第十九章
「精巧な罠」
(記:ミサイル研究所さん)
セワシはその考えをずっと続けていた。
しかし、その静寂は唐突に破られた。
「ひっかっかたな!反乱軍よ!」
セワシの背後から大きな声がした。
そして、それと同時にセワシの頭にこの時代の物と思われるマシンガンが突きつけられた。
「??!」
セワシはこの一瞬の出来事に驚いた表情しか作れなかった。
(何故だ!なぜ背後の気配に気づかなかったんだ!)
セワシはこれでも訓練を受けた人間だ。
気配を感じ取れないはずはなかった。
「驚いてるようだねえ、「野比セワシ」君。」
謎の人物はセワシの名前を言う。
「貴様は誰だっ!そして何故僕の名前を知っているんだ!」
セワシは怒鳴り散らすように叫んだ。
「ふふふ、そう怒鳴るな。私は君のその傷口から出ている血液を少し拝借してみただけだ。」
(何故だ!なぜ血から俺の情報がわかるんだ?)
セワシはこの謎の男の不思議な能力に驚いている。
そして、恐怖している。
「君、困るよ。我々「ミレニアム」の吸血鬼研究の一つの成果である「アルティメットシイング」を破壊に来るなんて。」
その謎の男はセワシを気にせずに続ける。
(ミレニアム・・・、どこかで聞いた覚えがある組織だな。それに吸血鬼・・・、コイツは一体何者なんだ?)
セワシが疑問を募らせた時、謎の人物が思いだしたような顔をする。
「おっと、自己紹介を忘れていたねえ。私の名はモンティナマックス。SS少佐であり、ミレニアムの大隊指揮官だ。」
その男は言い放った。
「な!貴様が、貴様がそうなのか!」
セワシは怒鳴って振り返った。
そこには、SSの制服を着、セワシより背が低く、太って、メガネをかけた男が銃を向けていた。
「ほう、僕の名前は未来人の君たちも知っているんだね。」
その男は笑いながら言葉を放つ。
その口からはキバが二本見えている。
「知っているさ!貴様がこれより先の未来でイギリスいや、ロンドンを死の街にしたことぐらい!」
セワシは今までにないぐらい大きな声で叫んだ。
コイツのせいで昔のロンドンが滅び、自分たちの未来までも破壊されたことに悔しさと怒りを込めて。
そして、954カスール・ジャンボ・ガンαをむけた。
「遅いね。そんなのじゃ勝てっこないよ。」
そういうと、その男はセワシのジャンボ・ガンを持った手をマシンガンで撃ち抜いた。
「グワアアアアアアアアアアアアア、俺の俺の右手がああああああああああ!!!?」
セワシは絶叫をあげた。
「教えてあげよう、この設備は君たちの未来から援助も受けたが、我々の科学力の賜物でもあるよ。」
その男は笑いながらセワシに言った。
「ぐ、おまえは何の目的のためにこんな物の研究をしているんだ!」
セワシは激痛に顔をゆがめながらも言葉を放つ。
「研究?我らが偉大なる総統のためでもあり、次の次の戦争の歓喜を味わうためにやっているんだよ。」
なおも笑いながら話す。
「な、なんて奴らだ。こ、こんなやつらのせいであんな悲劇が・・・」
セワシは絶句した顔で言葉を漏らす。
「では、もうそろそろ死んでもらおう。」
そう言い男はセワシの頭に銃を向けた。
(みんなごめん、俺未来を守れなかったよ。)
セワシの顔からは涙がいっぱいに漏れていた。