11.HOME WORK


「けどなぁ、俺達兄弟なんだぞ」
「兄弟ったって、どうせ半端にしかつながってねーじゃねーか。16年も他人だったんだし。大体、男同士ってとこからもう常識外れてんだから、いい加減諦めろよ、陽海」
「そう、それだよ。俺だけはまともな道を歩むつもりだったってのに、なんだってこんな……」
「こんな、ってなんだよ」
「あー、うるさいっ、帰るぞ!」
「あんだよー……っていうか、陽海っ」
「何でかい声出してんだよ」
「陽海って、聡一郎さんと付き合ってんじゃねーの?」




 運命の神様から出された課題は難しい。
 卑屈になって、素直になれなくて、迷って、途方に暮れて、
 散々悩んで、同じところをぐるぐる回って、
 こんな答えしか出せなかったけれど、許してくださいますか?




「はぁ? 何言ってんだ、お前」
「だって、公認の仲なんだろ? 聞いたぜ?」
「……まだそんな馬鹿な噂流す奴がいるのかよ」
「なぁ、それってマジ? 付き合ってんの? それとも付き合ってたのかよ?」
「馬鹿なこと言ってんじゃねぇ! 男に惚れるなんてのは、お前が最初で最後だっ」



 だけど神様。
 貴方がどんなに意地悪で次に出される課題がもっと難しくなったとしても。
 貴方がくれたこの巡り会いには感謝します。




「あ、聡、飛行機雲だぜ」
「ああ、10回願い事唱える、っておまじない?」
「そうそう。早いとこ願っとかなきゃ、すぐぼけちまう」
「僕はいいよ」
「なんで?」
「光が今隣にいるから、あとはなんにもいらない」




「俺で最初で最後にしてくれよな、陽海」
「……考えとく」




 心から感謝します。貴方がくれた運命に。

                                           Fin.




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