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夢のドア − 旧・小説投稿所A
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夢のドア

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ヤス「えっ… 今、何て言った…?」

これは何かの聞き間違いだと思った。
さっきの言葉は空耳だという事を信じて、僕は再度聞きなおした。

レシ「貴方を食べてもいいですかって聞いたの」

さっきの言葉は空耳では無い事は、彼女の言葉を通して確認できた。

ヤス「…   本気で…?」

頼む、冗談で終わってくれと正直に思った。

レシ「はい、本気です。貴方をベットの処に運ぶときに少し貴方の頬を一舐め
   しました。とても美味しかったですよ」

ニコニコな表情をしたレシラムがじりじりと迫ってきた。
当然彼女が一歩進むごとに後ろに僕も一歩下がった。
僕の背中に、壁が無機質なように立っていた。

これこそまさに、追い詰められた状態のことだった。

レシ「ヤスオ君、もしかして私に殺されると思っているの?」

ヤス「当たり前だよ!俺を喰うんだろ!」

少し怒り口調で喋ってみたが、声が震えて上手に喋れなかった。

レシ「大丈夫よ、私はヤスオ君を殺さない、約束するよ」

そういうと、彼女の爪一本が目の前に出された。

これはようするに、『ユビキリゲンマン』という、約束は絶対に守るという証拠だろうと思った。

この廊下の角で追い詰められ、喰ってもいい?に、「断る」なんて言えなかった。
それに、彼女が嘘何て言える訳もなさそうだ。

10分ぐらい沈黙したあと、僕は、彼女を信じて見ることにした。
僕の冷え切った小指を彼女の出している爪にやさしく交差させた。




<2011/05/31 00:19 ネイム>消しゴム
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