっていた。
生まれてまもなくに襲われた呪いの力。
狼の・・・人狼の力。
「もう・・放っといて・・」
呪人である僕は村人の全員に忌み嫌われ、村の外れ・・・村の領地内とは言えないところに住んでいる。
それならそれで放っておいてくれればいいのに呪人がいると村が汚れると言う理由で僕を殺しに来るのだ。
僕も死にたくないから呪われた力・・人狼で対抗する。
たとえどれだけ他人が傷つこうが僕には関係なかった。
だけど、その命を奪うことだけは出来なかった。
自分の生への執着心だけで他人の命を奪うことには気が滅入った。
それどころかそれで自分の命を絶ってしまいそうだった。
僕は確かに呪人だ。
呪われて人外の狼人間だ。
でもそれを除けばただの人間に代わりはない。
僕は生きたい。呪人であろうともこの命を全うしたい。



<2011/05/13 23:24 セイル>消しゴム
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