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 ラダマンティスは自分が何度イカされたかも分からない状態で、床に転がっていた。
 汗か涙か唾液か鼻水か良く解らない液が顔を濡らしていた。腹に少しでも力を加えると、放たれた精液が肛門から溢れる。

『…では次は私の番だな』
 今度はサガがソファーから腰を上げ、獲物の元へと歩み寄った。
 枕元に立たれた時、頭上が少し暗くなるのを感じてラダマンティスは俄にそちらを伺い見た。
 視線の先にはサガが立っていた。頭の部分は逆光して良く見えないが、それよりも半分以上頭を擡げているペニスの方が先に目に入った。
『…もう腰が立たないか…。それしきで砕けては困るぞ?もっともっと我々の相手をしてもらわんことには』
 一体、幾度犯したら気が済むのか。今まで行われて来た痴態と饗宴を思い起こして、ラダマンティスは身震いと共に身の保たなさを覚えた。
 そしてラダマンティスはこの状態にも関わらず、気丈にもまだ口答えをした。
『貴様ら…、卑怯だぞ…。二人掛かりで寄ってたかって…』
 『卑怯だと?』カノンは反芻するように繰り返し、ラダマンティスの後頭部の髪を乱暴に鷲掴みにして引いた。
『その卑怯者に成す術も無く捕まったくせに、捕虜の分際でオレ達に口答えできた身分か?』
 カノンに対してラダマンティスもまた牙を剥いた。
『あの時は不覚をとった…。二人掛かりでなければ、オレは貴様を殺していた』
『経緯がどうであれ、貴様が捕まったことには変わりあるまい。結局貴様はオレ達の捕虜で獲物で、慰みものだ』
 挑戦的なカノンの言葉に、ラダマンティスは喰い付くような殺意を放つが、この状況では何ら脅威を為さず、また双子達はそんな殺意をそよ風程度にも感じてはいなかった。
 続けてサガは、
『幾らお前とて、多欲な我々をたった一人で相手するのは並々ならぬ苦労だろう。…しかし、お前の身体にそれが出来るようにするまでだ』
 そして、またその紺碧の双眸がサディスティックな独特の光を帯びた。
『…あれだけイカされて、まだ口答えできる気力があるとはな。嬉しいぞ』
 その眼に射すくめられたラダマンティスは、俄に怖気だった。

『う…!く…っ、うああぁ…!』
 またしても屹立したものが体内を貫く。振動とともに内臓を抉り、腹の奥を揺るがす。
 ラダマンティスは仰向けに寝かされた状態で、上に覆い被さるサガに身を委ねていた。
 ここから先がラダマンティスにとっての本当の苦痛だった。既にあれだけイカされたので、もう勃つものも勃たないし、体力も続かない。何よりも、窮屈な姿勢を取り続けるので内股が痛くなって来た。
 一応、抵抗を防止する為にカノンが両腕を抑えていた。
 まるで実験生物の蛙のようだ、とラダマンティスは漠然と思った。まるで解剖のように内臓を探られ、抉られる。そう思うとそのような立場に転落した自分を返り見て一瞬微かに吐き気を覚えた。
 この時点でラダマンティスが漏らすのは、殆どが苦痛の声だった。快楽なら堪えるが、苦痛はまだ甘かった。最初は専ら苦痛を耐えていたはずだが。
 そして、遂に堪り兼ねてこの二人に訴えた。

『…イッてくれ…、早く…。オレの身体を貴様らの好きに扱うが良い、だから、さっさとオレの中にぶちまけろ』
 『好きに扱っているさ』腕を抑えているカノンが空かさず応えた。
 そしてサガは、
『…勿論、イクのはお前の中だ。ただし、それはお前がイッてからだ』
『オレ達は少々贅沢でな。お前も気持ち良くならないと興醒めするタイプなのだ』
『ただの吐き溜めにするよりは、誠意のある対応ではないか?』
 双子どもに交互にそう言われ、ラダマンティスは軽い目眩のようなものを覚えた。
 何が誠意だ、サガの言う誠意の文字をなじりたくもなる。
 だったら、快楽を覚えない、一切イカ無いし、そう言う素振りも微塵も見せないのがここでは最大の抵抗になる。

