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水晶の煌き − 旧・小説投稿所A

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水晶の煌き

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カツン・・・カツーン
水晶の煌めきが眩しいこの洞窟には足音がよく響く。
この洞窟は良質の水晶が採れる事で有名だが、
その反面、帰ってこない人間も多いのだ。
危険な生物がいるとの事だが、水晶への欲望が人間をここに縛り付けてしまうのだ。
「・・綺麗だな・・」
洞窟はそんなに広くなく、一人の人間が壁に生成された水晶に手を触れる。
ー今すぐ立ち去れ。脆弱な人間よー
「!? だ、誰だ!」
人間は身を強ばらせながら翻った。
何もない。入り口に誰かがいるわけでもない。
が、声が聞こえた。
「・・気のせいか・・」
だが、特に気になる訳でもなく、再び水晶に触れる。
氷のように冷たくなく、不思議な生暖かさを持っていた。
「な、何だこの・・水晶・・」
それこそ、生物に触っているかのように。
「早いとこ・・なっ・・?」
壁に生成された水晶を手に取り、この洞窟から・・
と、気付く。入口が水晶で塞がっている。
「水晶が動いた・・?そんなバカな・・」
「馬鹿なのは貴様だ。」
「!?」
慌てた様子でそれに振り向く。
蒼い双眸。水晶を生やした灰色の巨躯。
・・竜。晶竜がいた。
「折角、逃げるチャンスを与えたというのに・・何故、人間は逃げぬ・・」
「ま、待ってくれっ・・・水晶は返す・・だから・・」
「ダメだ。」
晶竜は人間をキッパリ否定する。
「ここにはあまり良い噂を聞かぬはず・・そんなにここの水晶が欲しいのか?」
その顔を人間の目前にまで近づけ、口を開く。
「あ・・・あぁ・・」
「・・まぁいい。貴様には私の水晶になって貰う。どういう意味か・・・分かるか?」
ペロリ・・・
晶竜の舌が人間の頬を舐めた。
ねっとりとした高粘性の唾液が頬に残る。
氷のように冷たい唾液が。
「い、嫌だ・・・喰うな・・喰わないでくれ・・」
「フフ・・ここに入った事を後悔する事しか出来なくなるまで、貪り喰ってやる。」
人間を見下した笑みを浮かべ、晶竜は息を大きく吸う。
「やっ、く・・そぉっ!」
晶竜が白い煌めく粒子を含んだブレスを吐き出す。
人間は慌てて身を捩って躱そうとするも足にブレスが命中する。
ピキッ・・ピキキッ!
「!?」
その両足は瞬く間に白い結晶のようなものに包まれていく
「クククッ・・それではもう逃げるのは無理だなぁ?覚悟は決まったか?」
今度は邪悪に笑みを張り付ける。
そうなる事が分かっていたかのように。
「と・・思ったがただ喰うのもつまらん。どれ、ひとつチャンスをやろう。私の問いに答えれたら、見逃してやろう・・どうする?やるか?」
「も、もちろんだ・・」
「威勢がいいな。では問いだ。」
晶竜が少し表情を壊した。
「私は貴様ら人間を知っている。それは何故だ?」
「はぁ?・・・え・・・えっと・・・」
「・・・おお、私の問いが悪かった。私は人間が強欲で脆弱なのを知っている。それに、この洞窟につきまとう噂の事も知っている・・何故だと思う?」
晶竜の問いに人間が間を開けて答える。
「それは、あんたがこの洞窟の“危険な生物”だから・・・」
「ククッ・・ご名答。」
口元を吊り上げながら言葉を並べた。
人間の顔に希望が浮かぶ。
ジュルリ・・・
唾液を滴らせ、晶竜が舌を舐めずった。
「・・見逃してくれるんだよな・・?」
「ああそうだが?“逃す”とは言ってないぞ?」
「っ!?」
この時に人間は気付いた。騙されたと。



<2011/05/13 23:05 セイル>消しゴム
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