 一切の抵抗や口応えもやめて、ラダマンティスがマグロの立場に甘んじ始めたことにサガは気付いた。
 目を閉じて、まるで人形のようになることで抵抗しているつもりらしい。
『…そう言うつもりかお前。勿論、イキたくもないし、我々をイカせたくもないのなら、無理にでもイケるように仕向けるつもりでもあるし、そう言う身体にするまでだ』
 突然、ラダマンティスの身体を転がして体位を変え、丁度正上位から松葉崩しになるような具合となり、その状態から深く突き込んだ。
 『ぐうぅ…!』最初は、苦痛か奥まで差し込まれて思わず声を漏らしたかのどちらかだった。ただ、暫くすると先程とは違う角度に当たって、身体の奥が微かに疼き、無意識に奥歯を噛み締めた。
 その様子を察してか、サガは更に巧みに揺さぶった。
『…どうだ?挿入の角度が違うとまた刺激も違うだろう?』
 ラダマンティスは身を固くして、無表情のまま返事もせず目を閉じていた。飽くまで感じているつもりなどないようなのだが、皮肉を返す余裕もないこともまだ確かだった。
 応えるつもりがないなら身体に応えさせる、それがこの双子のやり方だった。
 最初は深く掻き混ぜるように突き込んで、ラダマンティスの様子が変わって来ると今度は浅く挿れて焦らした。
 ラダマンティスは嘘を吐くのも虚栄を張るのも、隠し通すのも下手な男だった。自分は無表情のつもりでも、既に顔を耳まで赤く染めて歯を食いしばっていた。
 息も、感じていない振りをしているつもりで、慎重で不安定な呼吸が以下にも不自然だった。
 もう勃たないので、じっとしていれば感じていないと思われると信じているのだろう。その浅はかさに、呆れると言うよりかは動物的な可愛さを覚え、双子はこの生き物が微笑ましくすら思った。
 弄りがいのある男だ、と。

 ラダマンティスが自分が焦らされていることに気付いたのは、どうにもならない状態になってからだった。浅く、緩やかな律動しか与えられない。感じてしまう場所に当たりそうで当たらない。
 気が付けば身体が炎のように熱く、無意識の内に腰をずらして奥まで誘おうとする。気を抜くと、細かい呻きが漏れそうになるので、今では唇まで噛み締めていた。
 見計らったかのようにカノンが聞いて来た。
『どうした?お前、それでも感じていないつもりか?』
 その問いに、ラダマンティスは一切応えられない。どうしても声が漏れてしまいそうになるからだ。
 勃っていないから、黙っておれば感じていないと思われることを信じ込んでいるのだ。確かにそれは萎えて律動に合わせてかすかに揺れるだけだったが、先端からは濃厚な透明の液体が糸を引いて滴を垂らしていた。
 それをカノンに指で掬われるだけで、ラダマンティスの身体がびくっと揺れた。
『こんなものを先から物欲しげに垂らして、それで感じていないとか言えるのか?』
 カノンの言い方に敵対心でも覚えたのか、ラダマンティスは呻くような声で言った。
『誰がこんなのでイクか…。全く気持ち良く無いな…』
 精一杯の見栄のつもりだが、その声はうわずっていた。その様子は哀れさを超えて滑稽でもあった。
 サガはそんな彼の抵抗すら意に介した様子も無く、
『そうか、こんなに単調では気持ち良く無いか。では、これでどうだ?』
 そして、今まで散々焦らされていてところを急に突上げて来た。
 『…うあっ!』ラダマンティスの身体が俄に痙攣し、あっという間に追いつめられる。無意識に腰を捩ってそれを受け入れ、幾度か切なげな声を漏らした。
 その様子にカノンは、
『良いのかサガ。こいつを簡単にイカせたりなんかして』
 彼等の嗜好だったら、もっと焦らして悶えさせてから言いなりにするはずだ。
 てっきり、挑発に乗ってムキになって腰を振り立てたのだと思っていたが、実際サガはそんなに単純ではなかった。  
 ラダマンティスの身体が大きく撓って痙攣しそうになった時、サガは素早く引き抜いて精液を腹に掛けた。
 突然のことにラダマンティスは自分に身に何が起こったかすら理解できず、『まだ…っ』と口走った。
 そして、サガが自分から離れたのを見て、漸くまたしても焦らされたことに気が付いた。

『少し口惜しいが、カノン、お前の好みの方法で遊んでやれ』
 『くっ…』身体の中をくすぶる熱に悶えながら、ラダマンティスは良いように双子に弄ばれている自らの身体を悔やんだ。
 焦らされ続けたそこが蕩けそうで、痺れにも似た疼きを放っている。最初に指で焦らされた時のように恥をかなぐり捨てイカせて欲しいと彼等に懇願したい程であった。
『…安心しろ、貴様はオレが好きなだけイカせてやる』
 そこを後ろからカノンが腕を掴み上げた。
 『…あ、ああ…』ラダマンティスは珍しく素直に返事した。
『…好きなだけオレのここを扱え、お前の好きなように…』
 どうせ、突っ込まれたら直ぐイク段階までに仕込まれているのだ。早く突っ込まれてイカせて欲しかった。
 カノンはまるで動物をあやすかのように優しくラダマンティスの頭を撫でた。
『好きにイカせてやる。オレの上に乗ってな』
 最初、カノンが何を言っているのかラダマンティスには理解できなかったが、彼が床に寝そべってその屹立を突き付けた瞬間、自分が何をやらされるのかが分かった。
『自分で動いてイッてみろ。…どうした?イカせて欲しいのだろ?』

何とサガ、外出しでカノンに交代だ。

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